「……好き」
「ああ、僕も……好きだよ」
何度でも絶え間なく落ちる口づけに、身体がとろけそうにも感じる。
「好きで、好きで、しょうがなくて……」好きすぎて、それしか言えなくて……。幸せすぎて、涙までこぼれてきそうで……。
「ああ、僕も同じだから……」
抱かれた背中が、ぽんぽんとあやすように優しく叩かれる。
涙の滲んだ目尻に、彼の唇が柔らかく触れると、温もりに安心して瞼が降りそうになる。
「眠そうだな。このまま、寝ようか」
耳馴染んだ低く甘い声が吹き込まれると、彼の体温を真近に感じながら、安らかな眠りにゆっくりと落ちていくようだった……。
そうして明け方近くに、ふっと目が覚めると、彼は横でまだスゥースゥーと寝息を立てていた。
「ふふ、眠ってる」
そう言えば温泉旅行の時にも、やっぱりこうやって先に起きて、チーフの寝顔を眺めていたっけ……。
あの時は、急に彼が起きてびっくりしたんだけど、今日はまだ起きそうにないみたいだし……。
「そうだ、写真、撮っちゃおうかな」
枕元に置いていたスマホをゴソゴソと構えると、一枚パシャリと彼の寝顔を写した。
「……いいなぁ、これ待ち受けにでもしちゃおうかなぁー。ああでも、そうすると他の人に見られちゃうこともあるかもしれないし、やっぱり大事にしまっておくのが……」
などと、ひとり写真を見つめながらブツブと言っていたら、
「……もう、起きてたのか?」
と、彼が目を開けた。
「あっ、はい!」と、返して、とっさにスマホの画面を消し、そそくさと枕元に戻した。
「ん……まだ五時くらいか。もう少し寝ないか?」
彼の少し掠れた起き抜けの声が耳をくすぐる。
こくりと頷くと、背中に回された腕で、ギュッと胸に抱え込まれた。
「……休日の二度寝は、気持ちが、いいからな……」
寝言ともつかないようなゆったりとしたトーンでそう話すと、彼はまたすーっと寝入ってしまった。
「……寝ちゃった」
こんなにも可愛いチーフなんて、見たことがないかも……。私は、もう一度ふふっと笑うと、彼の厚い胸板に頭を預けて、文字通りの気持ちのいい二度寝に甘んじた。
コメント
1件
お休みのひの二度寝は最高よね❤️ なのに我が家のアイドル犬に起きろと即されて寝ていられない😆