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#異世界転生
JokerX号
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#主人公最強
杯雪乃
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『水の迷宮』から戻ってきて、今日で5日が経った。
あのときの収入は、全部で金貨22枚。
一人当たりでは金貨4枚と銀貨25枚になる計算だ。
――ジャラッ
俺は財布を軽く持ち上げ、その重量に満足した。
ダンジョンに向かう前――ガチャを引く前よりも、財布の中身を重くすることに成功したのだ。
……やはり所持金の額は、心理的な支えになってくれる。
冒険は浪漫を追い掛けるものだとは言え、やはり先立つものが必要なのだから。
「なぁ、リーダー。
今日は収穫祭、だよな?」
「ああ、もう今日だっけ……。早いなぁ」
アイナちゃんたちとダンジョンから戻る途中、俺は彼女から収穫祭の話を聞いていた。
この街を中心に周囲の村を巻き込んで、かなり大きな規模で行うという話だった。
そしてその中心で取りまとめを行うのは、やはり例のポエール商会。
うーん。本当に、どこにでもこの商会が出てくるなぁ……。
「宿屋の女将さんが言っていたけど、ゲームみたいなものもやるんだって!」
「ゲームですか? わぁ、楽しそうですね!」
マリモとメンヒルが高い声ではしゃぐ中、ナガラは別のものに興味を示していた。
「露店もかなり集まるって話だから、食べ物も楽しみだよな~♪」
「ははっ。ナガラは色気より食い気だもんな!」
「……色気」
俺の何気ない一言に、メンヒルが反応してきた。
「ん? ……どうかした?」
「うにゃ!? い、いえ、別に何でも無いですよ!?」
「んん……?」
「ところでリーダーさ、収穫祭は私たちと見てまわるの?」
「え? そのつもりだったけど……。
もしかして、みんな予定があるの?」
「無いぞ」
「無いけど?」
「無いですぅ」
……そうだよな?
この街に知り合いなんて、まだまだ少ないもんな?
でも何だかみんな、様子がおかしいぞ……?
少しよそよそしいって言うか……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「――それはほら、『色気』だなんて言うからだよ」
俺の部屋で、ナガラが丁寧に説明をしてくれた。
あのあと結局、微妙な空気になってしまったため、ナガラと二人で話をすることにしたのだ。
「色気って……。別にそれくらい、普通に出てくる単語だろ?」
「あー……。もしかして、リーダーは知らなかったのか……」
「え?」
……何を?
その疑問が思い切り顔に出てしまっていたのだろう。
ナガラは優しく微笑みながら、ゆっくりと言葉を続けた。……こいつのこんな表情、ちょっと気持ち悪いな。
「この街から少し離れたところに……風俗の店がたくさんある、そっち系の街があるんだよ。
そこでも収穫祭に合わせて、楽しい楽しいイベントをやるらしいんだな」
「楽しい楽しいイベント……」
「この街やまわりの村の男どもが、たくさん押し寄せるって話だぜ?
まぁ向こうは商売だから、金儲けの色が強いんだろうけど」
「はぁ……、そんなの初耳だけど……。
もしかして、お前は行くのか?」
「俺は色気より食い気だからな!」
さっき俺が言った言葉を、ナガラは嬉しそうに復唱した。
……しかも微妙に俺の物真似を入れてやがる。ウザッ。
「それで、それがあの微妙な空気と何の関係があるんだ?」
「俺は色気より食い気、だよな。
リーダーは? 食い気より色気、なのか?」
「んなわけ、無いだろ……」
「だよなー。
でも、マリモとメンヒルはそう思っていないみたいだぞ?」
「な……っ!?」
もしかして、俺が一人で風俗街に行くと思われていたってことか!!?
「一年に一回の大きな祭りだし、それに俺たちは『水の迷宮』で収入もあったからな。
傷心中の男だったら、そういう場所に行っても不思議は無いだろ?」
「いやいや、そんな――
……って、誰が傷心中なんだ?」
「え? リーダー、違うのか?」
目を丸くしながら、ナガラが驚いた。
俺がいつどこで、何でそんなことになっているんだよ……?
「何だかいろいろ、話が飛んでいないか……?
よし、ナガラ。全部話してしまえ」
「いや、もう話すことは1つしか残ってないけど」
……何だ。傷は浅いじゃないか。
仮に変な誤解があったとしても、1つだけなら解くことは簡単だろう。
「聞かせるだけ聞かせてくれよ。な?」
「リーダーがそう言うなら良いけど……。
『水の迷宮』から出たあとにさ、告白したんだろ?」
「は? 誰が? 誰に?」
「リーダーが。アイナちゃんに」
「――……は?」
……ちょっと待て?
何でそんな話になっているんだ……?
「いや、俺もマリモから聞いたんだけどな?
メンヒルが目撃したんだってさ。リーダーが、アイナちゃんに指輪を渡しているところを」
「あぁー……!?」
ナガラの言葉に、俺はようやく心当たりに辿り着いた。
……アイナちゃんと別れるとき、俺たち4人の命を助けてもらったことのお礼を言ったんだ。
でも言葉だけじゃ伝えきれないし、贈ることができるものなんて、ダンジョンで手に入れた宝石と指輪だけ――
……この選択肢なら、誰でも指輪の方を贈りたくなるよな?
