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架那が待つ、校門前に向かうと
「千鶴~!!遅いよぉ?どうしたの?」
と、架那が大量のファイルを持って待っていた。
「あ、架那!んーん、何でもない!」
「あ、そう?あ!また図書館行ってた?」
高校付近には大きな図書館が設置されている。
「まぁ、色々とね?」
色々って、と笑う架那の様子を伺う千鶴は辺りをきょろきょろと見渡すと。美しいオレンジのグラデーションと紺色に交わった白い雲が掛かっていた。その景色がまるで空に放たれた矢のようだった。千鶴と架那はスマートフォンの電源を戻すと太陽の光が沈むのだ。
「なんか、昨日の夜空よりも綺麗だねー」
千鶴が呟くセリフはまるで小説の中の主人公のようだった。見渡す限りの紺色の空が二人を包み込む。そこに爽やかな風が流れてくる。
これが弓道に射抜かれた千鶴の心なのだろう。好きなものを好きなだけやることは本当に美しい。だが、まだ始まったばかりだ。その優しい彩の琥珀糖を架那は見守って行こうと決めたのだった。
「よし、明日も頑張ろ!!」
千鶴はその笑顔を架那だけに見せた。この話は千鶴と架那だけの秘密だ。
fin。.:*・゜