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 退院してから数日後の午後、ウーヴェは家族から贈られた心強い支えになるステッキを突き、隣には一緒に外出できることが嬉しいとこの数日ずっと口にしているリオンと並んで学生が多く行き交う街の小さなカフェを目指して歩いていた。

 ウーヴェの歩く速さに無理矢理合わせるのではなくごく自然と同じ調子で歩くリオンは、大学に通っていなかったからこの街はあまり馴染みが無いと周囲を見回すが、学生時代をこの近くで過ごしたウーヴェにとっては懐かしく、そこかしこに学生時代の思い出が転がっているような街だった。

 学生時代の話をあまりしたことがないと気付き、テストの前になるとカスパルが皆にノートを借りて回り、コピーを取るために良くその文具店に駆け込んでいた事や、オイゲンがノートを取り纏めて昼食と引き替えに貸したりしていたと笑い、楽しかったんだなとリオンが素直な感想を述べたことが嬉しくてウーヴェも素直に頷いていた。

 当時と変わらない石畳の道を歩き見えてきたカフェの様子を少しだけ窺うと、店内はそんなに混み合っていない事を確かめてドアを開ける。

「いらっしゃい」

 カウンターの中にいたのはリオンやウーヴェより少し年下に見える青年で笑顔で二人を出迎えてくれるが、リオンがウーヴェと己のカフェラテとケースに並んでいるレモンタルトとチーズケーキを注文し、窓際のテーブルに行けとウーヴェに合図を送る。

 ランチ時には学生で混み合いそうだが、ランチを過ぎたいわゆるお茶の時間には馴染みの客が多いようで、静かに新聞を読んでいたりコーヒーをお供に世間話に盛り上がっているようだった。

 その様子を店内から見ていたウーヴェは、レモンタルトの味が変わってなければ良いのになぁと笑うリオンに変わっていないだろうなと頷くが、運ばれてきたそれに懐かしさを感じて目を細める。

「……やっぱり美味そう」

「あれ? お客さん、うちに来てくれるのは初めてですよね?」

 青年が素敵な笑顔でリオンの言葉に不思議そうに返すが、店は初めてだけどこのタルトやチーズケーキのことは良く知っていると笑い、青年を手招きしてその耳にこのタルトを作ってくれた女性を呼んでくれないかと笑いかける。

「え? ああ、はい」

 何故このタルトを作ったのが女性だと知っているのかという疑問や彼女とどういう関係だとの疑問が青年の顔に浮かぶが、頼むとリオンがもう一度囁いたためにカウンターの奥の厨房に姿を消す。

「お客様? 前に出るのはイヤだから断ってくれれば良いのに」

 接客は極力したくないのにとエプロンを着けて不満そうに眉を寄せる女性がカウンターに姿を見せて店内を見回すが、窓際のテーブルで笑みを浮かべて手を振るリオンとその向こうに穏やかな顔で頷くウーヴェを見た瞬間、カウンターの中から飛び出してくる。

「ウーヴェ!」

「……リアのケーキが食べたくなったんだ」

 駆け寄ってきて小さな子どものように飛びつくリアをしっかりと受け止めて背中を撫でたウーヴェは、数日前に退院した事、もっと早く来たかったが色々手続き等が忙しかったと詫びるが、涙混じりの声がそんなこと気にしていない、来てくれて嬉しいと返す彼女に笑みを浮かべる。

「……お帰りなさい、ウーヴェ」

「ああ、ただいま、リア。やっと退院出来た」

 改めて退院出来た事実を感じているウーヴェにリアも頷いて離れると、微笑ましそうに見守っているリオンにも腕を伸ばしてそっと抱きしめる。

「ハロ、リア。チーズケーキがすげー美味そうだったから昼飯食ったけど食いたくなった」

「好きなだけ食べて」

 持ち帰り用のケーキも用意できるわと笑うリアの背中を撫で、もし今忙しくないのなら少し話をしたいとウーヴェがリアを見ると、目尻の涙を拭ったリアが大丈夫と頷き、周囲の視線に少しだけ顔を赤らめつつカウンターに入って青年に手短に事情を説明する。

