テラーノベル
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キャラブレが激しいかもです
地雷さんは回れ右
lrn視点です
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パチリと目を覚ますと、見知らぬ天井が広がっていた。なるほど自分は横になっているようで、背中には柔らかな感触がある。
(柔らかな…?)
慎重に身を起こし、あたりを見回すと、どうやら正方形の真っ白な部屋のようだ。身を横たえていたのは同じように真っ白で新品さながらのベッドだった。しかもダブルサイズ。
(こんな殺風景な部屋になんでだよ)
と思っていたところで、似たような色がそこにあるのに気がついた。
「…えぇ…」
見慣れた、とまではいかないにしろ幾度も見た事のある白髪。派手に暴れている髪の毛は癖毛のせいか寝癖のせいか、はたまたその両方か。
色の主は、葛葉であった。
最近は葛葉とばったり遭遇するような事もなく、日々仕事で疲れきっていた。なのに何故この男と一緒にこんな妙な場所に閉じ込められているのだ。試しに昨日の記憶を思い出してみるが、てんで要領を得ない。まるで霞がかかっているかのようにはっきりと思い出せなかった。
(葛葉まだ寝てるし…部屋見て回るか…)
危機感もへったくれもなく眠り込む葛葉に呆れつつもベッドから腰をあげる。ギシリとスプリングが鳴ったのが小さく響いた。
部屋の大きさはそこそこ、狭すぎず広すぎず。ただ、家具のようなものは殆どなく部屋の半分程をベッドに占領されていた。
壁を見てみるが、どこかにドアがある様子もなく、耳を当てても何も響いていない。
(部屋の外には何も無い…?)
天井を見上げても照明らしきものは見当たらず、どうやって部屋の光度を保っているのか分からない。
床に目を向ける。足音のなりにくい地下足袋を履いているため、四つん這いになり手でコンコンと音を立ててみる。やはり音の響きに変化はない。
となると四方八方この部屋の先は何もないという事だ。もしくは壁が相当厚いだけで、普通に外はあるのかもしれないが、音が反響しないほど厚い壁なら助けを呼んでも外には聞こえないだろう。
ふと布の擦れる音が聞こえた。
振り返ると葛葉は起き上がり、呑気にも欠伸をしていた。眠そうに頭をかきながらこちらに視線を向ける。
「… …なにしてんの」
「こっちのセリフだ」
「えっ、俺なんかした?起きて5秒で嫌な思いさせるとかどんな事やらかしたの?」
起きて早々ベラベラと話し出す葛葉に思わず目を眇める。頭の回りが早いのか遅いのか。
「てかここどこ」
「遅せぇんだよ」
「俺と?お前?だけ?なに?」
はぁ、とため息をついてから説明を始める。
「ここがどこかは俺も知らん。起きたら勝手に連れてこられてた。見ての通り部屋にはそのベッドしかない。ドアも窓もない。一通り調べたが 外の音が全く聞こえないあたり、相当壁が分厚いか、外には何も無いか…。気になるのはどうしてお前と一緒なのかって事だ」
「えぇなにそれ…誘拐かよ。…それは?」
「それ?」
葛葉が指さしていたところを視線で辿ると、 先程までは存在してなかった謎のスイッチがあった。
「えっ、ナニコレ」
「元からあったんじゃねぇの?」
「俺が起きた時はなかったよこんなもん」
頭の中で確認してみるが、やはり見落としなどではないようだ。
「ってことは何?いきなり出てきたワケ?」
不可解な現象に口を噤んでいると、葛葉はのそのそとベッドから降りてきた。
2人でスイッチの前に近づくと、スイッチには文字が描かれているのが分かった。
(….押すと尻の準備が完璧になるスイッ…チ?)
