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自己満ストーリーさのじんです
社長💛と秘書🩷設定
今日も忙しなく人が右往左往しているオフィス。ひっきりなしに電話の音が鳴り響き、誰かが誰かを呼ぶ声が聞こえる。
「吉田社長ですね、少々お待ちください。」
吉田社長。聞きなれた名だ。
しかし今回はワークスペースではなく、オフィス入口の方から。恐らく来客だろう。
1人の社員が、社長室の前に立つ俺の元へ少し急ぎ足で駆け寄ってくる。
「佐野さん、吉田社長のお客様が…」
🩷「おっけー、お客様応接室にご案内して。」
返事をしながらもう俺のそばを離れていく。
そんなに急いでも、社長が来るまでは面談も始められないのに。
なんてことを考えながら、彼の秘書である俺は社長室の扉をノックする。
この扉をくぐっていいのは、俺と仁人だけ。
コンコン。
🩷「社長、失礼しますねー?お客様がお呼びですよー。」
返事は来てないけど扉を開けてサッと部屋に入る。
どうせ仁人は行くことになるんだし?許可は別に取らなくてもいい。そもそも、そういう間柄だし。
💛「……いっとくけど俺の返事なしに入ってきたらそれもう確認する意味ないからね?」
🩷「はいはい、分かってるよ。でも行かなきゃ行けないじゃんどっちみち。仁人に拒否権ないみたいなもんでしょ。」
💛「いや、まあまあ、そうですけどね…?」
常識ってもんが欠如してる……だかなんだか小言を言いながら椅子から立ち上がる仁人。
そして体を伸ばしては、深いため息をした。
全く疲れてるのに仕事続きで可哀想な仁人。
俺が癒してあげちゃおっかなあ!
🩷「頑張ってね。じーんちゃん」
💛「んー。っうわ!?ここでそういうことすんのやめろって!」
仁人のジャケットをとって背後にたったその隙に、頬にキスを落とす。
いつもスカした顔してる仁人は、俺からのキスによわい。
🩷「んふ、顔赤いねぇ、そんなんでいまからの面談大丈夫かなあ?」
💛「お前のせいだろ!……はやく連れてけよ」
🩷「はあーい。」
💛「はい、では今回はそう言った方針で……」
あ、そろそろ終わりそーだな。
俺はすこし胸を張り、スーツのしわを伸ばす。
仁人の声が扉に近づいてきた頃に、俺は応接室の扉をそっと開く。
💛「今日はありがとうございました。今後もよろしくお願いします。」
🤍「こちらこそお時間取っていただきありがとうございます。また連絡いたしますね。…あ、勇斗さんも、今日はありがとうございました。」
あ、柔太朗さん。
仁人の友達だかなんだか?の社長さんで、よく話してる人。
相手も中々の大手企業だし、なによりうちの会社にだいぶ投資もしてくれてる。
そんな柔太朗さん相手だ、他の社長とかよりいくらか緩んでみえるものの、仁人はかなり緊張していた。
エントランスまで降りて、柔太朗さんが帰ったのを確認する。
その途端、張り詰めた糸がプツッと切れたように伸びた背筋を緩めた。
もとが少し猫背なせいでより一層小さく見える仁人が愛おしい。
🩷「おつかれ、けっこー長かったね。」
💛「あぁ…もう疲れた……」
🩷「頑張ったねー」
えらいえらい、と言いながら、髪のセットが崩れない程度に頭を優しく撫でる。
いつもなら嫌がるけど、今日は随分気持ちよさそうに目を閉じて甘えてくる。
確か今日は金曜日。そろそろ、アレの時期かな。
疲れたボスを癒すのも、俺の仕事だから。
社長室に戻るまでの間、仁人は誰にも挨拶をしなかった。
無言でただひたすらに歩き続ける。
余程人と顔を合わせたくないのか、いつもなら嫌がる階段を自ら選んで使うくらい。
部屋に着くなり俺を押し込んで扉を勢いよく閉め、慣れた手つきで鍵を回す。
仁人は俺のそばにきてキュッと袖を握ってくる。そして、消え入りそうな声で、
💛「は、はやと……アレ、してほしい…」
と囁いた。
🩷「んー、今週頑張ったもんねえ。」
💛「う、うん、はやく…!」
期待で急かす仁人を落ち着かせるようにまずは優しくキスをして、社長室に置かれているソファにゆっくりと寝かせる。
そしてここで俺が仁人に襲いかか……!
…れるわけもなく!
💛「うあー、そこきもちー…」
🩷「力加減大丈夫?」
💛「あ”〜……さいっこう…」
俺がただひたすらにマッサージをします。はい。
期待しちゃった?それはねー残念なことに俺もなのよ。
だってさ、こんなの裏で秘書と社長が秘密の関係に……!♡的なノリじゃん!?
何健全にマッサージしちゃってんの?
しかも仁人の気持ちよさそうな声… 拷問だ!生き地獄だ!
