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真っ暗なスクリーンに映像が浮かび上がる。顔だけ隠された幸せそうな家族の風景。家族構成としては父、母、子供といったところだろう。子供は見慣れたクマのぬいぐるみを持っている。
別な映像が映し出される。さっきの子供が色んな人にいじめられている。子供は頭を抱えている。
また映像が変わる。今度は子供が別な人・・・いや、この服装は・・・私だ。私とブランコに乗っている。顔は隠れているが、幸せそうだ。
最後の映像。子供が川に流されている。頭を打って、映像は終わった。
古びたスピーカーから声が聞こえる。
「分かってる。僕の考えなんて誰も知ってはくれない。それでも嫌なんだ。ずっと人々の考えだけに流されるのは。」
怪物の目から出る液体の量が増す。心なしか、少し色が薄くなっているように感じる。そしてスピーカーの音質は悪いが、聞いた事のある声のような気がする。
「この船は忘れられ、暗闇に葬り去られた者達の復讐劇の会場さ。君らに僕達の心は癒せない。『変わり者』とされた邪魔者が今やってくる。」天井からガシャン、と音がすると同時に天井から見慣れた少女が現れる。彼女は操り糸で吊るされており、目は黒く染まっている。彼女も私も見るなり、睨んできた。
私は目の前の怪物が誰かを知っている。虐められ、助けて貰えず嘆く姿は何度も見てきた。彼は明るく接しているように見えて、心の中ではとても苦しんでいた事も知った。そして天井から聞こえた声も、スピーカーから聞こえた声も、誰にも届かない。
ここが「復讐劇」の終わりだ。私はこの「デスゲーム」の終わりを見守る覚悟を決めた。この部屋の電気がついていない時に唯一光のあった場所。そこを目指し、走った。