にきりちょ
仮病 後半
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ぴっ、ぴっ、と一定の機械音だけが
りぃちょの寝ている病室に響き渡る
りぃちょが飛び降りてから数日
未だ彼は目が覚めていない
りぃちょはまるで死んでいるかのように
眠っていて、無数の管で繋がれている
俺は、りぃちょの精神の限界になぜ
気付いてあげられなかったのだろうか
もうとっくの昔に自身の心を壊れていて
崩れ落ちてしまってもおかしくないのに
そんな自分を無視してまで
俺達の為に頑張ってくれていたのに
俺はとことん突き放したんだ、
りぃちょを、大好きな彼女を
「 ごめん 、 ごめんりぃちょ … 」
「 俺が、間違ってたよ 、 」
「 … 」
どれだけ謝ったって、泣いたって
りぃちょが戻ってくるはずがないのに
手術を終え初めて気付いたけど
身体は痩せこけ肩や腕には無数の切り傷
長袖やダボダボな服ばかりを着る
理由も、これだったんだな
思えば最近会えてなかったな
それも、ストレスだったんだろうな
1番新しい記憶のりぃちょはもっと
しっかり肉もついてて顔色も良かった
目の前にある壁を乗り越えることばかり
に必死になって、彼女を見れなかったとか
在り来りな言い訳にしかならない
放ったらかしにした事に変わりは無いから
あー、こんな事を考えたって意味ないか
気分転換にと思い外を静かに眺めた
「 … りぃちょ 、 みてよ 」
「 今日は満月なんだってさ 」
「 … 」
「 とっても月が綺麗だね 、」
「 … 起きたら 、また来月一緒に見よう 」
そう言ってりぃちょの手をそっと握る
ほんのり暖かい、小さくて可愛い手
ぎゅ、ぎゅと何度も信号を送るように
小刻みに握ったり指を絡ませてみたり
絶対に起きるには無意味であろう
手遊びを数分してみた
「 いつもなら恥ずかしい恋人繋ぎ 」
「 今ならし放題だね 、りぃちょ 」
「 … 」
「 耳真っ赤にしてさ 、それでも
離れることはなく繋いでくれてさ 」
「 そんなお前が愛おしくて仕方ないよ 」
そんな戯言をへらへらと数時間
話し続けていると、段々眠くなってきた
「 … もう4時か 、」
「 今日くらい一緒に寝てもいいよな 」
彼の横にそっと寝転がり、管が外れない
よう少し下にずれ腰あたりを抱き締めた
このまま寝て、一緒に起きれたらいいな
なんて妄想しながらそっと瞼を閉じた
「 __ て 、 ねぇ 」
「 ん 〜 … なんだよ 、 」
「 まだ寝かせ __ 」
「 … やっぱり 、 まだ怒ってる 、 ? 」
「 は 、え、 りぃちょ… ? 」
「 …はは、都合のいい、夢だなぁ… 」
目の前には俺を心配そうに見詰める
世界で1番愛おしい彼女の姿
今日はいい日だね、こんな幸せな夢を
見られて、俺だけ幸せ者か
「 … 夢なんかじゃ、ないよ ? 」
「 俺生きてるよ 、ほら 」
「 え、あ… 」
彼のか弱い手がそっと俺の手を握り
自身の胸元へ置き聞こえるのは小さな心臓音
「 あ、ぁ… りぃちょ、り、ちょ 」
「 ごめん 、ごめんなさい … 」
「 ニキニキ 、… 」
りぃちょは俺から無数に溢れる涙を
両手で優しく拭いてくれた
そして少し遠慮気味のハグをして
ぽん、と背中を撫で口を開く
「 馬鹿なこと、してごめん 」
今にでも零れてしまいそうな程の潤った目
小刻みに震える身体、喉の開いてない声
「 馬鹿なことしたのは 、 俺だよ 」
「 こんな弱くなっちゃってさぁ…
気付けなくて 、 ごめん 」
今にも壊れてしまいそうなりぃちょを
俺は壊さないようにぎゅっと抱き締めた
もう、離れないように
離してしまわないように
「 生きてて 、 良かった 、 」
「 俺を置いていかないで … 」
りぃちょが限界だったことも、もう
生きている事が辛いことも
わかってるのに、わかってたのに
口から勝手に弱音が出てしまう
「 りぃちょがいない、と… 」
「 おれ、俺… 」
「 … ごめんね 、 にきにき 」
りぃちょは、今にも消え入りそうな
笑顔と言葉を俺にかける
違うんだ、謝らないといけないのは
本当は俺なんだよ、りぃちょ
「 世界で1番弱い彼氏さんを 、
置いてこうとするなんてさ 」
「 だめな 、 彼女だよね 」
「 … 俺は 、 りぃちょの全てがすき 」
「 本当は 、どれだけ遅刻したって 、
嫌いになんかならないよ 」
「 っえ、 ぁ…にき、にき 」
「 んぐっ、うぁ…ごめんなさ、ぁ 」
りぃちょもきっと、強がってたんだろうな
まるで小さな子供のように泣いた
俺の袖をきゅっと握り、自身の頭を
ぐりぐりと俺の胸へと押し付ける
「 ぅ"~っ… ずっと、愛してて 、 」
「 もう、死のうなんて… しないから 」
「 … 俺も 、 もっとりぃちょに寄り添える
ようにする 、頑張るから 」
「 俺から離れないで 」
「 !!、 うん、うん… !! 」
「 離れない 、ずっと一緒 … 」
目元は泣いて赤くなり、頬は多少火照って
いて、そんな彼女が下から俺を見つめる
「 う、おお…それずるいわ 、 」
「 何の話だっつーの… 」
「 ニキニキ 、 変なのぉ 、 」
「 ふは、可愛いお前が悪いんだよ 」
りぃちょの前髪を少しかき分け、額に
口を軽く落とす
「 は、はぁ… ?! 」
「 な、な… !! 」
「 ふは、顔真っ赤 」
いつも通りの可愛いりぃちょを見て
なんだかすこし、安堵した
「 これからも、愛し続けるよ 」
「 ずっと一緒にいような 、りぃちょ 」
「 … もちろん、そのつもり 」
1度は間違えてしまった道だけど
その道は俺が責任をもって前を歩くよ
だから、りぃちょ
『 一緒に幸せになろうね 』
「 … んふ、 合ったね にきにき 」
「 幸せになれるよ 、 俺らなら 」
「 ふは、そうだな 」
「 絶対に幸せにしてあげる 」
愛おしい彼女のりぃちょの唇に
自身の唇を静かに重ねた
俺たちなら、きっと大丈夫
コメント
8件
泣いた😭感動🥲
最高 すぎるょ …… 🫠
さいこうだって。。 投稿頻度上がってるね☺️☺️ にきりちょかわいい!!!