コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
設定などは1話をご覧下さい
夢見月 夢舞 side
高校生に上がって、初めての夏。
何かをする気も起きず、自分の部屋でごろごろしていたら…、なんだか急に、1年前のことを思い出した。
百鬼 透華と初めてまともに会話して、何故かあの子には見られたくなかったところを見られてしまった。
そんな、1年前のあの日のことを
(そっか…もう、1年も経ったんだ…)
時の流れになんだか実感がわかない。
それに、あのときの透華の表情の理由も分からない。
────あのとき、貴方はどんな気持ちだったの?泣きそうだった?怒りたかった?驚いた?
それとも、全部?
釈然としない心と透華のことをぐるぐると考えていると、なんだか気持ち悪くなってきた。
考え事をするなんて、元から得意じゃない。思い立ったら、すぐに動いていたから
「こんなに考えるのなんて、したことないの…」
────私、卒業するまで透華とろくに話してないな…
やっぱり、思い立ったが吉日だ。
夏休みの間、弓道部は部活があるはずだ。
今ならまだ、きっと間に合う
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(…来ちゃった、けど…)
何を話したらいいのか、分からない。
つい、弓道場の近くをうろうろとしてしまう。もうそろそろ、部活動が終わってしまう
ウジウジとしているうちに、部活を終えたであろう後輩ちゃん達が出てきた。
その中には…────透華もいた
「っ!…フイ」
「あ…」
透華は一瞬こちらを見て、驚いたような顔をしてすぐに目を逸らしてしまった
嫌だ…お願い、こっちを見て────
気づいたら、透華の腕を掴んでいた
「話したいッことがあるの…ッ!」
「…ッ!少しだけ、なら…」
少しだけでもいいから…あなたと話がしたい
百鬼 透華 side
「もう、1年も経っちゃった…」
1年前の夏、先輩の噂が本当だったって知った。…知ってしまった。別に仲良かったわけじゃないし、ちょっと仲のいい先輩だったとしても、「あぁ、そうなんだ」としか思わない。
でも、あの先輩だけは違ったみたい。
分からない。どうしてあのとき、私は…
(あんなに泣きたかったんだろうな)
あのときから先輩が卒業するまで、ずっとまともに話せてない。たくさん、聞きたいことがある。
────なんで、そんなことをしていたの?
ずっと、ずっと聞きたい。けど、聞けない。
先輩は高等部に行ったから、別に会えないわけじゃないし、話せないわけじゃない。
でもずっと、ちゃんと顔が見れない。
(部活、行きたくないな…)
少し曇った空は、私の心みたいだった。
────────────
弓を引き、矢を射る。
その時は、心を静める。
その心はまさに、鏡のよう。
心を鏡にすることで、矢は当たる。でも、今日は全く当たらない。
まだ、心が荒れているのかもしれない。
何故、心が荒れているの?
分からない。どうしたらいいのか、分からない。
けど、ずっと心に引っかかるものがある。
(先輩に、会いたい)
────────────
あまり集中できないまま、部活が終わってしまった。友人や顧問にすら「今日はなんだか変だ」と言われてしまった。
「どうしたら、いいのかな…?」
帰る支度をし、弓道場を出た。
そこには、────────先輩がいた。
「ぁッ…!」
どうしよう、どうしよう。
今会えても、どうしたらいいのか分からない。
そう思い、顔を逸らしてしまった。
顔を逸らしたまま歩いていると、腕をがっしりと掴まれた。
振り向いた先には…先輩がいた
(諦めさせてよッ…)
私の心を読んだような先輩の瞳が、なんだか怖くてたまらない
「話したいッことがあるの…ッ!」
やめて
やめて
諦めたかった
気づきたくなかった
お願い
こっちを見ないで
「少しだけ…なら」
貴女への気持ちに、名前は付けたくないの
短いですがきります。
次はお話し合いになりますね。もうネタないです
新連載スタートしようと思うので、良かったらチェックしてください