時は流れ5年後
いつの間にか高校を卒業し、大学の単位をほとんど取り終わった僕は作家の活動に浸っていた。
空いている時間をほとんど仕事に入れていた僕は半年以上髪を切っていなかった。
その髪は方まで伸びていた。
伸びきった髪をどうにかするために近くの美容室に行った。
方まであるその髪の毛は切り終えるのに40分ほどかかった。
長い間座っていたためか足が痺れていた。
痺れている足では帰れないので近くのカフェでゆっくりすることにした。
カフェに入った時、懐かしい声が迎えてくれた。
そう、南雲さんの声だ。
南雲さんは僕のことがわかったのか口を閉じるのも忘れて棒立ちしていた。
「あっえっと…久しぶり…なっ南雲さんだよね?」
「うん…その..ひっ久しぶり」
「ご注文はいかがなさいますか…?」
「じゃっじゃあとりあえずコーヒー一つで」
卒業式に挨拶もなしに進学したので少しの気まずさがあった。
帰り際
「お会計700円になります」
結局コーヒーしか頼まなかった僕は緊張してコーヒーの味も感じなかった。
そして、会計の時に連絡先を聞こうとした。
「あの…南雲さん..れっ連絡先教えてくれないかな…?」
南雲さんは学生の頃のようにクスッと笑って
「いいよ」
と引き受けてくれた。
少し大人びいていると感じていた僕はやっぱり笑顔だけは変わっていないなと思った。
少しの戸惑いと、大きな嬉しさと共に。
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