──────めめさん視点──────
バンッ
思いっきりドアが開く。八幡さんがゆっくりと振り向けばそこには、白髪の腰まで伸びた長髪、口元を半透明のベールで隠し、踊り子のような格好を水色や、青色といった寒色で彩られている。瞳には、青く、美しく、深海まで凍りついくほど冷たい光なはずなのに、その中にはあたたかい光を携える。
「…!!やはり、ですか。」
そう、言った彼女──────みぞれさんは、私の部屋と足を踏み入れる。その後ろからはルカさんもおり、みぞれさんの後を継ぐ。
「?どうしたんですか?」
八幡さんが不思議そうに言う。八幡さんは、長年生きてきたため、常識も、感性も、感覚も、全て麻痺しきっているのだ。常識という2文字が八幡さんには存在しない。…今までの狂人っぷりはもしかしたらジェネレーションギャップと言うやつかもしれない。
「八幡さん…めめさんに何をしようとしてたんですか?」
みぞれさんは八幡さんに対し、問いかける。こんな状態を見ても下手に出るのはいつもの癖なのかもしれない。
八幡さんは、みぞれさんの質問に対し、軽く答える。
「ん?私のモノしようとしただけですよ?」
八幡さんは、にこりと笑う。軽く言った内容にしては恐ろしいことを言っている。みぞれさんは、そうですか、と一言言ってそして、忠告を行う。
「八幡さん、それは現代では間違った思想です。…あなたは、悪へと堕ちたというのですか?」
みぞれさんが八幡さんを淡々と言葉で詰めていく。少し、少しづつ逃げ道を消していく姿は、獲物を追い詰める捕食者のようだった。
「…神を正義とするならば、私はとっくの昔に悪だよ。」
八幡さんが皮肉った笑みを浮かべるが、みぞれさんは、それに真顔で返す。ルカさんは気まずそうに1歩後ずさる。
「いえ、私が言っている悪はそれではありません。」
その瞬間、この空間全体に吹雪が吹き荒れる。ここ一体の気温がぐんと下がり、雪が、氷が、光を覆い隠し、影を作りだす。ここら一体の空間がみぞれさんによって支配されていく。
「私が言った悪は、我々めめ村に敵対すること…。この村の村長であるめめさんを傷つけ、我が物したいという強欲な願いだけでその愚かな行動をするというのならば──────」
瞬間、みぞれさんの背後に、氷と雪で構成された大きな鋭い氷柱と氷で造られた鋭い剣や、ナイフなど、様々なものが背後で舞っている。…正直、こんなにガチギレしているみぞれさんを始めてみた。今日は初めてのことが多く起きる日だな、と現実逃避すらしてしまう。
「私、みぞれが自ら断罪しましょう。」
みぞれさんの瞳には明確な殺意と、圧、そして、本当にやり得そうと思ってしまう気迫があった。八幡さんはクックックッと喉で笑う。
「私はめめさんが1番欲しいってだけで、大事なものはめめ村ですよ〜。めめ村にも、メンバーにも迷惑がかかるというのならば私は手を引きますわ〜。…そもそも、感情を伝える程度でとどまらせておこうと思ってましたけどね。」
八幡さんはそう言って、翼をしまい、角をしまい込む。いつも通り…と言えるべきかは怪しいが、とりあえず、不安は消えた。私は心底安堵する。
「ぁ……たす……カッ…たぁ……。」
まだ、上手く喋れないけれど、声は出せるようになる。その様子を見ると八幡さんも嬉しそうに、安堵したかのように、笑顔をうかべる。あくどい笑なんかじゃ無くて、本当に、聖母のような笑みだった。
「声が出るようになって良かったです。…驚かせてすみません。あなたを手に入れるのはまた今度にしましょうかね。」
八幡さんがそういうものだから、みぞれさんは雪玉をぽすっと八幡さんにぶつける。
「やめてくださいね?全く…。…本当なら、めめさんと二人で話したかったんですけど…。今、さすがにふたりになるのは嫌でしょうし、話したかったことはまた今度にします。…暫く休んでおいてください。八幡さんは私たちが見ておきますから。」
「…え?俺も!?」
先程まで空気かのように黙っていたルカさんは突然自身の事を言われ、思わず大声を出している。みぞれさんは当然とばかりに、少し語気を強める。
「当たり前ですよ!むしろ、私一人で出来ると思いますか?」
「…。」
「ほら、じゃ、手伝ってくださいね。」
「…まあ、ほぼなんもやってないですし…わかりました。やります。」
「よろしい。」
完全にみぞれさんが母は強し状態になっていて、心の中で笑う。八幡さんが私の部屋から出る最後の時に、2人にバレないように振り返り、いたずらっ子のように舌を出す。
…もしかしたら、八幡さんにとってはこのことはいたずら程度のことなのかもしれない。…八幡さんの発言が嘘なのか、それとも本当なのか…思考が、本当に読めない。困ったものだ。…それにしても、勇者のくだりを私は知らない。一体なんの事だろう。4億年前は私は存在すらしていないのだから。
ここで切ります!!めめさん編が!!めめさん編が長いよ!!次回はぜんさんの遺書読みます!ご把握のほど…。この物語の完結の道筋がある程度たってきましたが…ん〜なっか中に難しいですね!はい!思うように進まない、というより自分の趣味に走りがちな気がします。…ユルシテ
この小説の世界観をまとめたものを番外編とはまた違ったやつで作ろうと思ったのですが、いりますか?例えば、天使について設定をまとめたり…とかですかね?いらないならば作らないでおきます…はい。後、人外ハンターが結局なんだったかも解説したいですね〜。
それでは!おつはる!
コメント
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めめさんだけでなくめめ村を大切なものと認識しててよかった