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かつて見せたこともない振る舞いに、戸惑いを隠せずにいると、
彼は気を落ち着かせるかのように、ふー……っと長く息を吐き出した。
「君は、以前にも言っていましたよね……。私には、『愛なんかなくても抱けるはず』だと……」
自らの表情を見せないようにするためなのか、彼は顔の半分を隠すように片手で覆い、
「……だったらどう抱いたら、愛があると思うのです……?」
私に、そう唐突に尋ねてきた。
「……わからないです……そんなこと」
なぜそんな風に訊かれているのかもよくわからなくて、どう答えるべきなのかも知り得ない私に、
「……わからないのに、愛がないなんて、どうして言えるんですか……」
彼は、答えを求めるわけでもなく、ポツリと独り言のようにも口にした──。