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久々に学校もなくて、撮影も何もない真っさらな休日。しかし、えと以外の女子メンバーはそれぞれ予定があるらしく外出していた。
ゆっくりと寝られたためもうすでに時刻はお昼前。さすがにお腹空いたなと本館のキッチンまでやってきて冷蔵庫を覗くが残り物もなく、すぐに食べられそうなレトルトなども見当たらなかった。
「TKGかなあ」
体のためにタンパク質は必要だと卵は使い過ぎなければ自由に食べてもいいことになっている。
炊飯器のなかを確認すれば2.5杯分くらいはありそうだと、卵かけご飯にしようと決めたところで、お腹空いたなあとたっつんがキッチンへと入ってきた。
「おっ、えとさんやん。おはようか?」
「うん、おはよう」
「この時間ってことは休み?」
「うん、休み。起きてお腹空いたからこっちまで来た」
女子寮は家の作り的に別館となっているため、小さめのキッチンが備え付けてある。のあとるながいればそちらでどうにかしたのだがいないためえとはこちらまでやってきたのだ。
「まあ、ひとりのご飯ってめんどうよな」
「そうなんよねー。逆にね」
たっつんは冷蔵庫からスライスされているハムを取り出すと一枚パクリと口に放る。
「ん、一枚いる?」
「んー、ていうか残りのハム使ってもいい?」
どういうことかとたっつんは眉間にシワを寄せるが、えとはテキパキと冷蔵庫のなかから食材を取り出していく。
たっつんも何をするのかわかったようでええよと残り半分くらいあるハムを差し出した。
「あー、腹減ったあ」
「オレも。なんか冷蔵庫にあるといいんだけど」
「シヴァさんも今日はおらんしなあ」
「確かに」
ご飯を求め、うりとヒロもキッチンへとやってきた。
えととたっつんは顔を見合わせて、まああの二人までならと受け入れることにする。ハムも限りがあるので。
「あれ、たっつんさんとえとさんやん」
「やっほー」
「なんか作るつもりだった?」
「そうなんよねえ」
「もしかしてそれってえ?」
「もうお前たち二人までやで! さすがにこれ以上となると材料なくなる!」
うりとヒロは空気を呼んで控えめにやったーと喜ぶ。
「よしっ、誰かが来るまえにやっちゃうぞ!ヒロくんは卵4つ割って軽く混ぜといて。たっつんは冷蔵庫から缶に入ってる中華調味料だして。うりは冷凍庫からご飯出してチン。よろしく!」
男子陣に指示を出したえとは慣れた手つきでネギやハムを刻んでいく。
「あー、たっつん。フライパンに油敷いて温めておいて」
「あいよー」
「うり、チン終わった?」
「終わった」
「じゃあ、ヒロくんフライパン暖まってたら卵流し込んでそこにご飯入れて、うりもチンしたやつ入れて」
えとは包丁を洗いながら、調味料の準備をして指示を出す。他のメンバーが来たら食べさせられる分はないのだ。時短をとにかく意識する。
ジュワッといい音を立てながら溶き卵をフライパンに流し込み、お釜のご飯も冷凍ご飯も卵のど真ん中に落としていく。
えとは手早く混ぜ合わせるとそこへ刻んだハムとねぎも入れた。
混ぜ合わせながら中華調味料と醤油、塩コショウで味を整えていく。
フライパンをなんとか返していくが4人分となるとさすがに重い。
「あー、手首死ぬんだけど!たっつん変わって!」
「ええよ、おんも!!これはさすがに女の子には重いわな」
えとは重かった手首を振りながらがんばれーとたっつんを応援する。
するとキッチンから離れていたうりが何やら手に持っていた。
「このスープ一緒に飲もうぜ」
「春雨スープ?いいじゃん」
ヒロはさっそくやかんに火をかけ、炒飯用のお皿とスープのカップを出していく。
たっつんとえとで少しだけ味見をしてこれでいいかとなってお皿に盛る。
うりのスープもあって、休日お昼の定番のようなご飯となった。
いただきますと声を揃えて、手を合わせた。
「ん、うまい」
「うめえよえとさん」
「おいしー。えとさんホントに料理できるんだね」
「まあね、えとさんだから」
たっつんになんだそらとつっこまれながら会話が続いていく。
「お店の炒飯やないけどさ、家の炒飯でこれ出てきたら嬉しいレベルよな」
「ほんと?うれしいねえ」
「わかる。お店のはお店のやし、家のは家のでまた良さが違うんよね」
「あー、それなあ」
「それでもえとさんの作ってくれた炒飯、パラパラしてるほうやけどねえ」
「缶の中華調味料だからじゃない?練ってあるから油分が多いんよ。だからパラパラするみたいな」
「おぉ、なるほどなあ」
うりがいやでもさあと切り出す。
「なんか学生時代のお昼みてぇじゃね」
「あー、わかる。土曜のお昼とかこんな感じよな」
「そうだったかも。なんか懐かしい感じするね」
「気が向いたらまた作って欲しいかもオレ」
「まあ、作ってもらったって他のメンバーに言わなかったらいいよ」
作れると知られるとめんどくさいとえとが言うので言わないと男子陣は口を揃える。
確かに作れる人に頼りがちになってしまうので、えとがそういうのも理解できた。
片付けはオレ何もしてないからヒロが引き受けてくれて解散する。
たっつんは夜ごはんまでには帰ってくるというシヴァにお昼は炒飯でしたとだけメッセージを送ったのだった。