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神様だって知らない噺4
『ありがとう泰輝、兄ちゃんの我儘を聞いてくれて』
『ううん、兄ちゃんとお出かけできて僕も嬉しいよ』
そう言って、私の隣で天使のように微笑むのは…
私の大事な大事な弟の泰輝。
私はピンク。
今は家族との時間を楽しむ殺し屋だ。
弟の泰輝は任務で現在極道組織に潜入している。
それもこれも、組織を通じてあの女からの命令だ。
泰輝が【マム】と呼び慕う…厄介な女。
だがもっと厄介なのは…
泰輝が潜入する極道組織にあの小林幸真がいることだ。
あの女は知っていて天羽組に泰輝を潜入させたのだ…。
おかげで小林を警戒して泰輝と接触しなければならない。
忌々しい奴め。
しかも赦し難いことに…
奴は泰輝を気に入っているのか常日頃連れ回しているようだ。
『兄ちゃん?』
『…あぁ、なんでもないよ』にこ
今日はふたりで東京から離れて横浜まで足を運んでいる。
極道という生き物は基本的に自分達が守るシマからは離れない。
さらに身バレ防止に多少変装はしているが…
泰輝はピアスを外し、髪もセットはせずにキャスケット帽を深く被っている。
私は髪を纏めて泰輝に合わせてスーツではなくラフな格好を選んだ。
所謂、お忍びデートだ。
……あぁ、私達は血こそ繋がってないが…
私の泰輝への【愛】は血を超える。
血は水より濃い。
…なんて言うが、私達には関係ない。
『今日は兄ちゃんに付き合ってくれたから好きな物なんでも買ってあげるよ』
『ほんと⁉︎ なら中華街で食べ歩きしたいっ』
『あぁ、好きなだけ買ってあげるさ』
…私達、きょうだいを切り離す存在は
何人たりとも、許さない。