 その説明で理解してくれたのか青年がウーヴェに目礼をし、リアがエプロンを外してウーヴェの横に座ると程なくしてカフェラテが運ばれてくる。

「ゆっくりしていって下さい」

「ありがとう」

 青年の心遣いに感謝の言葉を告げたウーヴェは、リアがもう大丈夫なのかと見つめてきたため、リオンを見たあと頷いてステッキを撫でる。

「このステッキとリオンがいるから大丈夫だ」

「そう。良かった。……入院中もずっとリオンがいたけど、刑事を辞めたって本当なの?」

「ん? ああ、辞めた。今は素敵なステキなヒモ生活だぜー」

 働かなくてもメシが食えるなんて最高の贅沢だと笑ってチーズケーキを食べるリオンの横顔から、何度かウーヴェの面会に訪れた時の様子を思い出したリアが何かを言いかけて口を閉ざすが、軽口を装っているだけだとも気付いている為にそれに対する反論も否定もせずにただ一言、ウーヴェの傍にいたいのねとだけ答えるとリオンの耳がわずかに赤くなる。

 リアがまだ入院している時、ウーヴェが入院していることをリオンから聞かされ、面会できるのなら会いたいと頼んでいたが、ようやくウーヴェに面会できたのは彼女が病院を退院する数日前だった。

 リアの傷はカスパルが言ったように少しだけ傷跡が残る程度で日常生活に支障は来さなかったが、見知らぬ男に襲われて衣類や髪を切り裂かれて監禁された恐怖はそうそう抜けるものではなく、退院すればまた以前のように日々暮らさなければならず、その不安とどのように向き合うべきかをカウンセラーに相談していたリアは、その日ウーヴェと面会できると教えられて松葉杖を突きながらウーヴェの部屋に入り、痩せてしまっていたがそれでも以前と変わらない穏やかな顔で出迎えられて杖を投げ捨てて駆け寄ったのだ。

 リアが負傷し入院していた事実を直前に教えられてただ驚くと同時に、事件に巻き込んでしまった事を詫びるウーヴェにリアはあなたのせいじゃないと涙混じりに否定をしたが、その時もリオンがウーヴェのベッドに腰を下ろして今のように見守っていた事を思い出す。

 その姿は以前から見ていたものと少し変質している様に感じ、前の浮かれているだけではなくただウーヴェだけを思っているものにも感じ、微笑ましさすら感じていたリアだったが、リオンの心の奥深くで膝を抱えて蹲る本心にまでさすがに気付くことは出来ないでいた。

「今日はどうしたの?」

「ああ、リアに報告があったんだ」

「報告?」

 何かしらと目を丸くするリアにウーヴェが照れたような笑みを浮かべ、八月に結婚式を役所と教会で挙げる事になった、招待状は後日送るが式に出てくれないかと彼女を見ると、リアが再度手を伸ばしてウーヴェを抱きしめる。

「今回は教会でも挙げる事にしたのね」

「ああ。リオンの家が教会だし、マザーもいらっしゃるから」

「そうね。おめでとう、ウーヴェ。喜んで出席させて貰うわ」

 ウーヴェに喜んでと頷きリオンにも同じ言葉を伝えたリアは、式の後のパーティでリアのケーキが食べたいと申し訳なさそうに告げられて目を瞬かせる。

「私のケーキじゃなくて他の店のを頼めばどう?」

「リアのケーキが食いたいんだよなー。なー、オーヴェ」

「ああ」

 素人の私などではなく有名店でお願いすればどうだとリアが遠慮するが、自分たちを良く知る人が思って作ってくれるケーキが食べたいとリオンが笑みを浮かべウーヴェが頷いたため、それならばと彼女も頷く。

