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「ざ…!きたざわ..!北澤…!!北澤!!」
先輩の声がする…
「せん..ぱい?」
「あぁ!やっと気がついたか北澤!」
「ここ…どこっすか…?」
「分からない…どこかの森みたいだ。お前をずっと背負って歩いてたんだ。5分ぐらいか?」
「スマホも繋がらないし時計もイカれてる。」
「先輩!あそこになにか建物がありますよ?」
この日が俺と先輩との最後だった。
こんな訳の分からない場所で訳の分からないことをして、一体なんだと言うんだ。
それに…なんだこれは。
走馬灯…ってやつか..?
事が起きたのは外が暗闇に包まれ森から危険を感じるような雰囲気の時だった。
「この建物に人が沢山いてびっくりしたよ。ざっと35人ぐらいいたな?…どうした?北澤。」
「先輩って飲み込み早いですね。俺はまだ訳が分かりません。デスゲームっていうのもよく分からないし、怪物が現れるってどういうことなんですかね。」
「考えるよりも実際に触れてみるってこと、大事だぜ?」
「そうっすかねぇ…」
「怪物が来るからここの道を辿ってくれ。みんなが集まってる。」
言われたとうりにその道へと進みみんなと合流した。
「たっ!!助けてくれえ”っ”」
突然走ってきた1人が何もされていないのに死んでしまった。
「なんだ!?」
これには全員ビックリしていた。
どうやら今までの怪物とは違うのだろうか。
すると倒れた人の後ろからヌゥッと怪物が現れた
「で..出たァァ!!」
「扉をしめろ!!」
「助けて!!」
色々な絶叫、焦り、不安、絶望の声が無数に飛び交う。
その後はとても酷かった。
20人程その場で殺され、喰われ、遊ばれた。
なんとか扉から逃げきれた人が数人、外に行く途中に足を掴まれて引きずり込まれていった。
俺は懸命に走った。外へ外へと走った。
先輩は俺の後ろを走っていたらしい。
外で逃げていてもしょうがないので建物の中で隠れてやり過ごそうと先輩が肩を叩いて言ってきた。
それが選択のミスだった。
建物にある服のタンスの中に2人で入った。
ぎゅうぎゅうで少し苦しかったが死ぬよりはマシだった。
「北澤…息を…息を潜めろ…荒息で居場所がバレるかもしれん…」
俺は声を出さずにコクンと頷いて心を落ち着かせた。
今は2階。1階で物音が聞こえる…
物を踏んでいるかのような音…
バキっという音が聞こえたと同時に男の人の悲鳴も聞こえた。
俺は先輩の方を見た。先輩は横に首を振った。
俺は泣きそうだった。こんな場所になぜ来てしまったのだろう。
物音が段々と近づいてくる…
2階に来たようだ…
もしかしたら怪物は人が見えなくても匂いやらなんやらでさぐれるのではないかと段々思うようになってきた。想像が恐怖を膨らませている…
足がとうとう震え出した。
震え過ぎて思わず頭をぶつけてしまった..!
先輩は一言、
「次はお前が守れよな。 」
そう言ってタンスから出た。
ゆっくりと背中に壁を付けながらその場でしゃがんだ。
そのまま朝を迎えていた。
走馬灯から目覚めたような気がした。
「いや…死んでたまるか…全員を元の世界へ返してから死ぬんだ…!」
「全員を守れないことになる…!!」
「くたばれ!!怪物がぁぁぁぁ!!」
自分の渾身の拳を怪物に当てようとした
声が聞こえる…先輩の声だ…!
「仲間を…頼れ…北澤。」
「北澤ぁ!弓矢やぁ!そいつにぶちかましたれ!狙い所は目や!体は硬すぎて無理や!」
「私が気を逸らすからその時に打ち込んで!!」
「喜津音…!加奈..!!」
喜津音が矢を弓で壁を撃ち、弓を床へスライドさせるかのように投げた。
「持ってきたぞ…!ごついなんかのハンマー..!!」
「芽衣!どこ行ってたの!」
「加奈!あぁ…この怪物をぶっ倒すために少し手間かかったが倒せるぐらいの物を取ってきたぞ…」
「でかしたで!芽衣!そいつをあの怪物にぶん投げるんや!」
「うぇ!?なんで!?正面からやった方がいいだろ!?」
「正面は…北澤に全てを賭けるんや!俺らは主役の援護や!」
「分かったぞっ!!」
芽衣が重たそうなハンマーをブンブン自分ごと回って遠心力でハンマーを投げた。
怪物がこちらに向こうとした瞬間…
北澤が壁に刺さった矢を抜き取って弓矢を構えた!
「人間の強みは!考え!協力して挑むことにある!!怪物のお前は!勝てないんだ!!」
スパン…という綺麗な弓矢の音が聞こえた。
横から覗き込むと口に矢が刺さっている状態だ。
「やったのか!やったか!?」
「風路先輩…守り抜けましたよ…」
「北澤、立てる?」
「あぁ…ありがとう…加奈ー」
「危ないで!2人!!」
怪物が起き上がって恐ろしい鎌のような足を振りかざした。
瞬時に気づいた北澤が私を押し退けて身代わりになってしまった。
「北澤!!」
「ご..ごめん北澤..」
「いいから…行くんだ…!」
「加奈!早く北澤を連れてくぞ!」
「う…うん!芽衣は左腕持って!」
「何しとんねん君ら!3人諸共死ぬで!!」
「えっ… 」
またあの足が振りかざろうとしていた。
死ぬ…
私のせいで2人共…
突然自分の持っていない謎のお守りが私のポケットから出てきた。
それは紫色のような、桃色のような色を美しく光放ち、私の手に何か重いものを持っているかのように思えた。
怪物も動きが止まりその光を見続けていた。
「なにこれ….刀…?」
桜のような色味をしていて刃には紫のオーラのようなものが見える。
この刀は現実にあり、ないものだ。
目には見えているがそこにはない。
そのような感じがする。
でもどこか、恐ろしい気を感じる。
「き…れ…」
この刀が喋りかけてきたように聞こえた…
「そいつを…きれ…」
いや…喋っている…
「そやつを断ち斬れ!!」
「あっ!はいっ!!」
足の先まで伝わる言葉に驚かされ思うように体が動かず勝手に体が動いた…
「ん…っ…」
「使い方がなっておらんのぅ…」
「えっ…え?」
若い女性のような声がする。
そしてスー…っと刀が薄れて消えていった。
前を見ると怪物が綺麗真っ二つに絶たれている。
「何…今の…」
「おいおい加奈今のなんだよ!すっげぇかっこいいじゃねぇか!!」
「いや…私も分からないんだけど…」
「いま刀見たいなもん見えとったで?」
「わかんないわかんない!!」
「守るどころか…守られちまったな…あは…は..」
北澤はそのまま力が入らなくなって気絶した。
幸い出血が少なかったため止血をしてなんとか一命を取り留めた。
安静にしておかないといけないので夏葉が
「安静にしてるかずっと見とくー」
とか言ってた。
あの不思議なお守りは何だったのだろう…
今思うと夜も眠れなかった。