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ささくれ
夜、元貴のスマホが震える。
画面には
「涼ちゃん」
軽い確認みたいなメッセージだった。
『同棲どう?』
それを見た元貴は、ほとんど迷いなく打つ。
『最悪』
短く、切り捨てるように。
すぐ既読がつく。
少し間が空いて、またメッセージ。
『若井どんな感じ?』
その一文で、元貴の指が止まる。
数秒の沈黙。
そして、溜まっていたものがそのまま文字になる。
『勝手に部屋入る』
『帰るの遅い』
『猫勝手に連れてくる』
『服勝手に着る』
『ほんと無理』
『最悪』
『まじでずっと同棲とかありえない』
送信。
スマホを投げるようにベッドへ置く。
呼吸だけが少し荒い。
しばらくして、既読がつく。
でもすぐには返事が来ない。
その沈黙が余計に気に障る。
数分後。
ようやく返信。
『そっか』
たったそれだけ。
それ以上も否定も説得もない。
ただ、受け止めるだけの言葉。
元貴は画面を見たまま、舌打ちする。
(……だから何だよ)
なのに、その「そっか」が妙に残る。
一方その頃、リビングでは、
若井はソファで静かに座っている。
さっきのことはもう何も言われていない。
それでも、布団をかけ直す手は少しだけ慎重だった。
何も変わっていないようで、少しだけ変わってしまった空気の中で、
若井はいつも通り、黙ってそこにいるだけだった。
コメント
4件
最高です!投稿頻度も尊敬…
どうしたらそんなに続きが気になる書き方ができるの!☹️