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紫百要素有 .

推定 4500文字以上



_____


俺はいつも牢獄のような暗く殺風景な場所に居る 。

他にも色んな奴らが居るらしいが 、声や名前を聞いたことがあるだけで姿を見たことはない 。


( 開


今日も重たい金属製の扉が開く音がする 。

そしてそこから一人の監視員が入ってくる 。


百『 おはよ 、二日ぶり ? 』


無愛想で目に光がない俺の監視員 。


_



紫『 お前 二日 とか 三日 に 一回 は 来るけど 、なに 暇なん ? 』

百『 暇 な 訳 ないじゃん ふつ − に 帰ったら大量 の 書類コ − ス だよ 。 』


冷たく俺のことを遇らう其奴 。

他の奴らは自身の監視員の名前を知っているが俺は知らない 。

初めて会った時に『 名乗る必要 なんて ないでしょ 、めんどくさ 。 』

と言われたきり 、名前なんて知らない 。


百『 聞こえるね 、他 の 人達 の 声 。 』

紫『 そうだな 。 』


此処は扉の近くに言ったら案外声が聞こえる 。

大きな声で楽しげに話しているからか耳をすまさずとも声が聞こえてくる 。

監視員も笑いながら話を聞いているようだ 。


百『 明日 には 多分 あそこ の 部屋 の 監視員 変わるよ ~ 。 』

紫『 なんで 。 』

百『 甘やかし過ぎ 、共依存 とか 、怖 ~ 。 』


うげぇという表情を表に出して煙草に火を付ける

煙草は臭いんだがそのことを言ってもどうせ辞めてくれないから諦めてる 。

手帳を手に取ってペンを走らせる 。

いつもしているいつも通りの行動 。


百『 んし っ 、もう今日 は いいや 。 』

紫『 今日 は 早いんだな 。 』

百『 今日 の 此処 の 勤務 は 30分だけだから ~ 。 』


俺のことを見もせずに適当に手を振り鍵を捻り重苦しい扉を開け 、帰って行った 。

その日は一人で寝た 。

俺が寝るときも彼奴が言っていた部屋の喋り声が止むことはなかった 。


_



次の朝 、大きく泣き喚いている声で目を覚ました

『 なんでなんで 』と叫びにも聞こえる程の声を出している 。

そんな中 、彼奴が言っていた部屋の扉が開く音がした 。

『 嫌だ嫌だ 』と泣き叫ぶ声は時間が経つ度に小さくなっていき 、

次の日には何も聞こえなくなっていた 。


百『 はろんぬ 。 』

紫『 なんだそれ 。 』

百『 新しい挨拶 。 』

紫『 … お前 が 前 言ってた 部屋 の 奴 、泣き叫んでたぞ 。 』

紫『 何があったんだ 。 』


険しい表情で其奴に問いかける 。

軽い足取りで部屋の隅から隅へと歩く其奴 。


百『 殺されたんだよ 、彼処 の 監視員 。 』

紫『 … 、なんでだ 。 』

百『 ほら 、彼処 の 二人って 依存関係 に 近かったじゃん ? 』

百『 その証拠 に 昨日 くっそ うるさかったじゃん 。 』

百『 なんだっけ 、返せ 、とか言ってたっけ 。 』


それは俺も聞いた 。

半狂乱になった状態でまた会いたいとか 、返してくれとか 。

俺は経験していないから分からないが 、まあ無理もないだろう 。

こんな薄暗い牢獄のような閉鎖空間で一番信用を寄せることが出来るのは時々来る監視員ただ一人

それも心を許していたら尚のこと 。


紫『 、其奴 、どうなった ? 』

百『 ぁ ~ … 、その監視員 と 同じ場所 に 行ったんじゃない ? 』

百『 あんな甘やかす方 も 悪いけど 、なんだろね 、意思 が 弱いって言うか 。 』

百『 あんな姿 に なりたくないんなら あんな風 に 俺 に 依存すんな 。 』

百『 まず 俺 殺されんのやだし 。 』


そんな冷たい言葉を吐かれた 。

そりゃあ自分の命の方が大切だ 。

だから互いに余り干渉しないようにしよう 、

いつしか俺達の中ではそれは暗黙の了解となっていた 。

_


氷点下を優に超える季節を過ごし 、

まだ寒さが残る日のことだった 。

生憎 、此処は時間経過や現在が何日なのか 、分からない作りになっている 。


百『 おはよ ~ 、( 汗 』


いつものように扉を開ける其奴を眺める 。

今日は何故か後ろにある何かを隠しているようで片手で扉を開けていた 。

重いのか片手で開けるのが大変そうだ 。


紫『 ん 、( 開 』

百『 ぉ – たま には たより に なる − 。 』

紫『 思ってないだろ 。 』

百『 ぁ バレた ? 』

紫『 わかりやす過ぎ 、んで 、なんで後ろ隠してんの ? 』


俺がそのことを指摘したらびくっと肩を跳ねさせた 。

図星だったのか少し冷や汗が垂れる 。


紫『 てか 指 、絆創膏 だらけだけど ? 』


俺が其奴の指を手で絡め取って見た 。

そしたら指に大量の絆創膏が貼られていた 。


紫( 転んだとかそういう怪我にしては多過ぎね ? )

百『 … お前 、もしかしてだけど わかってない ? 』

紫『 なにが 。 』


そう疑問を吐けば其奴は呆れたようにため息を吐く 。

『 一年 に 一回 なんだから 覚えとけよ 』と言われて 、俺は更に頭に疑問が浮かぶ 。


百『 まあ 、いいや 。 』

百『 これ 、あげる 。 』


そういって俺に渡してきたのは少し大きめの紫と黒が入ったテディーベア 。

なんでこんな物をと思ったが 、思い出した 。


紫『 これって 、 』

百『 そ 、誕生日プレゼント 。 』

百『 俺 も 色違い の やつ あるから 、練習用 で 作ったそれあげるよ 。 』


練習用とは言うが 、それならば精巧に作られ過ぎている


紫( 嘘 、ついてるな 。 )