🩷「結構凝ってる?」
💛「ん……沢山書類みたから…かなあ?」
🩷「あらー、大変ですね」
💛「んん、それは勇斗もでしょ。」
おれも?俺がしてることなんて、仁人でいかがわしい妄想することくらいだけど…
💛「俺のスケジュールが組みやすくなってるのも、お客様の接客に専念できるのも、お前のサポートがあるからだし。」
いつもありがとう、なんていって少し照れたように笑う仁人。
🩷「おまえほんと……いいやつだなあ〜!!」
💛「うわあ!ちょ、いたたた!!」
仁人が俺を必要としてくれてるのが嬉しくて、愛おしくて、思わず思いっきりハグをかます。
突然体重かけたから、若くしてヨボヨボ老体じんちゃんに怒られちゃったけど……
君も満更じゃ無さそうですけどね?
しばらく仁人を癒し続けること数分後……
🩷「はいっ、しゅーりょーです!」
💛「んーっ、はぁーー」
俺が寝そべっていた仁人のおなかを軽く叩くと、仁人がクソでかい声を漏らしながら体をぐっと伸ばす。
💛「あー、まじ体軽っ。すげぇ」
🩷「まあね!明日と明後日は休みだからさ、ゆっくり休みなさいねー」
💛「はーい」
綺麗に整頓された社長室。
俺が掃除するべきなんだろうけど、無理なんだよなーー書類整理とか…
ここばっかりは仁人に任せきりになってしまっている。
本人は俺がやりたいからやってるんだ、とは言ってるけど。
ま、俺は俺にできることを全力でやるしかない。
ゆくゆくは出来ること、増やしていきたいけどねえ。
🩷「じんと」
💛「……ん?」
仁人はもう明日の予定を確認している。
オフでも予定たててるんだ……
🩷「俺さ、お前のそばで働けて嬉しいよ」
💛「な、ど、どうしました?急に……」
🩷「んー、いや、突然思った。」
💛「…うん、でも、おれも勇斗と毎日こうやって好きな仕事できて、うれしい。」
手に持っていたスマホをきゅっと握りしめている。照れているんだろう、分かりやすくて可愛いな。
俺は信頼されてる。
俺も仁人を信用してる。愛してる。
この関係を守るためなら、おれはどんなことだって、どんな場所にだって、いつまでだって仁人に寄り添っていられ……
💛「あのさ。」
🩷「どしたの」
突然、さっきとは反対に思い詰めた顔をしている仁人。
何度か言葉を発そうとしては、口を閉じたり。
何か悩みがあるんだ。
こういう時俺にできるのは、最大限寄り添って、仁人の考えを整理してあげること。
こいつ、部屋の整理は出来るのに自分の気持ちには寄り添えないんだよ。
🩷「いーよ、いってみ」
💛「……勇斗、おこるかも。」
🩷「怒んねーよ、俺ちゃんと受け止められるよ。」
💛「おれさ、この仕事、やめようかと思って。」
酷く真っ直ぐで、決意の固まった目をしていた。
口が突然乾いたように感じる。
だってさっきまで、俺と好きな仕事できて楽しいって言ってたじゃん。なんで?
だって、仁人が辞めちゃったら俺どうすればいいの?
仁人と仕事することだけが、俺の生きがいなのに。
あ、ダメだ。
俺は仁人の秘書として、恋人として、こんなわがまま許されないのに。でも、抑えられない。
💛「弟に譲ろっかなって。俺ってあんまりカリスマ性?とかないし…」
💛「誰かの……勇斗のそばで慎ましく生きるのが好きって最近気づいてさ、」
やべ、頭に入ってこない。
その話どこまで進んだの?俺はどうなるの?
ねえ、俺はお前を幸せにしてやれなかった?
