やつらの扱いと真逆に、霊山寺家での僕の扱いは劇的に改善した。今まで娘につきまとう頭のおかしい男という認識だったのが、希死念慮のあるメンヘラは彼女の方で、しかも彼女がかつてやつらの性欲解消のおもちゃだったのを承知の上で彼女を恋人に選んだと知って、僕に対する評価はこっちが戸惑うくらい一変した。男の中の男だと父親に賞賛されたこともある。
僕のことを彼女の父親は婿殿と、菊多は義兄さんと呼ぶようになった。娘の婚約者扱い。僕が彼女の家に行けば、父親は菊多に、
「婿殿が手をつけるまで食事に手をつけるな!」
と怒鳴り散らし、この家で唯一の常識人に見える母親でさえ、
「一番風呂はお婿さんからどうぞ」
と言ってくる始末。お言葉に甘えてお風呂に入っていれば、
「背中を流しにきた」
と言いながら裸の彼女が入ってくる。で、背中を流しに来たはずが、僕を浴槽のへりに座らせて、射精するまでずっとちんちんをしゃぶっている。
結局、彼女の妊娠中絶は事実だった。それが判明してから、セックスしようとすると中折れするようになった。
「ごめん」
「謝るな。悪いのはボクだ」
彼女は僕の中折れの原因を知っているから、まれに中折れせずに射精までこぎつけることができると本当に喜んでくれた。
「夏梅のためにできることはなんでもしたいから、してほしいことがあれば遠慮せず教えてほしい」
しばらく距離を置きたい。それが僕の希望だけど、それを言い出せる雰囲気ではないようだ。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!