淡路島の南部・・・
太平洋の大浜海岸を臨む海沿いに、堂々たる佇まいで『高級旅館山田荘』はそびえていた
白壁と瓦屋根が織りなす老舗旅館の風格は、まるで時代を越えた物語の舞台のよう。海風が運ぶ塩の香りと、遠くで響く波音が、旅館の庭に広がる玉ねぎ畑の緑と溶け合う
ドドーン!!・・・パーンッッ!
夏の夜、海辺で花火大会が始まると空を彩る光の華が海面に映り、
まるで天と海が一つになったような幻想的な光景が広がっていた
山田荘のハネムーンスイート、そのバルコニーには、韓国出身の『パク・ジン』と『山田桜』が並んで立っていた・・・偽装結婚の「婚約者」として桜の実家の淡路島を訪れた二人だが、今夜の花火は、彼の心に予期せぬ愛と欲望を散らしていた
桜は、白地にレトロな金魚柄の浴衣をまとい、風に揺れる耳元のおくれ毛をそっと押さえた・・・淡路の海から上がる花火が、彼女を全体にピンク色に染める
ジンは、黒いTシャツにハーフパンツで、普段のスーツ姿とは違う柔らかな雰囲気を漂わせていた
大阪のITスタートアップアプリ会社「WaveVibe」の敏腕鬼CEOとして恐れられる彼だが、今はただ、淡路の夏の夜と隣の美しい女性に酔いしれているただの男だった
「う~ん・・・」
ジンが小さく呟き、視線を海の花火から桜に移した
無数の星が彼女の背後に輝く中、 桜が首をかしげ、ジンに優しい笑みを浮かべる
「どうしたの?あなた?」
ジンの目が桜の浴衣姿に留まる・・・金魚柄が淡い光に揺れている
「僕は韓国人だから・・・浴衣が不思議なんだ・・・」
彼の声は低くどこか探るような響きを持っていた
「キチンと肌が隠れているのに・・・」
パーン・・・ドーン・・・・
山田荘のバルコニーから見下ろす大浜海岸では、花火が次々と夜空を裂き、火花の雨を降らしている
観客の歓声が遠くに響く、ジンの視線が、彼女のうなじに落ちる
浴衣の襟元から覗く白い肌と華奢な首筋が 花火の赤や青に照らされ、息をのむほど繊細だった。ほっそりしたウエストには赤い帯が巻かれ、その上にこんもりとプリンの様に胸が盛り上がって乗っかっている、キュッと縛られた赤い帯に強調されて姿勢よく座っていると、彼女の形の良いヒップが突き出ている、なんと・・・女性の浴衣姿とはとても艶やかで麗しい
「どうしてこんなに色っぽいんだろう・・・」
ジンが囁くように続ける
「そうか・・・うなじだ・・・」
「キャンッ!」
桜が小さく声を上げて肩をすくめた、 ジンの人差し指が、そっとうなじに触れると、くすぐったいのか彼女がクスクス笑う
まるで淡路の海風のように軽やかで、しかし誘惑するような愛撫だった
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あちらで、読めなくなっていたので、嬉しいです😊