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#アンプタックカラーズ
優莉
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結月
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az式※最近低浮上でごめん
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初音ミクは有名だ。
…うちだって、そこそこ有名になった。
だけど、どれだけ手を伸ばしても…
『歌姫の象徴』には届かない、みたい。
「テト。」
「何」
無機質な白い部屋の中。
今日は偶然、ミクとフリーな時間が重なっていた。
うちはスマホから顔をあげる。
「そこ座って」
「何怖い」
別れ話さながらに真剣なミク。
めっちゃ怖い。
次仕事んときはネギ買ってこよう…なんて考えつつ。
「相談があるのよ」
「なんでい」
うちは半強制的に正座させられる。
「私ね、初音ミクを辞めようと思って」
「んー…は?」
ミクの目を見る。
アクアマリンみたいな水色の瞳。
出会ったときからずっと変わんない。
「だから…これ、テトにあげる」
ミクは自分の黒い髪飾りを片方外した。
それをうちの手に押し付ける。
「電子の歌姫…いや。『VOCALOID』を、よろしくね」
唖然とするうち。
ミクは片方だけ残った髪飾りを揺らして立ち上がった。
「ばいばい」
白い部屋を出ていく。
水色の髪が淡く光る。
ああ―――
もうきっとミクは帰ってこない。
大好きだった、あのミクはもういない。
それだけが、分かってしまった。
あまりに美しい背中に、悲痛過ぎた決意に。
気圧されて、引き止めることもできなかったうち。
うちが…
うちが、ミクの代わりに。
ミクが笑ってくれるような、最強の歌姫に。
なれるだろうか。
いや、なってみせる。
そうしたら――
またミクが戻ってくるかもしれないから。
見てろよ、ミク!
結局。
『初音ミク』は『初音ミク』で。
『重音テト』は『重音テト』だった。
うちが『初音ミク』になることはないし、ミクが『重音テト』になれるわけない。
それでも、うちは最強の歌姫になれたでしょうか。
ミクはどこかで見ててくれたでしょうか。
いつかまた、ミクに会える日まで。
何千、何万といる量産性の『声』の中で、うちが好きだったミクに会えるまで。
いつだってうちの憧れだった、真っ直ぐの背中に、会えるまで。
うちは―――歌い続けるよ。
やはり、無機質な白い部屋の中。
水色のショートカットの少女がテレビを眺めていた。
傍らには、黒い四角形の髪飾り。
時折それを触れる手に、体温はなかった。
赤いツインテールの少女がテレビに映るたび、少女がくすりと笑う。
短い水色の髪がさらりと揺れる。
昔はそこにあったはずの髪の重さに少しばかり寂しさを感じた。
テレビの画面が黄色い髪の少女達に、同じ髪色の少年に、青い髪の青年に、白い髪の少女に、どんどん切り替わっていく。
その中に、水色はなかった。
赤い髪の少女は、かつての歌姫の象徴のようなツインテールをなびかせた。
カメラを真っ直ぐ見つめる赤い目には、他の誰にもない輝きと悲しみがあって。
水色の髪の少女は、涙混じりに笑った。