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まみか
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小豚ちゃん
乙骨憂太は、高専の医務室から少し離れた廊下の角で、五条が立ち去るのを静かに見送っていた。その顔には、先ほどまでの激しい戦闘の面影は微塵もなく、ただ静かな思慮が宿っている。彼が刻と虎杖に向けた視線は、同胞への共感にも似た、複雑な温かみを帯びていた。
彼は、里香の呪力の余韻が消えゆく先で、一人つぶやいた。
「……水乃刻。あの子の呪力、僕や五条先生のような、『与えられた才能』とは少し違う。あれは……『生存』そのものが呪術と化したような、歪で、だからこそ誰よりも純度の高い執着だ」
乙骨にとって、刻という存在は自身の「純愛」という呪いと奇妙な共鳴を見せていた。自分は死んだはずの里香を呪い、その力で誰かを守ろうとした。対して刻は、実験という名の地獄から這い上がり、虎杖悠仁という唯一の救いを手に入れることで、自身の存在意義を確立した。どちらも、理不尽な世界で愛を叫び、その代償として己を削り続けていることに変わりはない。
彼は懐から、里香の形見である結婚指輪を指でなぞった。刻が五条に対峙した際に見せたあの鬼気迫る覚悟。もし、あの時自分が本当に虎杖を殺していれば、あの少女は躊躇なく世界を敵に回していただろう。その恐ろしさと、どこか自分を見ているような危うさに、乙骨は胸の奥が締め付けられるような感覚を覚えた。
「虎杖君。……君は本当に、凄いものを引き寄せるね」
乙骨は刻を危険な「標本」としてではなく、これからの呪術界における「予測不能な変数」として認識を改めた。彼自身、上層部からは虎杖を殺すという縛りを課されていたが、刻の介入によってその歯車は完全に狂った。しかし、乙骨はそれを後悔していない。
彼は一度だけ医務室の扉を振り返った。中からは虎杖と刻の、微かな、しかし安らかな話し声が聞こえる。乙骨は、自身が背負う孤独の重さを、ふと彼らに預けたような安堵感を覚えた。
「僕が君たちを殺す未来は、もう消えたよ。……これからは、共犯者として、同じ地獄を見ることになるだろうけれど」
乙骨は静かに背を向け、校庭へと歩き出した。彼の影が夕日に長く伸びる。刻という異質な術式を手に入れた虎杖と、そんな虎杖に全てを捧げる少女。彼ら三人が交差したことで、呪術界の均衡は、以前よりもさらに予測不能な混沌へと向かっていた。だが、少なくともこの瞬間、乙骨の心の中にある「純愛」の呪いは、彼らの絆に一筋の希望を見出していた。
コメント
1件
うわあ~第9話、めっちゃ良かったです😭💕 乙骨の内面描写が深くて、特に刻ちゃんへの「自身と重なるものを見た」って視点がエモすぎる!! 同じ純愛でも形が違うからこそ響くんですね、、、刻ちゃんが虎杖くんを守るために世界と戦う覚悟、それを受け止める乙骨の「共犯者」発言に胸熱🔥 最後の希望の光、続きが気になりすぎます!!