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るな
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#俺達は血液だ
有 栖
501
紫雲/シウン フォロバ
313
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昼休みのチャイムが鳴り響く。ざわめく教室の中で、沢村りおは一人、窓際の席に腰を下ろしていた。
弁当箱を静かに開け、黙々と箸を動かす。
周りの笑い声や雑談が、遠い世界の音のように感じられた。
「りお〜! 一緒に食べよ!」
元気な声とともに、橘ゆずが弁当を持って駆け寄ってくる。
りおはちらりと目を向けた。
「……ゆず、そんなに毎日誘わなくていい」
「いいじゃん! りおと食べる方が落ち着くんだもん」
「私、別に何もしてないけど…」
「知ってる。でも、りおがいてくれると楽しいんだよ」
あっけらかんと笑うゆずに、りおは少しだけ肩をすくめた。
「(ほんと、変なやつ)」
りおとゆずは小学校の頃からの付き合いだった。
性格は正反対。
けれど、落ち着く相手。
ゆずは、りおが無言でも気にせず隣に座る。
それがりおには、居心地のいい相手だった。
「ねえ、りお。今度さ、ボーダーの見学行かない?」
唐突にゆずが言った。
りおの手が止まる。
「ボーダーって……あの、防衛組織?」
「そう! 三門市を守ってるってとこ! 最近うちの学校にもスカウト来てたんだよ!」
「スカウト?」
「うん。トリオンっていうのが多い人を探してるんだって。で、なんと!」
ゆずが胸を張る。
「私、声かけられたんだ!」
「……そう」
「え、リアクション薄っ!」
ゆずが笑う一方で、りおの表情は変わらなかった。
心のどこかで、その言葉が引っかかる。
「(トリオン……?)」
「りおもきっと多いと思うよ。なんか、そんな感じする」
「根拠ないでしょ」
「直感! 私の勘、当たるんだよ〜」
「……興味ない」
「なんでよ!もぉー」
ゆずの声が弾む一方で、りおは窓の外を見つめる。
グラウンドの向こう、青空の下で走る生徒たち。
その景色がやけに遠く見えた。
放課後。
ゆずと別れたあと、りおはいつもの帰り道を歩く。
商店街を抜け、人気の少ない住宅街へ。
空気が冷たくなるにつれ、心の奥が沈んでいく。
家のドアを開ける。
誰もいない。
暗い部屋、静かな空気。
靴を脱ぎ、鞄を置き、ソファに座る。
左手のブレスレットが、微かに光を返した。
古びた銀の輪に、黒い石がひとつ嵌め込まれている。
「(お姉ちゃん…)」
写真立ての中、優しく微笑む姉。
そして、いない母。出て行った父。
りおは小さく息を吐く。
「……家族なんて、もういないのに」
その時、玄関のチャイムが鳴った。
「?」
誰も来るはずがない。
恐る恐るドアを開けると、そこには…
「やあ、沢村りおちゃん?」
水色の隊服を着た青年が、穏やかに笑っていた。
「君に、ちょっと話があってね」
りおは目を瞬かせた。
「……誰ですか」
「俺? ボーダーの迅悠一。スカウト担当、みたいなもんかな」
聞き覚えのある名前。
ゆずが言っていた「スカウトの人」。
「君、橘ゆずちゃんの友達でしょ? 少し話してみようと思って」
「……何の話ですか」
「君の“力”の話だよ」
りおは眉をひそめた。
「……力?」
迅はふっと笑う。
「まぁ、難しく考えなくていいさ。 近いうちに、君自身で分かるよ」
そう言って、彼は片手を軽く上げた。
「じゃあ、また」
次の瞬間、風が吹き抜け、男の姿はもう無かった。
りおは呆然と立ち尽くしたまま、左手のブレスレットを見下ろした。
黒い石が、かすかに脈打っていた。
「(何なの..今の)」
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