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#公安
あーむ
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薄暗い別班の極秘アジト。壁一面に投影された世界地図のデータ、そして世界各国の金融システムを監視するモニターの冷たい光が、櫻井里美の鋭い眼差しを青白く照らしていた。
手元のキーボードを叩く音だけが、静寂に包まれた部屋に規則正しく響く。しかし、その指先はいつもより僅かに硬い。
画面の向こう、バルカ共和国の荒涼とした砂漠の果て。敵のテロ組織「テント」のセーフハウスへと単身潜入し、現在通信が途絶している別班員がいる。彼女が誰よりもその実力を信頼し、同時に、誰よりも生還を願う男――乃木憂助の姿が、そこにあった。
「……焦るな、乃木。あなたなら、もうチェックメイトをかけているはず。……無事でいなさい」
かつて過酷な過去を背負い、二つの人格を抱えながらも、日本のために命を懸ける道を選んだ乃木。司令としての冷徹な仮面の裏で、櫻井が彼にだけ向ける僅かな「眼差し」の温度を、本人は知る由もない。彼ら別班は、互いの情を戦場に持ち込むことを厳しく禁じられた影の存在だからだ。
「櫻井さん、東条からデータが上がりました。バルカ警察の目を完全に眩ませることに成功したそうです」
インカムから、日本でバックアップを担当している別班員の緊迫した声が飛ぶ。
「よくやった。……あと60秒で、現地の通信網を完全にジャックする。乃木、そこからがあなたのターンよ」
櫻井は自身の胸元、ジャケットの内ポケットにそっと手を当てた。そこには、以前乃木がバルカから持ち帰った、ある暗号化データが入った極小のSDカードが眠っている。彼が「もしもの時は、これを」と言って手渡してきたものだ。
彼への想いは、決してこの戦場では口にしてはならない禁断の感情。しかし、この冷徹なサイバー空間と砂漠の戦場を結ぶ細い回線の中で、二人の信頼は確かに繋がっていた。
「システム掌握完了。……行きなさい、乃木」
モニターの光が一瞬、激しく明滅した。
コメント
3件
なぁVIVANT知らないのに400てなんだよおぉぉ
草生える
第1話、拝読しました🌷 櫻井さんの「司令としての冷徹な仮面」と、乃木さんにだけ向ける「眼差しの温度」の対比が、たったこれだけのシーンでしっかり伝わってきて、最初から心を掴まれました。胸元のSDカードに手を当てる仕草が、彼女の言葉にできない想いを物語っていて、とても繊細で美しい描写だなと。 乃木さんの無事を祈りながら、プロとして任務を遂行する強さ。二人の間にある“禁断の信頼”が、これからどう育まれていくのか、続きが気になります。素敵な冒頭をありがとうございました。