テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
第2話
nmmn
ttmn・rtwn(今話以降出てきません)
tt → wn
rt →← wn 恋人
今話はmn出てきません
第1話の続き
モニターを閉じた瞬間、静寂が部屋を支配した。
いつもなら配信のアーカイブを見返したり、ネタ動画を漁ったりと、音が絶えないはずの部屋。
だが今日は、何も聞きたくなかった。
佐伯イッテツは椅子に深く沈み込み、天井を見上げる。
「……付き合ってる、のか」
声に出してみると、その現実がさらに重く胸にのしかかる。
頭では、そんな日が来るかもしれないと予想していた。
リトとウェンは仲が良すぎたし、配信外でも一緒にいることが多かった。
視聴者だって「お似合い」だと笑いながら二人を推していた。
けれど、それでも。
心のどこかで、ウェンくんは自分の隣にいてくれると信じていた。
一緒に笑い合って、冗談を言い合って、たまに「テツ、ほんまにおもろいな」と笑ってくれる、その声が——。
「……全部、リトくんのもんかよ」
胸の奥から込み上げてくるのは、嫉妬と惨めさ。
感情が溢れそうになり、机に突っ伏した。
ぐしゃぐしゃになった髪に手を埋めても、心の痛みは消えてくれない。
翌日。
配信の枠を立てようと思ったが、指は動かなかった。
タイトルを打ち込むことも、サムネイルを作ることもできない。
頭の中では「待ってるリスナーがいる」と声がするのに、胸が拒否していた。
「……ごめん。今日はやめる」
誰に向けたわけでもない言葉が、部屋に落ちる。
気づけば、一日が終わっていた。
ベッドに倒れ込むと、ウェンくんの笑顔が脳裏に浮かぶ。
「テツ、またそのミーム言ってんの?笑」
「……バカ……」
その声を振り払おうと目を閉じるが、耳に残るのは昨日の配信での「付き合ってる」という一言。
そうして、イッテツは配信をやめた。
一日、また一日と、日数は重なっていく。
最初の三日目までは「ちょっと休もう」と思っていた。
だが五日が過ぎ、一週間を過ぎた頃には、もう戻れない気がしていた。
SNSにはファンからの心配のリプライが並ぶ。
「イッテツ大丈夫?」「元気ならそれでいいよ」「待ってるからね」
その言葉さえ、今の彼には痛かった。
——二週間。
パソコンの電源を入れる気力もなくなった。
冷蔵庫にはまともな食材もなく、カップ麺とコンビニ弁当の空き容器が積み重なる。
鏡に映った自分は、目の下にクマを作り、頬もやつれていた。
「……俺、何やってんだ」
そう呟いた声は、かすれていた。
彼はただ、時間に取り残されていた。
リトとウェンの笑顔の裏で。
そして、それに気づいた一人の同期が、動き出そうとしていた。