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(――おじさんに負けてることを、思い知りやがれ!)
ふたりが微笑みあっている姿に、宮本はどうしていいかわからなくなる。しかも谷間に腕を挟まれた状態を脱したいのに、皮膚に感じるふにふにした柔らかさのせいで、下手に動かすことができなかった。
「まーくん、彼女いるの?」
「付き合ってる人がいるので、この腕を離してくださいっ!」
即答したのに、女は脇を締めて宮本の腕を胸で包み込む。
「まーくんってば、嘘ついてるでしょ?」
「嘘じゃない、本当のことなんです!」
「そうだぞ。コイツこう見えて年上キラーでさ、美人の彼女持ちだ」
しれっと自分のことを言った橋本に、宮本は目を見開いて固まった。
「まーくんが年上キラー……なんか意外かも」
橋本の言葉を聞いて、女は宮本の腕をやっと解放する。それに安堵しながら、ふたたび何かされないように、じりじりと距離をとった。すると橋本が宮本の前に立ち塞がり、さりげなく壁になってくれる。
「まーくん、その彼女の写真見せて!」
ふたりそろってホッとしたのもつかの間、女に写真をせがまれて、ぶわっと緊張感が高まった。
「えっと彼女ってば写真苦手で、撮影許可がおりなくて。一枚も持ってないっす」
実際は橋本の撮影会をさきほど車内でやって、ここぞとばかりに写しまくったことを、口が裂けても言えないと思った。
「本当に一枚もないの?」
「あ、はい。頭(ず)が高くて、なかなか頼めなくて」
頭(ず)が高いってなんだそりゃと、橋本は背後にいる恋人を白い目で見つめる。その視線に気がつき、宮本は苦笑いでやり過ごすしかなかった。
「そんなんじゃセックスするのも、いちいち頭を下げて頼んでるの?」
女は大きい胸を強調するように両腕を組み、ニヤニヤしながら橋本の影に隠れる宮本を見つめた。嘲るような女の笑みに内心イラッとしたが、事実を伝えれば馬鹿にされないと考えて素直に答える。
「それは大丈夫っす。エッチ大好きなんで積極的にぃっ、痛っ!」
余計なことを言わせない勢いで、橋本は宮本の額をグーパンチで殴った。
「おまえ、年上の彼女が聞いたら、ぶっ殺されるぞ」
「ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノごめんなさいです!」
見るからに憎悪が漲る橋本の視線に、宮本は恐れおののき、両手で口元を覆った。
「おじさんってば、エッチ大好きな年上の彼女と知り合いなの?」
橋本としては、エッチ大好きな年上の彼女というワードに不満はあったが、逆にそれに乗っかってやろうと思いつく。