「うーん…?岸大丈夫かなー?あっちは教官って言ってたし…いや、まああの岸なら心配ないか!一人でビスメル探そーっと」
早くも敵を一人倒した彩は僅かな暇を持て余していた。
岸のところへ向かおうとも思ったが、やはりビスメルのところへ行くことにしたそうだ。
「探しますかー…ん?あれかな??」
校庭に、怪しい人影。確かに背が高い。2mはありそうだ。
「降りるかぁ…」
ひゅん、と彩は屋根の上から校庭へと飛び降りた。
けれど、ビスメルと目が合ってしまい、気づかれてしまったようだ。
「あ、こんにちは〜…あなたがビスメルで間違いないです…よね?」
「あ、はい…確かに名前ビスメルですけど…なんで知ってるんですか?」
「ぐっ…えっと…とりあえずあなたを倒しにきましたっ!!私はマジカルシークレット誘惑科教官、甘愛彩よ!!」
「あぁ…あっちの誘惑科の…小さい悪魔か…」
「小さいは余計よ!!…まぁいいわ。早めに終わらせましょう…」
こんなところで騒ぎを起こしたくもないし…と彩は思っていた。
色々と、面倒なことになるからだ。問題を起こして組織を追い出されても、行く宛などないし。
「じゃあ。氷魔法〈ネーヴェ〉」
「えっ!?氷!?寒っ!さっきは炎だったじゃないの…」
一気に寒くなった七月半ばの校庭で、彩は震える。
「あなたの目的は何?」
「…蒼くんを追いかけること」
「え?」
「助けてもらったあの日から…ずっと…」
「うわぁぁ…」
彩はまたもや悪寒を覚える。
一方、現在2階にいるひらりは、窓を見ていた。
「え…?あれ何?やばっ!!早く行かないと!!」
どうやらビスメルと彩を目撃したようで、大急ぎで階段を駆け降りる。
いや、少々飛び降りていると言ってもいいほどに。
「ちょっとあなたたちーっ!!」
「ひらり!」
「えっと…寒っ!今どう言う状況?」
「今、ビスメルと戦ってるところなの!ああ寒いっ!!」
「そう言うわけです」
と、簡単に説明されても、理解が追いついていないひらりは、とりあえず後ずさった。
「ちょっと待ったぁー!!」
なんだか上から何かが飛び降りてきた。
「岸!?」
どうやら木葉との戦闘を終えて、こちらに向かってきたようだ。
「観念しなさいビスメル!!この私が掃除してあげる!」
「…3人か…それも教官…ここは一旦引くか…」
次の瞬間、ヒュン、と音がして、吹雪と共にビスメルが消えた。
「逃げられたか…」
「でもひとまずは…ね。フェルマータもいるし…私はもう戻るわ」
「私も。まだ掃除が…」
「私も帰るとするわ。作戦を立て直さないとね」
と、その日の戦いは終わったのだった。
その後現場に残された岸に敗北した木葉と、彩に踵落としを喰らわされたケーさんは、痛い痛いといいながら、大人しく帰って行ったのだった。
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