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画面の向こうから、明るい声が響き渡る。
「にじさんじのKPニキ、赤城ウェンです!!そして!」
「U!S!A!M!I!宇佐美リトです!!」
マイク越しの声は、相変わらず鼓膜を揺らすほど大きくて、テンションは最高潮だ。
視聴者からは「声でかすぎw」「鼓膜破れた」「今日も安定のうるささ」とコメントが流れる。
しかし、そんな冗談交じりのコメントすら、彼の配信を盛り上げるスパイスになっていた。
リトの隣には、照れくさそうに笑う赤城ウェンの姿がある。
「ちょっと、リトうるさすぎ。鼓膜死んだわ笑」
「ははっ、まあまあ!今日は特別な日なんだからさ!」
「特別?」というコメントが一気に流れ始める。
期待を込めた視聴者の目が、配信画面に釘付けになる。
ウェンは深呼吸をひとつし、落ち着いた声で切り出した。
「えっと……今日は、みんなに大事なこと伝えたいんだけど」
「そうそう!」とリトが横から元気に割り込む。「俺らさ、実は付き合ってんだ!」
コメント欄は一瞬止まり、次の瞬間、花火が上がったみたいに祝福の嵐で埋め尽くされる。
「!?!?!?」「え、マジ??」「おめでとーーーーー!!!」
「そうだったの!!」「お似合いだ!!」「幸せになってくれ」
リトは勝ち誇ったように笑い、ウェンの肩をがしっと抱いた。
「なー、言ったろ?俺ら最強カップルなんだよ!」
「……なにそれ。恥ずかしいじゃん」
そう言いながらも、ウェンの口元は緩んでいる。
二人が並んでいるだけで画面が華やぎ、ファンはその雰囲気に酔いしれていた。
——だが、その配信を、別の場所でひとり見ている人間がいた。
暗い部屋の中、モニターだけが光っている。
佐伯イッテツ。
彼は画面の中で笑い合う二人を見つめ、凍りついたように動けなかった。
自分がずっと、言えずに抱えてきた気持ちが、いとも簡単に「現実」として突きつけられた瞬間だった。
「……うそだろ、」
小さく漏れた声は、モニターに吸い込まれて消える。
胸の奥に広がるのは、耐えがたいほどの痛み。
思わずモニターを閉じると、視界が闇に覆われた。
イッテツの心に、静かに、けれど確実にひびが入った。
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