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『マスター、起きて。』
僕の名前は、天城 時雨。《音楽一家に生まれた出来損ない》父は有名なオーケストラの指揮者。母はピアニスト。2人は同じ舞台で恋に落ちた。そこから何年後くらいか僕の兄が生まれた。僕の兄も父母と同じく音楽の道に進んで今は有名なバンドマン。 …じゃあ僕は?
僕は音楽の道に進んだが、音楽の才能は開花しなかった。父も母も兄も天才的なセンス。僕には無いものだ。最初は尊敬していた……
「時雨さんのご家族って、有名な音楽家でしょ?」
そう言われたのは中学生の頃だ。音楽の先生が聞いてきた。そうするとクラスのみんなはそれを聞いてドっと声を上げる。
「時雨、すげぇな!!」
「時雨くんってすごい人なんだね!」
とか言われた時は恥ずかしかったけど心の奥底はズキっとした。多分【嫉妬】だろう。それを押し殺してクラスの人に言う。
「そんなことないよ。家族の方がすごいから……僕は音楽のセンスがないから…」
そう言っても誰も信じない。誰かが
「天城のピアノ聞いてみたい!」
と言った。それにみんなは反応して強制的にピアノを弾かされる。…………失敗した。
それだけで落胆の声。その時に
「家族だけすごくてお前だけ凡人なのかよ」
と言われてからトラウマだ。その日は早退して部屋に篭もりっぱなし。父からは
「時雨がしたいことをしなさい。……辛い思いさせてすまない」
なんて言われて、僕は心の奥から出る感情【怒り】を抑えるのに必死になってから口を聞いてない。
僕は変わりたいのに変われない。