「あの指輪さ、マリモかメンヒルか、どっちがもらえるかって勝負をしていたらしいんだよ。
それなのに、まさかアイナちゃんに渡しちゃうだなんてなぁ~」
「待て待て。何でそこで、その二人が勝負しているんだよ……」
「そりゃ、リーダーはモテますからなぁ」
「はぁ……?
二人とも、村に好きなやつがいるって言ってたぞ……?」
「ははっ、そこら辺は俺は知らないけどさ。
まぁそんなわけで、リーダーは俺たちを置いて、風俗街に行くんじゃないか……って思われてたんだな♪」
「……それは酷い」
俺の消え入りそうな声を確認すると、ナガラは俺の背中をバシバシと叩いた。
「分かった分かった。リーダーはいろいろ誤解を受けていたみたいだな。
収穫祭に行くまでに、俺が二人の誤解を解いておいてやるよ。だから安心しろって!」
「そ、そうか……? それじゃ、よろしく頼む……」
……正直、俺は何も悪くないぞ?
でも円満に解決できるというのなら、ここはナガラに任せておくことにしよう。
何だかかなり、納得のいかない展開だけど……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
俺たちはその後、昼過ぎから収穫祭に参加していた。
集まった人の人数がとても多く、まだまだ狭いマーメイドサイドの街にはたくさんの人で溢れ返っていた。
食べ物や土産物などの露店もかなりの量が並び、そこら中に作られたステージには、楽器の演奏者や踊り子たちが集まっている。
「――はぁ、凄いな……。
王都のより賑やかじゃないか……」
「『王都超え』っていうのが、今回のテーマらしいよ!」
「対抗意識、燃やしてますよねーっ!」
右腕にしがみついたマリモと、左腕にしがみついたメンヒルが楽しそうに言った。
楽しそうなのは良いことだ。
……しかしそれにしても、二人は何で俺の腕にしがみついてるんだ?
お前ら、村に好きなやつがいるんだろ?
まぁ、祭りだからはっちゃけたくなる気持ちは分かるけどさ……。
でも恋愛事は、誠意を持たないといけないからな?
俺を好きなやつの代わりにするなんて、今日だけだからな?
……ほらほらっ。胸が当たってるってぇの……!!
「お、リーダー! そろそろ始まるみたいだぞ!」
「そうだな、今日のメインイベントか……!」
ナガラの声に、俺はたくさんの人が集まる中心、大きなステージの上を見た。
夜の暗い空の下、焚き火や正体不明の照明が多く灯され、この一帯だけがまるで昼のように明るかった。
……これも錬金術なのだろうか。
本当、あの子の錬金術は何でもありだよな……。
「……む。どうしたの? リーダー!」
「面白いものでも、ありましたか?」
「いや……何でも無いさ。
それよりもほら、どんなことをやるのか分からないけど――……あ、出てきたぞ!」
「本当だ!」
「きゃーっ! アイナちゃーんっ!!」
マリモやメンヒルの声を呑み込みながら、周囲からは大きな歓声が湧き上がった。
まるで地面すら揺れるような、そんな大きな声たち。……いや、本当に規格外なイベントだな……。
そしてそんな中、あの子の声が大きく響いてくる――
「――みなさん、お待たせしました!
それではこれから、収穫祭のメインイベントを開催しまーすっ!!」
さらに湧き上がる歓声。
この大きさこそが、この場にいる人々の期待そのものなのだ。
……俺とあの子では、立っている場所がまるで違う。
俺はきっと、これからもあの子を見上げ続けていくのだろう。
しかしそれはそれで、別に何の問題も無い。
せめて俺は、あの子の作るこの街で、冒険者として活動をすることにしていこう。
それがあの子のために、少しでもなるのだろうか――
……もし少しでもそうなってくれれば、俺はとても嬉しいな。
「――よし、みんな! 今日は楽しむぞ!!」
「おう!!」
「うん!!」
「はい!!」
……俺の名前はリーダー。
冒険者パーティ、|紅蓮の月光《クリムゾン・ムーン》のリーダーだ。
実力も認知度もまだまだの俺たちだけど、これからも冒険の浪漫を追い続けていってやるぜ……!!
コメント
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あー、読んだ読んだ!第491話お疲れさまです🥀 いやー、まさかあの指輪がアイナちゃんに渡ったことで、マリモとメンヒルの間でそんな誤解が生まれてたなんて…!しかも風俗街に行くと思われてたリーダーが不憍でちょっと笑っちゃった😂でもナガラがちゃんとフォローに入ってくれて良かったね。やっぱり彼、いいキャラしてるよ。 それにしても収穫祭、すごい盛り上がりで読んでてワクワクした!アイナちゃんがステージに立ってる姿、リーダーが見上げる感じが切なくもあってじーんときたよ…。これからも応援してるね🌙