此奴は嘘を吐く時すごくわかりやすい 。

だからその嘘もわかった 。


紫『 … そういうとこ は 優しいのな 。( 笑 』

百『 は !? 』

紫『 素直じゃないな お前 っ 。( 笑撫 』

百『 ちょ 、ッ !頭撫でんな っっ !! 』


その日 、初めて其奴といて笑った 。

本当に久しぶりだった 。


だが 、その日を境に其奴が来なくなった 。


毎日毎日知らない奴が来て日々を過ごす 。

彼奴のことを聞くと皆こぞって知らないと答える

知ってる筈だろ 、わかるんだよ 。

表情が動かない彼奴のことをずっと観察して少しの目の動きや声の高さで感情を理解してきた 。

彼奴のことを聞いたとき 、皆少しではあるが動揺していた 。


その日は暇で暇で仕方なかった 。

鉄格子で塞がれている外への穴から漏れてくる楽しげな声が俺の耳に入り込んだ 。

小さな身体で鉄格子の元へ行き 、鉄格子に手を掛けて外を眺めた 。

彼奴 が いた 。

薄水色頭に楽しげに話し掛けていた 。

俺が知るいつもの彼奴とは打って変わってそこには笑顔で満ちた美しい姿があった 。

俺には向けてくれなかったあの顔を 。


_



その日の夜は雷がなる豪雨の夜だった 。

彼奴に貰ったぬいぐるみを抱き締めながらなけなしの毛布を被って 、耐え凌いでいた 。

全身が震え 、身体を丸めて眠ろうとした 。

その時 、扉が開いた 。


百『 何してんの 。 』


見知った声だった 。

その言葉を聞いて其奴の方に飛び付いた 。


百『 流石 は 子供 、やっぱ 豪雨って 怖いんだね − 。』

百『 俺 には わかんないけど 。( 撫寄 』


身体を寄せて頭を撫でてきた其奴 。

片目に眼帯をつけていてよく見えないという様子だった 。

其奴が冷たい床に置いたランタンの中の火がゆらっと揺れるのが見えた 。


百『 いるま 。 』


その言葉に俺は目を見開いた 。

此奴は俺の名前を一度も読んだことがなかったからだ 。

だから何よりも驚いた 。


百『 驚いた ? 』


平然とした様子で首を傾げて俺を見る其奴 。

俺を見るその目は美しく 、透き通った瞳でありながらその中には闇を閉じ込めた瞳孔が見えていた


紫『 その目 、どうしたんだ 。 』

百『 ちょっとね − 。 』


軽くはぐらかす其奴 、やはりあの時していた笑顔は俺に向けない 。

向けるのは他人事のような見透かした顔だけ 。


紫『 お前 、なんで来なくなったんだ 。 』

百『 だから 言えないんだって 。はぐらかしてんだから 気付きなよ 。 』

百『 ぁ 、それ まだ 使ってるんだ 、意外 。 』

紫『 人 から 貰ったもん 捨てる訳ねぇだろ 。 』

百『 意外 に 優しいんだ 、餓鬼 の 癖 に ? 』

紫『 一々 煩ぇ 。 』

百『 変わってないのな 。 』


其奴は俺のことを嘲笑し 、荒々しく俺の頭を撫でた 。


百『 ん 、俺 明日 から 移動 に なるから 。 』

百『 さよなら の 挨拶 。 』

紫『 あの水色頭 と か ? 』


その言葉を聞いて其奴は驚きの表情を浮かべた 。

