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心を言葉で傷つけ、突き放してからどれくらい経っただろう。
亜美菜「さみぃ。勢いのまま来たから上着学校に忘れちまった。」
亜美菜「…!雪……異様に寒いのはこのせいか。」
亜美菜(こんな時間じゃ帰っても怒られるなこれ。だがこんな所にずっといるわけにも行かねえし)
手と足がかじかんで痛い。身体が震えるほど寒い。全身が寒くて冷たいのに、目の奥だけは燃えるように熱い。どこにも吐き出せない感情が雫になって頬を伝う。
亜美菜(居場所がないってこんなにも辛いんだな……)
すると後ろから「やっと見つけた」と言う言葉が聞こえた。その声の正体は私の心を苦しめる原因でも、恋を抱いてしまった原因でもある和馬だった。
亜美菜「なんでお前がいんだよ」
上擦ってしまう声を必死に押さえつけ、力強く、でもどこか弱々しい声で言葉を発する。
和馬「あやが、亜美菜がどこにも居ないって言って、それで俺とあやと宮間で探してた。」
嬉しいと言う気持ちが出てきてしまう自分に苛立ちを覚えてしまう。どうせなら怒って欲しかった。その方が私が悪いってちゃんと自覚できるから。
和馬「俺の家近いから寄るか?流石に寒いだろ 」
和馬「それに詳しい話も聞きたいし」
和馬の言葉に流されるまま和馬の家に上がらせてもらった。罪悪感でいっぱいだ。
和馬「はい、ココア」
亜美菜「ありがとう」
和馬「亜美菜さんどうやってここまで来たの?」
亜美菜「心と離れたすぐ後は身体能力を何倍にも上げて跳んで移動してて、気付いたら知らない場所に居た」
和馬「確かにそれは見つけれらないや」
亜美菜「……こ、心は怒ってたか?」
和馬「ずっと心配してたよ。なんなら自分を責めてたほどだし」
亜美菜「全部私が悪いのに、なんで自分を責めるんだよ」
和馬「今さ、俺といるの辛い?」
亜美菜「辛く…ない。なんなら嬉しいと思っちまう。」
和馬「うれ…なんで?」
亜美菜「私は和馬が好きだ。この気持ちは本当だ。」
和馬「へ、へー」
亜美菜「お前気付いてなかったのか?心から何か聞いたりとか」
和馬「今初めて知ったんだけど」
亜美菜「でも、こんな事言っても意味ないけどな」
簡単に意味ないとは言い切れなかった。意味があると言ったとして、俺はその気持ちに答えられないからだ。逆に意味が無いとは言い切りたくなかった。亜美菜さんが打ち明けてくれた気持ちを踏み躙ってしまうように思えたから。
すると玄関のドアが開く音がした。
夜麻「お兄〜?いるなら荷物持ってー。めっちゃ重い!」
夜麻「お母さんやっぱ買いすぎだよ」
「だってこっちの方が家から出なくていいじゃん」
夜麻「まさに反面教師」
和馬「ごめん、亜美菜さん。夜麻達帰ってきちゃった」
亜美菜「ああ、いや私の方こそ上がらせてもらった身だし」
夜麻「お兄早くきてよ!ってあなた確か…」
亜美菜「お、お邪魔してます」
夜麻「亜美菜ちゃんだよね!でも、どうしたの? 」
和馬「お前は首突っ込まなくていいから。これ運べばいいんだろ?」
夜麻「マジで重いからお兄じゃ無理かも」
亜美菜「私が持とうか?」
和馬「え、でも」
亜美菜「いいから、何かやってないと自責で押し潰されそうだ」
和馬「ありがとう」