今日は朝から調子が悪かったプロヒーローになってからこんなことは滅多になかった。もう夕方だから行けるだろうと始めたパトロール中の現在。サイドキックにも気づかれ始めている
「ダイナマイト、大丈夫ですか、?」
「あ”?大丈夫に決まっとるわ」
「ダイナマイトお帰りになってください」
「んでだよ」
「ショートに言いますよ」
「ったわ、帰ればいいんだろ」
「事務所戻って着替えてから帰ってくださいね」
「わーっとるわ」
急に吐き気がして走り出す、走ろうとする体は重くて走れない。かろうじて動いてはいる。
やっとの思いで家に着き玄関に倒れこむ。轟が帰ってくるのはもう少し先か、と思っていると吐き気がまたやってくる。トイレに急ごうとするが寝転んだことによって思うように立てない。
「おえっ、げほっ」
「ぉッ、ぇえええーっ!!」
腹の中身が激しく押し上げられる感覚に、勝手に声が発せられる。喉を熱いものが駆け上がってきて、バシャバシャと食べたばかりのものが激しく地面を叩いた。
まずい。やってしまった。吐き終わったと思えば次の吐き気がやってくる、床1面嘔吐によって汚れていた。そろそろ轟が帰ってくる。急いで片付けなくては。そう思うと体も動き出した。そこであることに気がついた。そうだ、ここは玄関だった。まさかと思い見てみると、轟のスニーカー、轟と俺のツーショットが入った写真立てに 盛大にゲロがかかってしまっていた。どうしようと涙目になりながら思う。まずは片付けなければ。そう思いもう一度体を動かす。
タオルと袋を持って玄関に行く。ゲロを拭き取るが体が重く終わる気がしない。いつまでも泣きそうなまま。そこで轟から電話がかかってきた。震える手で電話に出ると、
『爆豪、今家か?』
「うん、」
『どうした?』
「なんも、」
会話を続けているうちに涙が溢れ出してしまった
「と、どろき、ポロポロ」
『泣いてるのか、?』
「あ、ぅ、ポロポロ」
思うように喋れない。伝えなければならないのに伝えることができない
「ご、め、ポロポロ」
『もう後ちょっとで着く』
すぐ帰るといって電話が切られた。それまでに片付けようとしても、涙で視界が遮られ、体も思うように動かない。どうしょうもなくただ泣き続け、手を動かそうとする。そして扉の開く音がした。
「ばくっ、ごう、?」
爆豪に電話をかけると声が震えていた。途中から泣いているようにも感じた。泣いてるのかと聞くと喋れないようだった。もうマンションの目の前まで来ていたので急いでエレベーターに乗り込み、ドアの前まで来る。ドアを開けてみるとタオルと袋、散乱した靴。うずくまる爆豪が居た。
「と、どろっ、ポロポロ」
「吐いたのか、?」
「ごめっ、なさっ、ポロポロ 」
そこで俺はあることに気がつく。俺の靴と写真立てがない。
「写真と靴は?」
「っ、よご、れちゃって、ポロポロ」
「ごめんなさッ、ポロポロ」
泣き崩れる爆豪を見て、いつからだろう、どれだけ辛い思いをしただろうと言う思いが湧いてくる。
「まさか、自分で片付けようと、」
「ご、っめ、今から、やる、から、ポロポロ」
「俺がやるから大丈夫だ。風呂入ってこい」
「でも、!ポロポロ」
「大丈夫だ。ついでに泣きやめよ」
「ごめん、ポロポロ」
爆豪が片付けていたため片付けは直ぐに終わった。写真立てと俺の靴はどこに置いてあるのだろうか、と考えると爆豪が戻ってきた。
「とどろき……」
「爆豪、大丈夫だったか」
「ごめん、」
ギュッ
今にも泣きそうな目で謝る爆豪を見て体が勝手に動いた。気づいたら爆豪を抱きしめていた。
「とどろ、き」
「大丈夫だ、謝ることない」
「熱か、?」
「わかん、ない、」
「熱測ろう」
ピピピピピピピピッ
「何度だった?」
「36.5……」
「嘘だろ?」
「別に……」
「40°じゃねぇかよ」
「……」
「ご飯。どうする?」
「いらん、」
「だが、何か食べないと薬が飲めない」
「何か食べれそうなもの買ってくる」
ギュッ
コンビニでも買いに行くかと思い玄関の方に行こうとすると爆豪に服の裾を掴まれたと思うと爆豪が
「行かないで、」
行かないで、?可愛いと思った自分が情けなかったが、こんなに可愛い彼女の頼みはそりゃ断れない。
「わかった。」
「冷蔵庫でも見るか」
「ゼリーあるぞ!爆豪」
「それなら行けるか?」
「食べる、」
「わかった」
「これ食べたら薬飲んで寝ような」
「うん、」
轟にベッドに連れていかれたが、まだ寝れそうにない。轟に移すのは申し訳ないから、出て言ってもらおうとするが……また1人になると思うと、先程のことを思い出して涙が出そうになる。
「もう、いいよ」
「え?」
「移したら悪いし、今日は自分の部屋で寝てくれ」
「……ダメだ」
「なんで、!」
「だって、声、震えてるし、涙目だし、」
「……ごめん、ポロポロ」
「泣いたら辛くなるだけだ」
「……ポロポロ」
「めい、わく、ゲホッゲホッ」
「かけ、て、ごめッ、んなさッ、」
ギュッ
「迷惑なんて思ってないし、謝らなくてもいい」
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