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風が送る花びらを見届け
友達との約束よりも大好きな彼に会いに行く
ムーミン「すなーふきーん!!」
彼を見つけて思わず名前を叫ぶ
スナ「やあムーミン」
いつもの声色でこたえる彼…の隣にはノンノン達
ノンノン「あら?ムーミン
用事があるんじゃなかったの?」
ムーミン「用事…は…その…」
ミィ「まさか私たちよりもスナフキンに会いたかったんじゃないでしょうね!?」
スニフ「なんだ、用事なんて無いんじゃない
あとで貝を拾いにいくけどムーミンも来る?」
ミィ「ちょっと!嘘つきを誘わないでよ!」
ノンノン「そうよ~…用事もないのに遊んでくれないなんて…いじわるね」
ミィ「そうよそうよ!ムーミンなんか!ふんっ!!」
スニフ「そうだね、嘘つきとは遊ばない方がいいよね」
ムーミン「…なんだよ!
みんなして!!本当に用事あるんだもん!
みんな大っ嫌いだ!」テュロロロロロ(走るSE)
スナ「…」
ミィ「ねーえ?スナフキン
あんなのに好かれてるなんてかわいそうね」
ノンノン「そうよ!
私のことよりもスナフキンのことばっかり言ってるわ」
スニフ「スナフキンのことを話すときは僕たちと居るときより目がきらきらしていたね」
ミィ「そうそうムーミンったらね______
耳をつんざくような声の玉ねぎ頭と
チクチク刺すピンク前髪、
2人の言葉を聞いて標的にならないように、もしくはなにも考えていない手のひらくるっくるの茶色バナナが去った後
あの可愛らしい子が僕を…と思うと心が踊る
あのとき庇ってあげられたら…
自分はひどいことをしたなと思った
でも、そこで庇うとあの子はもっと攻撃を受けてしまう
どうすればよかったのだろう
ここには定められた答えは無い
それに回答は一回きり
間違いは許されない
あの子を探してみようか
自分が引き金なら少しの間姿を消してみようか
ムーミン「…ただいま」
ムーママ「おかえりなさいムーミン」
ムーミン「…あのね、約束…っていうか…
遊びたくないって断ったらダメなの?」
ムーママ「そんなことは…無いと思いますよ」
ムーミン「そうだよね…」
…スナフキン
僕のこと、どう思ってるのかな
皆みたいに最低な奴だって思うかな…
みんな大っ嫌いって言っちゃった
スナフキンも居たのに
…明日謝りにいこうかな
ミィ「______でね~」
ノンノン「そうよ~それでね______」
また来た
…おや?
あのかわいらしいフォルムは…ムーミンじゃないか
どうしたのかな?
ムーミン「…」
黙ったまま見つめたが彼は背を向けて帰っていってしまった
…かばわなかったからショックを受けているのだろうか?
…すまない
ミィ「ちょっと!スナフキン聞いてるの!?」
スナ「僕は…」
あぁ…今彼を引き留めたら標的になるだろうな
見送るしか…
ミィ「何よ ミィ達の味方はしてくれないわけ?」
スナ「僕は…約束を破ったわけでもないのに叩くのは間違っていると思うなあ
君たちは、
自分が皆に寄ってたかって叩かれて、仲間にいれてもらえなくなったらどう思う
独りぼっちになって愛されなくなったら
君たちはどう思う」
ノンノン「皆に嫌われてしまうってことなの…?」
スニフ「…僕は嫌われたくないよ」
ミィ「二人ともみっともないわね~!
一人でいるぐらい平気でしょ!」
スナ「ホントにそう思うかい
もう一度、よ~く想像してごらん」
ミィ「…」
スナ「…人にしたことは
時間をかけて返ってくる
というのを覚えておくことだね
僕は失礼するよ」
僕は尖っている玉ねぎ頭を無視して何も入っていないバケツを持って帰った
あれからあの子は来ない
まあ数日しか経っていないのだけど
ちょっと長いな…
しばらく会わない間にここを出てみようかな______
僕は、あれから大好きな彼に会わずにいた
皆とは仲直りしたけれど、スナフキンのことがどうしても気がかりで何度か
いつも釣りをしているところに行くけど彼は居なくて…
たまたますれ違っているだけかもしれないし、避けられているのかもしれない
どこなの?スナフキン…
…よし、数日間留守にするよ
さよなら ムーミン谷
ムーミン「…」
今日もいない…
そういえばテントに行ってなかった
居るかなあ…
ムーミン「…スナフキン?」
…居ない
荷物もない
ムーミン「これは…」
ふと足もとを見ると紙切れがあった
彼の筆跡でこう書いてあった
ムーミン「ムーミンへ
君がこれを読んでいるときには僕はムーミン谷を出て、少し遠くへ旅に出ているけれどすぐに帰ってくるよ
それからあの日、かばってあげられなくてごめんよ…
…どうして遠くへ?
今までそんなこと無かったのに…
少しってどれぐらい…?
寂しいよお…スナフキィン…ッ!」
黙って谷を出たスナフキンに対して疑問と寂しさがあふれ、ほろりと涙がこぼれる
どうしてどうしてと考えながら紙に握った跡が残るほどぎゅっと握りしめ立ち尽くす
「ムーミン」
真後ろから声をかけられ少し体が強張ったが、すぐに声の主がわかり気持ちが高ぶる
ムーミン「…っ!えぇ~~んっ!!」
会いたかった
スナフキンがそこに居る
嬉しくて思い切り抱きついた
彼は少し驚いた表情をしていたけど
僕の涙を拭って優しく抱き返してくれた
ムーミン「お帰り…あのねぇ…すなふきぃん…」
スナフキン「ただいま
どうしたんだい?」
ムーミン「あのね…あのね、大好きだよ」
スナフキン「ありがとう
…僕も君が大好きだよ」
ムーミン「…ねぇスナフキン
旅ってどこに行ってたの?旅の話を聞かせてほしいなあ…!」
スナフキン「ふふふっ
そうだね…面白い出来事に出会ったからゆっくり話そうかねぇ
ああ、それとこれ
手を出してごらん」
ムーミン「…?スカーフ?」
スナフキン「そうだよ
それでね、これは友達とずっと仲良しで居られるおまじないがかけてあるスカーフなのさ
ただ…手作りだから破れやすいかもしれないねえ
…気に入らなかったら捨てておくれ」
ムーミン「…これスナフキンが作ってくれたってこと?」
スナフキン「ああ…」
ムーミン「ほんと!?大事にするよ!ありがとうスナフキン!」
スナフキン「喜んでくれて嬉しいよ」
いつもの場所に行って丸太に腰かけて
ふたりっきりの空間で触れあい、旅の話を聞いたのでした
おしまい