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なの

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unknown
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白黒猫

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桜の花びらが、まるで誰かの悪戯みたいに激しく舞い散る入学式当日。
新しい制服の感触はまだ硬くて、首元が少しだけ窮屈だ。
「……よし、今日から。今日からだぞ、俺」
校門の前で一人、気合を入れらように拳を握りしめる。中学の時、バンドを組もうと必死に声をかけて回った結果、「若井、お前熱すぎてマジ引くわ」と笑いながら去っていったあいつらの顔を思いだす。
あんな思いはもう二度とごめんだ。でも、俺の胸の中にある「最高のバンドをやりたい」っていう火は、消えるどころか益々激しく燃えていた。
「おい、そこの一年生。校門の真ん中で固まると邪魔だぞ」
不意に上から降ってきたのは、柔らかいけどどこか凛とした声。
顔をあげると、そこには腕章を巻いたいかにも「仕事ができます」というオーラの先輩が立っていた。
「あ、すいません!気合入れすぎて……」
「気合?ふふ、いい心構えだね。僕は生徒会長の藤澤。困ったことがあったらなんでも聞いて」
その人は、ふわふわとした日だまりのような笑顔を浮かべていた。
だけど、その手元ーー譜面台のようなものを抱える指先が、微かに震えているのを俺は見逃さなかった。
「……先輩、それピアノの楽譜ですよね?」
「えっ?ああ、これ……。うん、まあね。先生に、入学式でも演奏するように言われていて」
藤澤先輩の表情が一瞬、曇った気がした。
まるで見えない鎖に繋がれているような、そんな窮屈そうな顔。
「すごいじゃないですか!会長でピアノも弾けるなんて。俺、バンドやりたくてこの学校入ったんです。もし良かったら、今度聞かせてくださいよ!」
「バンド…。楽しそうだね。でも、僕は正しい音しか弾かせてもらえないから。君が探している音とは、きっと違うと思うよ」
先輩は少し寂しそうに笑って、そのまま講堂の方へ歩いていってしまった。
正しい音?音楽に正解なんてあんのかよ。
モヤモヤしたものを抱えながら、俺は自分のクラスへと向かった。
教室に入ると、窓際の席に座っている一人の男に目が釘付けになった。
周りが初対面の挨拶でガヤガヤしている中、彼だけまるで別世界にいるみたいに静かだった。
ヘッドホンをして、ノートに何やら猛烈な勢いで書き込んでいる。
(…なんだ?あのオーラ)
吸い寄せられるように、俺はその席の前に立った。ノートを覗き込むと、そこにはびっしりと歌詞が書き連なれていた。
「すっげ…。これ、お前が作ってんの?」
話しかけても反応するがない。
俺は思わずら彼のヘッドホンを片方だけ外した。
「おい、聞いてる?」
「…………何。うるさいんだけど」
ゆっくりとその男は鋭い、でもどこか透き通った瞳で俺を射抜いた。
一瞬、気圧されそうになる。
「あ、いや。そのノート、曲だろ?ちらっと見えちゃってさ。めちゃくちゃかっこいいコード進行だなと思って」
「…見たの?勝手に」
「いやぁ、わりぃ!でも、俺もギターやってるからさ。こういう熱い曲、ずっと探してたんだ。あっ、俺、若井滉斗!よろしくな!」
俺は、握手を求めるように手を差し出した。
男は、めんどくさそうにため息をつき、ノートをパタンと閉じた。
「熱い、ね。そう言うの一番いらないから。音楽は一人で完結させるのが一番純粋なんだよ。他人とやると、どうせノイズが混ざる…。君みたいなタイプとは、特に合わないと思う」
「やってみなきゃ分かんねーだろ!混ざり合って新しくなるのがバンドの良さだろ?」
「……しつこい。二度と話しかけないでくれる?」
ヘッドホンを装着し、完全にシャットアウトの構えられた。
俺は、視線を動かして閉じたノート名前を見つけた。
「俺は、ぜってー、諦めねぇからな!大森元貴!!!」
俺の大声に、クラスがザワザワし始める。
大森が、ガタッと立ち上がり、スタスタと教室を出て行く。
「俺の名前!若井滉斗!若井滉斗だからな!覚えとけよーー」
俺は廊下を歩いて行く大森に、大声で手を振りながら叫んだ。
一筋縄じゃ行かない生徒会長に、超絶クールな天才作曲家。前途多難。でも、俺の直感が叫んでいる。
この二人と音を鳴らせたら、きっと世界が変わる。
「若井滉斗、今日からターゲットロックオンだわ……!」
俺は窓の外、満開の桜を見上げながらニヤリと不意に笑った。
波乱な高校生活が、今、爆音で幕を開けた気がした。
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コメント
3件
面白いですね☺️
めっちゃ良かった…!😭💕 第1話から一気に惹き込まれる導入〜!! 校門で気合入れる主人公・若井くんの熱い感じがもう最高」「正しい音しか弾かせてもらえない」って寂しそうな藤澤会長と、「音楽は一人で完結」ってシャットアウトする大森くん…この3人がどうやって音を重ねていくのか想像しただけで胸熱すぎる🔥🔥 「ぜってー諦めねぇ!」って叫ぶ若井くんのエネルギー、好きだなぁ…! 続きが気になりすぎて死にそう、次話❤️500で待ってるね!!🌸