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毎年温暖化が進む東京でも、流石に肌寒くなってきた、10月初旬。
僕の名前は秋野蓮斗。転校初日から一目惚れした本山ここねさんに告白し、即答で断られた。
断られた理由は隣のクラスに女の子がいるから。らしい。
僕は諦めた。諦めたつもりだった。が、転校して数日、やはりどうしても彼女に惹かれてしまう。僕はある考えを持ち始めた。
ずっとアプローチすれば、振り向いてくれるのでは?
噂を聞くと、本山さんと、本山さんが好きな「藤沢さん」は、小学校低学年からの友達だとか。
同性愛を否定する訳ではないが、珍しいケースだと思う。友愛を恋と勘違いしている可能性だってあると思うんだ。
「おはよう秋野!」
「あっ、おはよう、近藤くん!」
声を掛けてきた彼は、現在隣の席の近藤くん。一応今の中学校の初めての友達、かな。
「なぁ聞いたぜ、転校初日から本山に告ったらしいじゃん?」
「えぇっ!?なんで知ってるの!?」
「合ってんのか。浅田から聞いたんだよ。」
確かに浅田さんには本山さんがいる図書室へ案内してもらったが、「先生にノートを出しに行く」と言って去っていったはずだ。
「な、なんで浅田さんが知ってるの?!こ、告白する時、先生にノート出しに行くって…」
「なんかお前の反応とか雰囲気的に察したらしいよ?女の勘ってヤツ?
てか、お前がいきなり本山の事聞き出した時点で勘づいた女子結構居たらしいけどな。」
「えー……恥ずかしいなぁ、もうクラスのみんな知ってるの?」
「知ってる知ってる。噂ってやつは恐ろしいよなぁ。」
まだあのクラスで半年過ごさなければいけないのに……恥ずかしい。失態だよ、これは。
「で、なになに?OKだった?」
「いや、流石にNO………」
「まっ、流石にかー。お前まぁまぁイケメンだと思うけど。
で、諦めんの?」
「うん……諦めたい…けどぉ!」
「無理かー」
「なんかさ、好きな人いるんだって。でも友愛を勘違いしてる可能性だってあるじゃん!?」
我ながらこの醜い考えには呆れる。が、同性だぞ女の子同士!
まぁ、一部の人達からは百合やGLと言って好まれているらしいが。
このご時世だから2度言っとくが、決して同性愛を否定している訳ではない!絶対に!
「そうかなー。そうかもなー。そうかもしれないなー。」
三段階の返事で共感してくれたのかはわからんが、まぁ、話を聞いてくれる良い友達、だと思う。
「近藤に秋野おはよーっ!」
「おはようさん。」
「あ…鈴木さんと……あ、浅田さん!」
この2人は転校初日の中休み、最初に話しかけてきた鈴木愛さんと、本山さんの事と本山さんがいる場所を教えてくれて…本山さんに告白した事を察したらしい、浅田さん。
「なんかー、ごめんねー?うちの浅ちゃんが告ったの晒しちゃったみたいでー。」
「いやー、ホンマにすまんの。悪気はなかってん?ちょっとウチの考察をなぁ……」
「いや、大丈夫だよ。浅田さんは図書室に案内もしてくれたし。」
「そっか。せやけどホンマに堪忍。プライベートな話やのに。 」
「ははは…」
「てかさー、ネットでめちゃかわなカフェ見つけちゃってー。はーちゃん誘って3人でいかない?」
「ええな。1駅先くらい?」
「うんっ!」
女子トークで花を咲かせる2人。ちなみに鈴木さんが言う「はーちゃん」とは鈴木さんと同じく、初日の中休みにダンス部に入らないかと誘ってきた「原さん」の事である。
浅田さん鈴木さん原さんの頭文字をとり、
「鈴浅原トリオ(鈴木命名)」
という
「(自称)学年、いや学校イチイケてる3人組♡」
…… らしい。
学校に着いた。今日は席替えらしい。僕からしたら早すぎるが、日直が一周回ったら席替えする、という制度らしい。
やり方はシンプルなくじ引き。一番後ろの角や好きな人の隣、逆に先生の死角となる1番前の席など、人それぞれの当たり席はある。
もちろん僕の当たり席は本山さんの隣。近くの席でも妥協しよ__
ヴヴン、つい本音が出てしまった。諦めるには遠い席の方がいいだろう。
「はい、じゃあ席替えするぞー、じゃ、「私が4月5月というクラス替えしたばかりで忙しい時期にお前らが席替えしたい席替えしたいと言うから仕事時間を削って作ってやったくじ引き」で決めるぞー。」
「せんせーそれいつまで擦んのー?笑」
「感謝してるで。なにせ阿部の隣やったからなぁ。」
「はぁー!?お前の生首ダンクシュートしてやろうか浅田ァ!」
「流石にグロ怖やで阿部。苦手な人いたらどないすんの。」
確かに席替えは楽しいが、ここまで賑やかになるものなのか……?
「じゃ、浅田からくじ引いてけー」
「うち22ー、」
「俺11…けー、浅田割とちけぇな」
「俺18っす」
「私10だよー」
「私は15番…てことはー、お、浅田も鈴木も近い!」
「私、29番です」
「俺30番っす、仲山とまた隣」
「はい、歴本が8、渡辺21、秋野19…っと。じゃ、こういう事だな。」
そう言うと佐々木先生は、黒板に紙を貼り出した。
「こうだな、自分の席、隣の人、班番号、しっかり覚えるように。」
中山さんと仲山さん、また隣。同音異義の漢字だから、ややこしそうだな。
で、僕は4班、隣は…
__本山さん!?
「みんな移動出来たかー、じゃあ近くの人に挨拶して、授業始めるぞ」
「えっと…秋野くん、よろしくね」
「うっ、うん。よろしく」
…どうしよう、すごく気まずい。本山さんにも気を使わせてしまったし…
それに、ますます諦められない気がする。…いや、ここは考え方を変え、上手く関係を修復しよう。それで、もう終わり。
そう、それで、もう終わりにする。終わりにしたい。