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夕暮れが窓ガラスに映る教室で、のあはスマホを握りしめていた。外はオレンジ色に染まっていて、少し肌寒い風が窓から入ってくる。
でも、のあの心はぽかぽかしていた──画面越しに、ゆうくんの言葉が届いたからだ。
『のあ、今日も可愛かったよ』
その一言で、のあの頬は赤く染まる。
「そんな…照れるよ…🥹」
思わず画面に向かって小さく呟く。
誰にも見られたくない、この瞬間だけの秘密。
『俺だけが知ってるからな。のあの全部が好きだ』
心臓が跳ねる。
この世界には届かないのに、画面の向こうの声は確かにここにある気がした。
のあはそっと息を吐く。
「ゆうくん…私も好きだよ」
メッセージを送ったあと、少しの間沈黙が流れる。
だけど、それが心地よかった。
画面の光の中に、ゆうくんの存在がじっと揺れている気がして、のあは安心した。
『のあ…もし現実で会えたら、ずっと手を繋いで離さないのに』
その文字に、のあは胸がきゅっと締め付けられる。
現実では会えない。
でも、こうして言葉を交わすことで、少しだけ夢が叶った気がした。
のあはスマホを抱きしめて、夕暮れの空を見上げる。
──ここはまだ、ゆうくんと私だけの秘密の世界。
誰にも邪魔されず、愛を確かめられる場所。
そして、のあは小さく笑った。
その笑顔は、画面の向こうのゆうくんにだけ届く、二人だけのものだった。