「リンゴのタルトとチーズケーキで良いの?」

「それが良いの!」

 リオンの素直な言葉にリアの口から楽しそうな笑い声が零れ、それならば用意をしなければならないから日付が分かったら教えてと了承してくれたため、ウーヴェの口から安堵の溜息がこぼれ落ちる。

「結婚式と新婚旅行と……それが終わればクリニックを再開するつもりだ」

 だからそれまでもう少し待っていてくれないか、そしてクリニックを再開したらまた有能なフラウ・オルガとしてクリニックで勤務してくれないかとウーヴェがリアの手を取って懇願すると、彼女がその手をそっと握り返して綺麗な笑みを浮かべる。

「こちらこそ、また働かせて下さい、ドクター」

「……ありがとう」

 今日ここに来た目的の大半を終わらせたウーヴェは緊張していた身体に甘いものをとレモンタルトを食べ、ああ、やはり緊張した後にはリアのケーキやビスケットなどを食べたいと笑うとリアが唇を噛み締めて何度も頷く。

「リア?」

「……ごめん、なさい……クリニックで……また働けるのを、待ってるわ」

 握りしめられた拳にぽたりと落ちる涙にウーヴェが目を細めて彼女の肩に腕を回して抱き寄せると、まだもう少しだけ時間が掛かるが必ずクリニックを再開する、それまで待っていてくれと囁き約束するとも告げる。

「リア、クリニックを再開したらさ、俺にもまた美味いケーキ食わせて」

「ええ……ええ、もちろんよ」

 ウーヴェの言葉に重ねるようにリオンが笑い、今日のケーキも美味しいがクリニックで食べていたものも良かったと頷いてリアの手を撫でる。

「今日は来てくれてありがとう、ウーヴェ、リオン」

「今日はこれからクリニックに寄って色々しなきゃいけないから、その前に美味いものを食べて気合いを入れようかなーって」

 この後、クリニックの様子を見るために立ち寄ることにしたが、事件以来立ち寄っていないためどうなっているのかが分かららずに不安があった。

 セキュリティ会社と契約している事と刑事達の見知った医者のクリニックが事件現場になっている為にまさか留守を狙った強盗などに入られることは無いと思うが、様子を見てくると苦笑するリオンにウーヴェも微苦笑をするが、久しぶりにリアのタルトを食べられて良かったと頷く。

「……仕事中に邪魔をした。彼にも謝ってて欲しい」

「え? 大丈夫よ」

 先ほどの青年に謝っててくれと苦笑すると意味ありげにカウンターの中を見たリアだったが、リオンが声を潜めて恋人かと問いかけたために目を丸くし、イヤだといいながら口元を手で覆い隠す。

「……弟よ、あれ」

「弟!?」

 リアに弟がいたことは知っていたが初めて顔を見たとウーヴェとリオンがかなり驚き、その声にカウンターの中で青年が何事だと二人を見る。

「……リア、また時々ケーキを食べに来る」

「ええ。ぜひ来てちょうだい」

 弟と二人店で待っていると頷いて立ち上がった彼女は弟を手招きして二人を紹介すると、姉から話は聞いていたと笑顔で頷かれる。

 また来ることを約束してリアと弟に見送られながら店を出た二人は、彼女のケーキの味が変わっていないことに安堵し、一日でも早くクリニックを再開しないとなぁと笑い合うのだった。



 三ヶ月ぶりにクリニックへ向かったウーヴェは、診察終了の札がぶら下がったままのドアに溜息を吐き、セキュリティ会社に通報が行かないように鍵を解除するとここを開設して以来の緊張感を覚えつつドアを開ける。

 待合室には馴染みのない匂いが満ちていて、リオンを思わず振り返ったウーヴェに告げられたのは鑑識があらゆる所を調べ回ったから薬品の匂いが残っているかも知れないとの言葉で、それならば仕方が無いと苦笑し、ステッキをついてゆっくり室内を歩くが、トイレのドアが開けっ放しになっていることに違和感を覚えて再度リオンを振り返ると手招きされてカウチソファに腰を下ろす。

