コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「悪い。少しゆっくりし過ぎた」
ムツキは風呂上がりの少し色気のある雰囲気を出しながら、いつものビジネスカジュアル姿でパーティー会場のダイニングとリビングに来た。
いつものレイアウトとは異なり、立食形式のテーブルに変わっていて、様々な食事と飲み物がビュッフェ形式で中央や壁側に置いてある。部屋の飾りつけもリゥパとルーヴァを歓迎するような配色やイラストまで飾られている。
「遅いよ! もうお腹ペコペコなんだから」
ユウはいつもの青色のドレスではなく、フリフリとリボンがいっぱいついている可愛らしいピンク色のドレスを着ていた。彼女の一番のお気に入りのようで、パーティーの際にはそれを着ていることが多い。金色の綺麗な長い髪は特に縛ったりせずに、ただ大きめのカチューシャをつけていて、それが目を惹く。
「先に食べていても良かったんだぞ? 今日の主役はリゥパとルーヴァだろ?」
リゥパは自身の薄緑の髪と似たような薄緑色をしたノースリーブのワンピースを着て、珍しく口に薄ピンク色の紅をつけている。さらに、ワンピースは後ろから見ると背中が大きく開いたもので、彼女の髪が短めなこともあって綺麗な背中を余すことなく見ることができる。
ルーヴァは大して洒落っ気を出していないが、頭に小さな青色のリボンを1つ付けていた。リゥパに付けられたのだろうとムツキは思った。
「それは違うよ。みんなで一緒に祝って食べることに意味があるの」
ユウはムツキに優しく諭すようにそう伝える。彼女は祝うことの意義や大切さを誰よりも重要視していた。
「たしかに、みんなで、ってのは大事だな。悪かった」
「分かればよろしい!」
ユウはムツキが理解したことに嬉しくなったようだ。少しばかりドヤ顔だった。
「パーティーは全員参加だから完全セルフニャ! 飲み物はあっち、ご飯はいくつかのエリアにあるニャ! あと、ご主人だけは食べさせ係が必要ニャのだけど、リゥパがするって言うから任せるニャ!」
ケットは胸の白い毛の上に青いリボンが乗っている程度のシンプルな飾りだ。動物に近い妖精たちはあまり飾る文化や服を着る文化がないようだ。
「む。いつの間に」
ナジュミネは真っ赤なノースリーブのロングドレスで参加していた。そのドレスは背中こそ露出が少ないが、胸元の大きく開いた作りになっていて、ムツキの視線を釘付けにすることができた。
「主賓特権よね」
「それなら仕方ないな。旦那様?」
「……ちょっと、ムッちゃん、ナジュミネの胸を見すぎ。やらしいわね」
ナジュミネとリゥパに言われ、ムツキの意識が戻る。
「はっ、すまない。ちょっと抗えない魅力が。ところで、リゥパのその背中もいいな」
「む」
「あら。でしょ? 背中の魅力に気付くなんてムッちゃんもレベルが高いわね」
リゥパが見せつけるようにくるくると回転する。
「既に歓談しているところで申し訳ニャいけども、挨拶するニャ。それでは、今日もいただく命に感謝して、そして、リゥパとルーヴァ、ようこそニャ!」
いつも通り、ケットの挨拶でパーティーが始まる。
「いただきます。ようこそ、リゥパ、ルーヴァ」
「ようこそ2人とも! いただきまーす!」
「命に感謝します。リゥパとルーヴァを歓迎する」
「いただきます。ありがと、みんな」
「いただきます。あーしも祝ってくれるなんて嬉しいわね」
「いただく。おめでとう」
「いただきます。お2人を歓迎します」
「大歓迎ニャ」
「にゃー」
「わん」
「ぷぅ」
それぞれが思い思いの挨拶をした後にパーティーは開催される。