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#パニック
水族館マニア
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#バッドエンド
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昼休み。
奏斗はいつものように、冴の席へ向かおうとしていた。
「石川、一緒に食べようぜ。」
「うん。」
その瞬間。
「石川くん!」
別のクラスメイト冴を呼んだ。
「これ、昨日の宿題なんだけど……ちょっと分からなくて。」
「ああ、ここ?」
「そう!」
冴はその子の机へ移動する。
「ここは、この公式を使えば――」
「なるほど!」
二人で話している。
ただ、それだけ。
本当に、それだけなのに。
「……。」
奏斗の足が止まった。
(……なんだろ。)
別に。
冴が誰かと話すのなんて、いつものことだ。
なのに。
今日は妙に気になる。
-–
「奏斗、どうした?」
後ろから颯太が声をかける。
「……何でもない。」
「そう?」
「うん。」
そう答えたものの。
奏斗の視線は、また冴へ向いていた。
楽しそうに話している。
冴が笑う。
相手も笑う。
「……。」
胸の奥が、少しだけざわついた。
(なんで。)
(俺、何で気にしてるんだ?)
-–
昼休みが終わる。
冴が戻ってくる。
「神崎。」
「ん?」
「待たせた?」
「……別に。」
「?」
冴は少し首をかしげる。
「一緒に食べようと思ってた。」
「うん。」
「……。」
奏斗は何となく目をそらした。
「神崎?」
「何でもない。」
-–
放課後。
二人で帰る。
でも。
いつもより会話が少ない。
「……神崎。」
「ん?」
「今日、どうしたの?」
「え?」
「昼から変。」
「……。」
冴は奏斗の顔を見る。
「怒ってる?」
「怒ってない。」
「じゃあ、悲しい?」
「それも違う。」
「……。」
冴が少し考える。
「じゃあ、何?」
奏斗は答えられない。
だって。
自分でも分からない。
「……。」
「俺、何かした?」
「してない。」
「本当に?」
「うん。」
しばらく歩いて。
奏斗がぽつりと言った。
「……今日さ。」
「うん。」
「石川が、他の人と楽しそうに話してた。」
「……。」
「それ見て。」
一度言葉を止める。
「なんか、嫌だった。」
冴が目を見開く。
「……嫌?」
「うん。」
「どうして?」
「分かんない。」
奏斗は困ったように笑う。
「自分でも、なんでこんなこと思ったのか分からない。」
冴はしばらく黙っていた。
そして。
「……俺は。」
「?」
「神崎が他の人と楽しそうにしてても、嫌だと思うことある。」
「……え?」
「でも。」
冴は少し視線を落とす。
「それが何なのかも、分からない。」
二人とも黙る。
-–
駅に着く。
「……じゃあ。」
「うん。」
「また明日。」
「うん。」
二人が別れる。
奏斗は歩きながら考える。
(俺だけじゃなかった。)
冴も同じように思うことがある。
それが少し嬉しい。
でも。
同時に。
「……。」
胸の中に、新しい疑問が生まれていた。
友達なら、こんなに気になるものなのか?
答えは、まだ分からない。
-–
翌朝。
教室。
「おはよ。」
「おはよう。」
冴がいつものように声をかけてくる。
「……。」
奏斗は少しだけ笑った。
「おはよ、石川。」
それだけなのに。
昨日より、ずっと嬉しかった。
そして奏斗は気づく。
――自分はもう、
「一緒にいたい」だけじゃなくて、
「自分のそばにいてほしい」と思い始めている。
その違いが何を意味するのか。
まだ、奏斗には分からなかった。
-–
第37話 おわり
次回・第38話「気づきたくない」
翌日。
颯太が奏斗に一言。
「それ、もう答え出てるんじゃない?」
「……何の?」
「石川のこと。」
奏斗は必死に否定する。
けれど、その日の帰り道――
冴から「明日も一緒に帰ろ」と言われた瞬間、胸が跳ねてしまって……。
コメント
1件
うわあ、もう……このもどかしさ、たまらないですね。奏斗が冴と他の子の話してるのを見て「なんか嫌だった」って認める場面、すごくピュアで心がぎゅっとなりました。それに冴も「分かんないけど同じ気持ちになる」って言うところで、二人とも無自覚なのに確実に特別な存在になってるのが伝わってくる。最後の「自分のそばにいてほしい」って気づき始めた瞬間、胸が熱くなりました。次が気になる!