「オーヴェが誘拐されてすぐだと思うが、リアがここで足を刺されてトイレに監禁された」

「……お前が見つけたのか?」

「俺とアニキが見つけた。あの日オーヴェはアニキ達と飲み会だと言ってただろ?」

 誘拐された当日は同級生達と飲み会に行くと言っていただろうと言われて思い出すように天井を見上げ、確かにそうだったと頷いたウーヴェにリオンも頷き、ウーヴェの髪を指に巻き付ける。

「オーヴェが来ないからってアニキが様子を見に来た。俺はブライデマンが来て皆で飲みに行くことになったからって言いに来た」

 そうしたらお前はおらずリアがトイレに監禁されていたと教えられ、髪を巻き付けた指で頬を撫でられて目を細めると、リアの髪はあれはまだウィッグだとも教えられて細めた目を限界まで瞠る。

「ウィッグ?」

「ああ。ゾフィーの時と同じでリアの髪も切られていた。ジル、長い髪の女に何かトラウマでもあったのかな」

 綺麗に伸ばされていたリアの髪が見るも無惨に切り刻まれ、衣類も一緒に切り裂かれた状態でトイレに拘束されていた事を伝えると、ウーヴェの目がきつく閉じられる。

「そう、か」

「そう。ちょうどアニキが来てくれたから救急車で搬送してもらったんだけどな……」

 ああ、そう言えばあの時にとリオンが思わせぶりなことを告げてウーヴェが何だと首を傾げると、アニキがリアに惚れたのかも知れないと囁き驚きながらリオンをまじまじと見つめる。

「そう、なのか?」

「うん。だってさ、主治医でもねぇのにずっとリアの病室に入り浸ってたし、新しいカフェが好きって言ったら情報提供ありがとうよって叫んでた」

 もしかするとカスパルの本気の恋が始まるのかも知れないとも笑うリオンにウーヴェが苦笑するが、もしもそうなったとしてもそれはそれで喜ばしいことだと笑う。

「うん。まあリアがどう思ってるかは別問題だけどな」

「そうだな」

 事件の時の話をしながら立ち上がったリオンは、ウーヴェの手を引いて立ち上がらせるとそのまま掛け声一つで抱き上げる。

「リオン、歩ける」

「……ごめん、分かってるけど、嫌だ」

 その声がいつものようにふざけたものならばウーヴェも窘めたのだが、ひっそりと消え入りそうな小さな声だったため、リオンの本心を読むことに長けているウーヴェがそれを読み取り、短くなったくすんだ金髪を抱きしめる。

「……リーオ」

「……何だ」

「うん……少し重いかも知れないけどこのままが良い」

 お前の心の中で蹲っている彼もきっと同じ事を思っているはずだと囁きかけてリオンの目を瞠らせたウーヴェだったが、我が儘陛下なんだからーと軽口を叩かれて不満を訴える代わりに青い石のピアスが填まる耳を軽く引っ張る。

「ぃて。ごめんごめん」

「ふん。……診察室に行ってくれ」

「ん、了解」

 ウーヴェを横抱きではなく子どもを抱き上げる時のようにしっかりと腕で抱えて診察室のドアを開けた、室内が大雑把とはいえある程度片付けられている事に気付くが、小部屋のドアが開けっ放しになっていることに気付き、そちらに向かうとウーヴェに伝える。

 その小部屋には金庫があり、クリニックにとっての貴重品が納められているが、流石に金庫の暗証番号を見るわけには行かないからとウーヴェを下ろして背中を向けると程なくして金庫が開けられ、中に貴重品がちゃんと納まっている事をウーヴェが溜息交じりに告げる。

「そっか」

「ああ。ありがとう」

 後は壁一面の書類棚に収められたカルテ類だが、それらも特に抜けているものはなさそうで、この様子だと旅行から帰ってすぐにでも診察を再会出来そうだと頷くが、クリニックを閉めている間に他のクリニックに患者の診察をお願いしていた事や患者自らが他の病院に通院するようになっているかも知れない事実に苦笑する。