はぁ ? と口角を上げるがその口は歪んでいた 。

その表情は不穏なものになっていき 、俺から少しずつ距離を取るのがわかった 。


紫『 な ぁ 、お前 、最後 なんだから 名前 ぐらい 教えろよ 。 』

紫『 いいだろ ? 』


首を傾けて顔を歪め 、其奴の顔を眺めた 。

其奴は仕方なさそうに口を開いた 。


百『 らん 。 』


その言葉を聞いて 、俺は柄にもなく心の中で喜んだ 。


紫『 … らん 。 』

百『 呼んでくれるんだ 、変 な 奴 。 』

紫『 変 な 奴 で 結構 。 』


俺はらんの眼帯をつけている側の頬を撫でた 。

あの水色頭にやられたのだろうか 、誰にやられたのだろうか 、何故隠すのか 。

俺の心は暗く騒めいていた 。


紫『 お前 、明日 行くんだろ ? 』

百『 そうだけど 、 何する気 ? 』

紫『 心中 。 』


銃口をらんに向ける 。


紫『 起きろよ 、らん 。 』


その閉鎖空間に火花が走った 。





ピッ 、ピッ 、という周期的に流れる機械音 。

太陽光の日差しが俺の手に触れた 。


百『 あれ 、俺 、なにしてた ? 』



_


暗闇の中 、キーボードを叩く音が聞こえる 。

桜色の目に白色の画面の光が灯る 。



「元教え子が元教師の夫を無惨にも … 」


( カチ ッ 、


元教え子が元教師の夫を無惨にも殺害!!元教師と無理心中をも図る!!


先月18日に起こった事件の概要 。

事件が起こったのは午後11時頃 、元教師である被害者男性L 、K 宅に忍び込んだ 紫月 入間 容疑者(当時24歳)は偶然にも家で就寝中の被害者男性Kの身体を滅多刺しにし 、出血多量により死亡させた 。

防御創はなかったと警察は公言している 。

そして帰宅した被害者Lは背後に忍んでいた容疑者に首を締められ 、被害者Lは一時意識を失った 。容疑者は被害者Lを車に乗せ無理心中を図り海に向かった 。

途中で意識を取り戻した被害者Lに抵抗され 、容疑者は被害者Lの腹部や肩部分などを刺し重傷を負わせた 。

その後容疑者は自身の胸部に刃物を差し込んだと見られている 。

刺される前に被害者Lが上げた悲鳴を聞きつけた目撃者が被害者Lと容疑者の無惨な現場を発見した 。

結果 、被害者Lは意識不明の重体 、被害者Kと容疑者は死亡としてこの事件は幕を下ろした 。

犯人の動機などは不明であるが被害者Lは過去 、容疑者の小学生時代の担当教師だったということが判明している 。


___



夏『 考察してくれたら嬉しいです 。 』


___

この作品はいかがでしたか?

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コメント

6

ユーザー

紫にきの精神がおかしくて、教室=監獄(特別教室みたいな)、先生=監視員、みたいな感じで錯覚してたうえで、成長ののちに依存していることに気づいて無理心中したとか、、、?そして瑞ちゃんは同級生とか、、、?、、わからん!!

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