💛「勇斗……?」
中々答えない俺を、不安そうに下から除く仁人。
この時のおれは、なかなか恐ろしい顔をしていたと思う。
💛「はやと、おこって…」
🩷「怒ってないよ。うん。全然。」
声が震えてるのに、これは流石に無理があった。
でも、仁人が悪い。
🩷「ねえ、おれはどうなっちゃうの。もし仁人が辞めちゃったら。」
💛「あ、それは大丈夫だと思う。秘書の仕事は俺の弟に着いてもらえば引き継げるし……」
🩷「それじゃダメなんだけど。」
思わず口を飛び出した言葉だった。
弟?仁人の家族は仁人と同じくらい大切にしたい。
だけど、それとこれは話が違う。
💛「えっ、と…」
🩷「おれ、仁人じゃないとダメなんだけど。」
💛「は?」
いつもよりも低い声で、威圧するように言葉を吐き捨てる。
だって、仁人にはやめて欲しくない。俺はまだ仁人と一緒に仕事がしたい。
こればっかりは譲れないんだよ。
💛「わかった、わかったから怒んないで…?」
あ、仁人を怖がらせてしまった。
泣きそうな顔をしている。
こんなはずじゃなかったのに。どうしたらいいんだろう。
🩷「ねえ仁人、まだ俺の事、傍においてよ……」
消えそうな声で、必死に仁人の胸に縋り付く。
💛「は、やと、」
あの件から数日がたった。
俺は今日、仁人似合う気になれなくて、休日なのに一緒に過ごさなかった。
いつもは仁人の部屋で過ごすのに。
❤️「はやちゃん、おまたせ!」
🩷「おっす、俺も今来たとこだよ」
今日は仁人とは過ごさない。
代わりに、秘書仲間の舜太とご飯を食べることにした。
舜太は、柔太朗さんの秘書。仁人があまりにも柔太朗さんと仲良いから、俺らも自然と顔合わせするようになって、そっから意気投合!ってかんじ。
舜太は俺よりもずっと年下なのに、よく頑張ってるなと感じる。頭いいし。
❤️「てか、今日どしたん?なんか悩みあるって聞いたけど!」
🩷「ああ、そう、それのことなんだけどさ……」
おれは、あの日のことを詳細に舜太に話した。
仁人が社長をやめようとしていること、俺は弟の秘書になるかもしれないこと、そして、おれは仁人から離れたくないってこと。
一通り聞いた舜太は、真面目な顔で頷いてくれた。
❤️「うーん……仁ちゃんの考えがイマイチ伝わってこーへんなー」
🩷「仁人の?」
❤️「そう、仁ちゃんなりにも何かしら戦略があるんやないの?無鉄砲にやめたい!なんて言う人ちゃうやん!」
🩷「……たしかにね」
舜太はいつも客観的なアドバイスをくれる。
やっぱ今日こいつと話してみて良かった。
それにしても、仁人の考えか……俺にもわかんねぇよ……
🩷「いや、わっかんねーんだよなぁ…」
❤️「…え?じんちゃんの話きいてないの??笑」
🩷「あ、うん、きけなかった。」
❤️「それじゃーだめよはやちゃん!」
舜太がわざとらしくため息をつく。
年下にため息つかれるおれ…情けないな。
❤️「ちゃんと話し合わなあかんよ!はやちゃんが焦っちゃうのも分かるけど、じんちゃんの話まずはきかないと!」
それが秘書やん?なんて、かっこいいセリフまでいわれた。
でもごもっともだと思った。
おれパニクっちゃって、仁人の話聞く耳持てなかって、今日だって会えるはずなのに、仁人から逃げちゃった。
明日はまた仕事があるし、その時はちゃんと話聞かなきゃ。
今日は会議があった。仁人も出席するやつ。
「〜という企画です、どうでしょうか……?」
社員の人が一生懸命にプレゼンをしている。
会議室全体を見渡してるようで、チラチラ仁人の方に目が言っているのがわかる。
緊張するよな。
……今日はまだ話せてない。
秘書と言っても、付きっきりのお世話係じゃないから仕事あるし。
タイミング合わなくて話しかけられなかった。
ちゃんと話したい。
無意識に眺めていると、一瞬仁人と目が合った。
すぐにそらされて、仁人はプレゼンの評価をはじめていた。
💛「うーんと、この企画ってそもそもターゲットどこだっけ?」
仁人が話し始めると、みんな何言われるかビクビクしだして。
焦った顔で説明を加えている。それにまた仁人が質問して…を数回繰り返したあと。
💛「なるほどね、おっけー!よく出来てる!あとはさっき話したところ考え直してみて。」
「…ありがとうございます!!」
安心しきったようにお辞儀をする社員さん。
会議が終わったあとも、仁人は多くの人に囲まれて談笑していた。
こうして社長が社員と直接話をするのは、うちくらいの企業だと珍しいから尚更。
仁人がみんなに囲まれて楽しそうに話しているのを見ると、やっぱりあいつは1人孤高に指揮を取るよりも、ああやってみんなといた方が楽しいのかな、とか思ったり。
…やっぱ、俺もそろそろ引き際なんだね。独り占めしすぎたか。
俺は楽しそうに話す仁人を、申し訳ない気持ちのまま呼びかけた。
🩷「社長、そろそろ次の予定がありますので…」
💛「あっもうそんな時間?じゃあ…皆さん、これからもよろしくお願いしますね」
みんなにぺこりと挨拶をしてその場をあとにした。
車で移動中。
俺は今しかない、と思って話しかける。
🩷「仁人」
💛「ん?」
仁人も俺が何を言おうとしてるのかなんて分かってるはずなのに、知らないふりをする。
🩷「あのさ、俺、仁人の夢なら応援したい。」
💛「……え」
🩷「この前はごめん。俺の気持ちだけで、お前を怒鳴りつけるみたいなことしちゃった。」
💛「はやと、」
仁人が楽しく過ごせるなら、それでいい。
俺が仁人を幸せにする、最適解がこれなんだろう。
💛「おれ…勇斗とカフェ開きたい」
🩷「……は?」
それからと言うものの、大企業で培ってきたノウハウを元にカフェを経営し、無事繁盛した。
仁人とお揃いのリングを薬指に光らせ、俺は今日も幸せに暮らしましたとさ……
🩷(なんでこうなったんだ?)
せんたくのり
ばた子
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