──────めめさん視点──────
「?なんで武器を構えてるんですか?」
八幡さんが訳が分からない、とでも言いたげに困惑した表情を浮かべていたが、それは、こちらがしたい表情である。先程の言動、とてもじゃないがまともな精神状態ではない。もしまともだったとしても、そちらの方がおかしいだろう。闇に、悪に堕ちた龍を、死神の名において光へと、正義へと連れ戻す義務が、私には──────そう思いかけてから、私は鎌を闇へと溶かす。良く考えれば、私は戦争を行うことを知らされていなかった。…つまり、神から見放されている可能性がある。…神として、認められなくなったのでは?と嫌な予感が脳内で危険信号を灯す。でも、私は死神だし、種族長でもある。マントの内面に隠された、ブローチがキラリと光る。私が、種族調である証は、未だに光り続けている。なら、まだ私は死神であるのだろう、と確証を得る。
…こんなにも長いこと思考していたのに、妨害されないのか、と正直驚く。
「あぁ、また、そうやって、私を突き放すんですね…?」
ふっと八幡さんの目に、光が消える。目に映るのは深淵で、どこまでも深い色が私を捉える。その目に、涙の膜がはられ、瞬きをすればそれは雫となって頬をつたう。まるで、一枚の絵画のように儚く、美しいその泣き様に思わず見とれてしまう。涙すら美しいとは、この龍も長年生きていただけあって、侮れない。
「一緒にいて欲しい、その願いは強欲なんですか?邪魔になるものは全部排除しなければならないんですか?…宝物を、守ってはいけないんですか?」
八幡さんは問いかける。悩ましげに眉毛を揺らし、何粒もの雫が八幡さんの目から流れ落ちる。まるで、流れ星かのように光に当てられきらりと光る。美しい。これ以上の感想が出てこない。息が詰まる。私は1歩、八幡さんに歩み寄る。この行動はほぼ無意識で、足が、勝手に動き出す。二歩、3歩、八幡さんに歩み寄る。
「…。……!」
喋れない口で、どうにか励まそうと頑張る。励ます方法は言葉だけではない。態度でも励ますことが出来るのだ。先程まで抱いていた恐怖が和らぐのを感じる。八幡さんは、私に嫌われるかもしれない、という覚悟の上で本心をさらけ出してくれたのだ。ならば、私だって、その気持ちに寄り添わなければ、そう思う。
「めめさん…優しいですね。……質問、していいですか?」
私が、無言でこくりと頷くと、八幡さんは疑問を私に問いかける。
「なんで、れいまりさんを殺したんですか?」
その言葉に私は動きを止める。
八幡さんは無言で驚く私を見て少し笑みを零しながら話し始める。
「分からないわけないじゃないですか。何千年一緒にいたと思うんです?バレバレですよ。で、なんで殺したんですか?」
その問いに私の頭は一瞬で真っ白になる。八幡さんは止まらない。
「本人の同意があったから?───なんで止めないんですか?覚悟が決まってたから?──それだけの理由ですか?あなたは、まだ生きれる命を、魂が消滅することを知った上で、殺したんですよ?…神だからってこの横暴が許されるんですか?」
違う。違う。違う。それは、れいまりさんが望んでいたから。痛みを感じるよりは、痛みなくしねた方がいいと思って。
「死神なんですから、みんなが死ぬかもしれないこと、わかってましたよね?なんで諦めたんですか?救えたかもしれない命を。…なぜ、見捨てたんですか?見殺しにして、割り切ってるんですか?」
違う。あれは、もう避けられないから。仕方がない。仕方がなかった。それに、それに。
「この人殺し…!!仲間を殺してのうのうと生きて、自分は仲間が死んだショックで声が出ない〜力が入らない〜…でしたっけ?」
違う、そんなつもりはなかった。声が出ないのは、自分でも分からない。違う、本当に違う。呼吸が、苦しい。過呼吸になる。
「え〜神なのに、過呼吸になっちゃうんですか?神様って全知全能じゃないの?あ!死神だから死に対してなんとも思っていないんですね!どーせこの世界中にたくさんの人がいる訳ですから、誰が死のうがど〜でもいいですよね〜!」
「……ッッ!!!ぁ……ッ!ハッ……!!」
違う、違う。仲間は特別だから。他の人とは違う。大切な、大切な。
「その大切な仲間だって言う人を、あなたは見殺しにしたんですよ?」
「ゲホッ…ッガハッ……ッッ……ハァッ…ハアッ…」
聞きたくない。聞きたくない。こんな現実思い出したくもない。私は、見殺しにして。
「…ほら、めめさん。分かりますか?私の気持ち。暴言も、煽りも、神に仕えている間は全て、全て許しましたよ!!だけど〜…?」
八幡さんは大声で叫びながら魂の叫びを言い出す。
「髪の束縛は消え、私は自由となり、謳歌していたのに…!!欲しかっためめさんも手に入れたのに…!!めめさんが、私を否定するから…!!なら、あなたもそれ相応の傷をおう必要があるんですよ。」
八幡さんは私の顎に手をかけ、強制的に八幡さんと目が合う。
「仲間の傷は平等であるべきでしょ?1人だけが傷ついちゃいけないんですよ。めめさん、あなたは仲間の死を軽んじている。…なぜ、仲間を殺したことを忘れようとしてるんです?責任から逃げないでくださいよ。」
「あ、…ぁぁ……。」
私が力無くうなだれていれば、八幡さんは恍惚とした表情で私を見つめる。
「ほーら。手に入れるには時には傷つけるのも大事なんですよ…ね?
──────めめさん、その傷、私が治してあげるから…ね♡」
…私はその時八幡さんが悪魔に見えた。
ここで切ります!!…はい!すみません!私の書きたい方向はと変わってしまいました…。やばい。本当にまずい。話の流れが大幅に変わっちゃったんですよねぇ…。八幡さんが、八幡さんが暴れてるんよ…!!…いや、まだ、まだいける…!!やるしかない!!てことで、次回は方向修正行います。…八幡さんの強欲、合ってるといえばあってるし、これはこれで狂人感が出てて、いいですね〜ってことにしときます!!
それでは!おつはる!!
コメント
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洗脳されそうになってる…
八幡さん恐ろしすぎるよ…