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現世くるり ◤ ペア画なう ◢
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「」せりふ ()こころ
桃 side .
『なかの者に告ぐ。建物は完全に包囲されている。速やかにドアを開け、外に出てきなさい』
平屋の古びた壁を突き抜けて、林の向こうから拡声器の乾いた機械音が響いてくる。
外の世界のノイズが、ついにこの部屋のすぐ外側まで押し寄せてきていた。
激しい車の排気音、何十人もの大人が地面を踏みしめる足音。
かつてなら俺の心臓を凍りつかせたはずのその不穏な音も、今の俺たちにとっては、ただ二人の結婚式を祝福する退屈な讃美歌のようにしか聞こえなかった。
「らんらん、スープ温まったよ。冷めないうちに飲もうね」
すちは拡声器の声など最初から聞こえていないかのように、穏やかな、世界一優しい恋人の笑顔でトマトスープの乗ったトレイを運んできた。
真っ白な、お揃いのシャツを着た俺たち。
すちの手が、俺のスープをすくって優しく口元へと運んでくれる。
「うん……美味しい。やっぱり、すちの作るスープがいちばん好き」
「よかった。らんらんの最後の記憶が俺の味になるなら、俺の人生にはそれだけで、お釣りが来るくらいの価値があるよ」
俺が微笑むと、すちはうっとりと喉を鳴らした。
スープを一つのスプーンで半分こしながら、俺たちは静かに、けれど狂おしいほどの愛をお互いに確かめ合う。
外の警察どもは、必死に俺を「救出」しようとしたり、すちを「逮捕」しようとしたりしているのだろう。
でも、無駄だ。
俺とすちを引き離せる人間なんて、この世界には最初から一人もいない。
俺の笑顔ひとつで人を殺し、俺の言葉ひとつで一緒に死ぬことを選んだ、俺だけの可愛い怪物。
俺はその怪物の頭を抱き寄せ、耳元で甘く、囁いた。
「ねえ、すち。外のゴミどもがうるさいね。……早く、おれらだけのセカイに行っちゃおっか」
「うん、らんらん。お前が望むなら、今すぐにでも」
すちは俺の唇に、深く、熱いキスを落とした。
トマトの甘酸っぱい味が、二人の口内でドロドロに混ざり合っていく。
外の包囲網が完成し、ついに玄関のドアがドンドンと激しくノックされる音が響き始めた。
破滅の足音がすぐそこまで迫るなか、二人はただお互いの熱だけを貪り、最後の最高に甘美な瞬間に向けて、静かに、そして幸せそうに笑い合った。
【こ】
episode 22 . fin_
コメント
4件
えっ、えっ…えっ……!!!!(小川化) 警察消えろッッッッッッッッ もう大好きなんですよこの翠桃もこの共依存もこのお話もこの主様も!(?) 一瞬終わりかと思った、続き…あります…よね、?
🌾失っ 警察来んなぁぁぁふぁっ✗おっと失礼しました 挽回方法どうしよう。 取り敢えずしゃちほこのモノマネでもしときますね。 翠桃はいつでもてぇてぇですねぇ。 オソロの白シャツと一つのスプーンてそんなんもしやあーんをしているということだなぐふh(((((殴 表現が好きすぎるんですよねっっっ 終わりそうでかなちいけど次回楽しみっっっ
わあ……第23話、読み終えました。 外の拡声器の音が、二人にとっては「退屈な讃美歌」にしか聞こえないっていう表現、ゾクッとしました。すちがトマトスープを運んでくるところも、警察が包囲してるのにお構いなしで「半分こ」してる甘やかさも、全部が愛おしくて切なくて。 「最後の記憶が俺の味になる」って台詞、胸に刺さりました。トマトの甘酸っぱさがキスの味と混ざるラストの描写、本当に美しかったです。破滅が近づくほど静かに、幸せそうに笑い合う二人の姿に、胸がぎゅっとなりました……😢💔