「まあ、そうなっても仕方が無いな」

「そーだな。でもさ、オーヴェで無いとダメな患者はいるだろうし、また戻って来てくれるって」

 だから患者の数が減っているかも知れない事については今は考えないでおこうとリオンがウーヴェを背後から抱きしめ、その腕に寄りかかりながら素直に頷いたウーヴェは、待合室にもう一度連れて行ってくれと告げて抱き上げろと命じ、口では不満を訴えながらも満更でも無い顔でリオンがウーヴェを抱き上げる。

 診察室の一人掛けのソファもウーヴェがいつも座っているデスクも窓際のお気に入りのデザイナーズチェアもそのままで、埃を被らないようにしたいが被せるための布などなく、明日にでも持って来たいとウーヴェが提案し、リオンもそうだなと頷きながら診察室を出てドアを閉める。

「……リーオ、ありがとう」

「どういたしましてー」

 再度カウチソファに並んで座った二人は新婚旅行の後にクリニックを再開するが、それまではもう少しだけ閉めておく事を確認しあい、ウーヴェが溜息を一つついてリアが使っているデスクの前に足を引き摺りながら歩いて行く。

「……彼女に早く戻って来てもらうためにも……」

 リハビリも頑張らないといけないなと密かな決意を拳に込めてデスクを一つ叩いたウーヴェは、先程のように背後からそっと抱きしめられて目を閉じ、何があっても支えてくれるお前の伴侶を信じろと父に入院中に言われた言葉を思い出しつつ背後に倒れるように力を抜くと、揺るがない大地に抱きしめられているような安心感と温もりに包まれて自然と笑みがこぼれる。

「リーオ……俺のリーオ」

「どうした、オーヴェ」

「うん。……支えてくれてありがとう」

 素直な思いを口にすると沈黙が降ってくるが、程なくして満足そうな小さな溜息が顔のすぐ傍に落ち、そのままそっと唇にキスをされる。

 こうして口に出すものだけではなく出さない思いも感じ取ってくれるリオンという存在が奇跡のように思え、後ろに手を伸ばして頭を抱き寄せると、安心したような溜息が再度零され、口の端にキスされる。

「……リオン……俺の、奇跡の人」

「それはお前だ、オーヴェ」

 あんな事件に巻き込まれながらもこうして生きることを選んでくれたお前こそが奇跡の人だと囁くリオンに頭を振って否定したウーヴェは、お前という存在があるから生きようと思えるのだと答え、蒼い目を見上げるように顔を振り向ける。

「奇跡の人はお前だリオン」

 入院している時に見せた泣き顔や床に這いつくばって食事をしていた姿などを見ても嫌な顔をせずに受け止めてくれ、そして進む道を示してくれた、お前は本当に奇跡のような存在だと穏やかな声で告げたウーヴェは、リオンの腕の中で向きを変えると、しっかりと両手でリオンの頭を抱き寄せる。

「だから……」

 退院してからどうしても恐怖が先立ってしまって出来ていないことを帰ってからしようと囁きかけると、驚きに息を飲む気配を感じるが、背中の傷が少し痛む強さで抱きしめられる。

「……ダンケ、オーヴェ」

「ああ」

 いつかも似たようなことを感じていたが、あの時もお前に助けられたと小さく笑い、同じ笑いを返されたことから何を思い浮かべているのかに気付いて肩に頬を押し当てる。

「そろそろ帰るか?」

「……ああ」

 クリニックで今できることはもうないから帰ろうとウーヴェが誘うとリオンも頷くが三度ウーヴェを抱き上げたかと思うと、結婚式の話と新婚旅行の行き先も決めようと笑い、ウーヴェも釣られて笑みを浮かべ、今日の夜はお気に入りのイタリアンレストランからピッツァやパスタをテイクアウトしようとリオンが笑ったため更に笑みを深めるのだった。



Über das glückliche Leben.

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