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こんにちは!
では3話目どうぞ!
・・・・・・・・・・・
次の日。
スタジオは昨日より少し騒がしかった。
若井:今日ちょっと詰まってるね〜
藤澤:機材も多いしね
大森:〇〇、大丈夫そう?
〇〇:…はい、大丈夫です
即答だった。
昨日より“ちゃんとしてる”。
リハーサル開始。
〇〇:そこ、もう一度お願いします
〇〇:タイミング少しだけ後ろで
的確で、冷静。
誰が見ても“できる人”。
スタッフB:〇〇さん、さすがですね
〇〇:いえ、大したことないです
笑う。
“ちゃんとした笑顔”。
若井:(小声)…昨日より固くない?
藤澤:(小声)うん
大森:(小声)戻ってるね
そのとき。
スタッフC:あ、そこ違うでしょ?前も言ったよね?
少し強めの声。
ほんの一言。
でも—
〇〇の手が止まる。
一瞬で、空気が変わる。
音が遠くなる。
視界が少し揺れる。
〇〇:(小さく)…すみません
でも、その声は“今”に向いていなかった。
フラッシュバック。
上司の声。
「なんでできないの?」
「何回言わせるの?」
「ほんと使えないよね」
重なる言葉。
逃げ場のない空間。
現実。
スタッフC:いや、そこはこうで—
〇〇:すみません、すぐ直します
かぶせるように言う。
必要以上に早い。
若井:(小声)…あれやばいかも
藤澤:(小声)完全に入ってる
大森:(小声)一回止める
大森:ごめん、一旦休憩入れよう
場の流れを自然に切る。
廊下。
〇〇は早足で出ていく。
ドアを閉めた瞬間—
〇〇:っ…
息がうまく吸えない。
壁に手をつく。
〇〇:…また
震える声。
〇〇:また同じだ
ドアの向こう。
若井:入っていい?
少し間。
〇〇:…どうぞ
3人が入ってくる。
誰もすぐには話さない。
若井:さっきのさ
軽い声で入る。
若井:あの人の言い方、ちょい強かったよね
〇〇:…違います
即否定。
〇〇:私が悪いので
藤澤:そうじゃなくて—
〇〇:ちゃんとできてないから
声が少しずつ強くなる。
〇〇:できてないのに、ここにいるのも—
大森:〇〇
静かに止める。
大森:今、誰の声聞いてる?
〇〇:…え
大森:さっきの人じゃないよね
沈黙。
〇〇の目が揺れる。
〇〇:……
大森:前の職場?
その一言で、空気が変わる。
〇〇:…なんで
若井:なんとなく
藤澤:似てたから、反応
〇〇はゆっくりしゃがむ。
力が抜けたみたいに。
〇〇:…ずっと言われてて
ぽつり。
〇〇:できないって
〇〇:遅いって
〇〇:迷惑って
声が崩れていく。
若井:うん
否定しない。
藤澤:それ、きついね
大森:毎日だった?
〇〇:…はい
〇〇:だから、ちゃんとしないとって
〇〇:普通にやらないとって
〇〇:また言われるから
沈黙。
でも重くない沈黙。
若井:でもさ
〇〇が顔を上げる。
若井:ここ、その職場じゃないんだよね
〇〇:…
藤澤:同じルールで戦わなくていい
大森:怒鳴る人もいないし
〇〇:…でも
大森:癖はすぐには消えないよ
若井:むしろ残るのが普通
藤澤:だから、少しずつでいい
〇〇の呼吸が少し落ち着いてくる。
大森:さっきの、怖かったよね
〇〇:…はい
大森:それでいい
若井:強くなくていい日もあるし
藤澤:崩れてもいい場所だから
少しの沈黙。
そして—
〇〇:…戻れますかね
小さな声。
大森:一緒に戻ろう
若井:俺もミスるし安心して
藤澤:フォローするから
〇〇はゆっくり立ち上がる。
スタジオに戻る。
さっきと同じ場所。
でも少しだけ違う。
スタッフC:あ、さっきの—
〇〇:すみません、修正しました
落ち着いた声。
完璧ではない。
でも、折れていない。
若井:(小声)戻ってきたね
藤澤:(小声)うん
大森:(小声)いい感じ
その日の終わり。
〇〇は少しだけ疲れた顔をしていた。
でも—
昨日より、“ちゃんと生きてる顔”だった。
・・・・・・・・・・・
闇最高!
ではまた次回!