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え、めちゃくちゃ続き気になります! 好きすぎるぅ~
⚠️ご本人様とは無関係です! ゴルゴン×しにがみです、地雷の方は気をつけてください!
「おい、黄色いの!」
ゴルゴンにガサガサとした声で呼ばれ、すぐにゴルゴンの方を向いて応じる。
「はーい、なんでしょうか」
「メイドを執務室まで呼んできてくれないか」
「あー、わかりました、執務室ですね?」
「あぁ、頼んだぞ」
ゴルゴンはしにがみに用があるとのことで、呼んでくるように頼んできた。 通信機で聞いていたしにがみに一応伝え、しにがみは「え〜!なんで僕なのよ!」などと文句を言いながら執務室に向かったようだ。 さて、僕はまたクロノアさんと探索に戻ろう。
「そういえば、ぺいんとは朝の新聞読んだ?」
「やだな〜クロノアさん!僕が新聞なんて読むわけがないじゃないですか!」
「そっか〜、今日の新聞にね、オメガのヒートを無理やり引き起こせる薬が貴族の間で流通している、て載ってたんだ」
「そんなのがあるんですか!しにがみくんには気をつけてほしいですね…」
そう、この世の中には、第二の性であるアルファベータ、オメガがある。 クロノアさんとトラゾーはアルファ、僕はベータ、しにがみはオメガだ。しかし、何故かしにがみは発情期がとても軽いようで、クロノアさん曰く、フェロモンが感じられないとか。
「しにがみくんも、軽いとは言え、薬を使われたらどうなるかわからないからね」
「そうですよね….まぁ、屋敷に居るうちにはなかなか被害を受けることはないでしょう」
「そうだよね、あと、さっき見つけたんだけど…あの絵画の後ろを通って金ブロックを踏まずに、アイテムを受け渡せそうなんだよね」
「え!ほんとですか!」
ヒートの話を終えて、探索に専念する。 さっき気づいたのだが、しにがみとの通話がいつのまにか分かれていた。 何をしているのかは後でしにがみに直接聞いてみよう。
「しにがみ〜、さっきゴルゴンが執務室に来いって言ってたよ」
「え〜!なんで僕なのよ!」
ゴルゴンがぺいんとさんを通して僕を呼んだ。 正直言って、僕である必要なんてないだろうに、なにをさせられるんだか。 もうそろそろヒートが来るため、少しイライラする。 僕は通常よりだいぶ軽いため、抑制剤を飲んでおけば業務に影響も及ばさないだろうが、少し体が怠くなり熱も出るため嫌なのだ。 そうこう考えているともう執務室の前に着いてしまう。 コンコンと少し呼びかけてから執務室の中へ入る。
「お呼びでしょうか」
「あぁ来たか、今回は少し重要でな、通話も分かれておいてくれ!」
めんどくさいな、と思いつつも通話を分かれると、ゴルゴンが用件を話し始める。
「なに、ちょっとした実験に付き合って欲しいだけだ、そう身構えるな」
「実験!?そういうのはちょっと遠慮しておきたいんですけど!」
ゴルゴンの口から実験、などと言う不吉な言葉が聞こえ、身構えて逃げられるように少し後退した。 すると回り込むようにドアの方へゆっくりと歩を進めてきて、いつのまにか僕はドアと離れた場所にいた。
「なに、ただのジュースだ!流行りのものでな、どんなものなのか聞かせてほしいんだ」
ジュースらしい瓶に入った液体が、真ん中の執務室の机に置かれた。
「えぇー…」
嫌がるとゴルゴンは剣で切ろうとしてきた!
「わかりましたよ!飲めば良いんでしょ飲めば!」
ヤケクソになりながら机に置かれた瓶を掴み、一気に飲み干した。 ジュースと言われた通り、とても甘かった。
「これとんでもなく甘いですよ!」
「そうか」
こんな甘い物をゴルゴンは飲むのだろうか、などと考えていると、なんだか暑くなってきた。
「あの、なんかこの部屋暑くないですか?」
「あぁ、少し暖房を入れているからな」
暖房の暖かさとは違う、僕が苦手なこの暑さは、確か…いや、そんな、あと一週間以上あるのだからありえない。でも、この暑さは確かにヒートにかなり近い。 それならば早く薬を飲まなければ大変なことになってしまう!
「…ッ!すいません、早く戻んなきゃなんです!失礼します!」
走って入り口に向かうが、何かが足に引っかかり転んでしまった。
「いった!何が引っかかって…」
引っかかったソレを見て、ひどく驚いた。 束ねられたロープがまるで、罠のように張られていたのだ。
立ち上がろうとしても足に力が入らない。 這ってでも扉へ向かおうとすると、頭上から影が落ちてくる。
顔を上げると、ゴルゴンがニヤリと口角を上げてこちらを見下ろしていた。
「ちゃんと効果はあるようだな、もう足もまともに動かないのだろう?」
「はっ、なにを、飲ませたんだよ…!」
「なに、毒を飲ませたわけではないのだから安心しろ、ヒートを強制的に引き起こす薬だそうだ」
「!?なっ、なんでそんな物を…!」
まずい、まともに考えられなくなってきた。頭がふわふわして、こんなのしらない、ヒートのときだってこんな風にはならなかった。
「可哀想になぁ?ほら、楽になりたいだろう、こっちまで来てみろ」
行かなきゃ、もうなにも考えられない。
言われたようにずりずりと這ってゴルゴンのもとへ向かう。