「尻の準備ってなに?完璧ってなに?」
「さ、さぁ…」
「おいお前これ押してみろよ」
「嫌だわ!!なんでこんな得体の知れない部屋の得体の知れないスイッチ押さなきゃならねぇんだ!」
えー、と不貞腐れたように言いながら葛葉はポチっとスイッチを押した。
えっ、押し…
「何やってんの?!」
「いやお前が嫌なんだったら俺が押そうかなって」
「押そうかなってじゃねんだよどうすんだよなにか起きたら」
「そうしたらお前も巻き込まれるけどな」
言い合ううちも何も変化がない。害はないのだろうか。
「ほらーやっぱ何もないじゃん お前も押しとけって」
「何もないのに押す理由ってなんだよ俺は別にいいよ」
「それじゃあ俺が押した意味がなくなるだろうがよぉ」
「知らねぇよテメーが自分で押したんだろ」
押し問答に痺れを切らした葛葉が、ガシッと俺の腕を掴む。
(えっなに)
そのまま手をスイッチに乗せたかと思うと、電光石火の早業で俺の手はスイッチを押した。
否、押させられた。
そのとき、ビリビリと身体に電撃のようなものが駆け巡った。
「ッッ…!?!?」
「やっぱなんもないじゃん。」
「おま、これ平気だったのかよ…」
「え?なんかあった?」
どうやら葛葉は俺の身体に異変が起きたことに気づいていないようだ。しかも葛葉自身の身体にはそんな事起きてないようで、けろりとしている。
(なんで俺だけ…)
「知らねぇ…からだに、電気みてぇのが…」
「は?気のせいじゃねぇの?」
気のせいなわけあるかボケ。どことなく背筋にゾクリとした感覚が残る。刺激に反応して咄嗟に背中を丸めてしまったせいで、葛葉は俺の体調が芳しくない という事に気づいたようだ。
「なぁお前大丈夫かよ」
葛葉の手が俺の背中をさすろうと伸びてくる。
咄嗟に、今触れられたら良くない と脳が判断し、パシッと乾いた音を立ててその手を弾いた。
「…」
「なんだよせっかく心配してやったのに」
「…おいっ」
「あ?」
また眠り直そうかとベッドに踵を返した葛葉の袖を弱く握る。
「え…お前女子高生じゃあるまいし…」
「手貸せ」
「は?」
「いーから、手」
明らかに表情に(なんだよさっき突っぱねたくせに)と出ているが容赦してほしい。事態は一刻を争うのだ。
しぶしぶ出された右手を掴む。それもいわゆる恋人繋ぎで。
「うぉっ、なんだよ気色わ りぃ、な… どうした」
葛葉からの声も無視して、繋いだ左手を強く握り締めながらもう片方の手の中指を力強く噛む。歯の痕が残るどころか血が滲みそうな力で。
こうでもして痛みによる刺激で理性を保たないと、何か良くないものに頭が呑み込まれそうだった。
「、 、おい本当にどうした?ついにおかしくなっちゃったの?なんで指噛んでんだよ」
慌てた葛葉が急いで指を口から離す。繋いだ手はそのままにして__というか、処理するのも忘れているのだろう__抱き込むようにして俺の左肩を抱いた。
「…ッ、ぁ… …」
その直後にビクリと肩が跳ねる。少しだけ変な声が漏れたような気がする。今のがもし葛葉に聞かれていたらひとたまりもない。チラと前髪越しに葛葉を見てみると、視線は手元に集中しているが、若干の引きつった笑みが見受けられた。
(俺終わったな)
いや、元はと言えば勝手にボタンを押させたコイツが悪い。俺は悪くない。などと現実逃避していると、左肩にあった葛葉の手がするすると背中に降りてきた。
「え、ちょ… …ん…ッッ… ぅ…」
固執に、撫で回すように、しつこく動く節操のない手は、確実にそういう手つきだ。
(コイツ…分かっててやってんのかよ…!?)
頭の中は混乱して忙しないが、手を握った状態で背中に腕を回されているこの体勢のせいで逃げ出すことが出来ない。
「ひっ… …ゃ、 ぁ…っ、っ、」
背中をなぞったり、さすったり。何故かどんな刺激も性的刺激として受け取ってしまうようで、自分でも何がなんだか分からない。
「…っ、ん、ッッ… …は、ぁ…」
「ローレンくーん」
耳元でそう呼ばれ、快楽に頭を持っていかれそうになっていたところハッと我に返った。
いま、こいつのまえで、あえ、い…で…。
「随分とお楽しみのようじゃないっすか」
「っ… …」
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