とある日────
今日もまた太齋さんの家にお邪魔していた。
もちろん、リハビリは今日もある。
家に入るなり、太齋さんに「今日はあの部屋でしよっか」と薄暗い角の部屋を指さした。
「え、あそこって…この前僕が覗いちゃった部屋ですよね…?」
「そっ、俺のプレイ専用部屋」
そう言って太齋さんは僕に近づいてくる。
「今日はいろんな道具使ってイく感覚覚えてもらおうと思ってさ♪」
「へっ……??」
そんな声が口から漏れると同時に僕はお姫様抱っこされる。
「ちょ、太齋さん!?」と驚く僕を無視して
その部屋まで連れていかれた。
部屋の明かりを付けて僕をベッドに下ろすと
太齋さんは「まずは電マから始めてみよっか」
なんて言ってくる。
僕はそもそも、ポルノハブとかBL漫画見て一人で抜いたりすることはあるものの
思えば玩具なんて買ったことも触ったことも無くて。
それを素直に口に出すと
「じゃ、小さめのこれとかなら怖くないんじゃない?」
そう言って太齋さんは玩具の並んだ棚からなにかを持ち出し、僕の前に差し出した。
「リップ……?」
それはいっけん、ブランド物のリップのように見えたが
太齋さん曰く「リップ型のバイブ・ローター」とのこと。
初めて見る玩具に恐慄きそうになる。
「あ……あの……」と太齋さんの服の裾を引っ張る。
「怖い?」
「その、オモチャとか初めてで……」
僕がそう不安げに伝えると
太齋さんは優しく頭を撫でてくれる。
「大丈夫、今からするのは気持ちいいことだから…怖がらないで俺に身を委ねて?」
「は……はい……」
そして、僕はその部屋のベッドに横になった。
「じゃ、始めるね」
太齋さんはまずズボンの上からそれを当ててきた。
「あ……っ、ん」
つい声が漏れる。
そして太齋さんはリップを塗るように
僕のアナルに、振動するそれをあてがう。
「ん、あ……ぁ……っ♡」
少しくすぐったいような快感が体を駆け巡る。
「やば……」と太齋さんは僕の耳元で零すように呟いた。
思わず太齋さんの手を掴んで言葉を絞り出した。
「…っ、もう少し…強く…っ」
「…素直すぎ」
太齋さんはそう言って、弱から中に振動レベルを変えて、僕のアナルにリップを押し当てる。
すると、今まで以上の快楽が全身に流れるような感覚に襲われた。
足をガクガクとさせて
「……ぁ♡あ、だめ……ぇ……♡」
そんな声を漏らすと、太齋さんに
「可愛いよ、ひろくん」と耳元で囁かれて
さりげなくズボンを下ろされてパンツ越しにそれをあてがわれた。
「ぁ……っ、まって……」
僕は弱めの声で太齋さんを止めようとするけど
それよりも先に快感が全身に駆け巡って
「……っ!!」
声に鳴らない悲鳴をあげる。
すると太齋さんは下着越しに僕のアナルにリップを押し当ててくる。
「ん……ぁ!…っ、だ、め…」
声を漏らすと太齋さんは「ダメじゃないでしょ?ひろくん自分で腰動かしてるじゃん」と言ってきて
「でも嫌ならやめるけど、どーしたい?」
そんな意地悪なことを言われたら
快楽に勝てるはずもなく
「もっ…ど、感じたいれす…」
と呂律の回らない口を動かせば
「……じゃ、ちゃんとおねだりして?」
なんて、更に小悪魔のような返答が返ってくる。
「それぇ…ここにいれ、てくださ…いっ」
太齋さんに向けて、足をM字開脚しながら
本能のままにそう言えば
太齋さんは「ん、いい子」と言って
僕のアナルにそれをゆっくりと押し込んでいく。
「ぁ♡はいって、きて……」
なんて呟けば、すぐにナカで振動するリップに腰を震わせる。
「あッ、あっ……っ?!」
「ゃ、やば……これ、やばぃ……っ」
その感覚に身を委ねていると太齋さんはそんな僕を見上げて意地悪な笑みを浮かべる。
「はっ…ん、あ…ぁ♡♡」
肩で息をしながら太齋さんを見上げると、太齋さんは僕を見ながら微笑んで言う。
「ひろくんってば、すげーえろい声出すじゃん」
「……ぅう……」
なにも反論できない僕が顔を手で隠すと
太齋さんは僕の手を掴んで「顔隠さないで?可愛いひろくんの事もっと見たいから」と言って
|リップ《電マ》を強弱4段階モードの中で1番強いMAXにする。
「ぁ”、ぁっ♡」
ナカでの|振動《気持ち良さ》に抗えるはずもなく、声がダダ漏れになった。
「やっ、だめ……っ♡あ”ぅ」
僕はだらしなく股を開きながら
振動するそれを前立腺に擦り付けるように腰を動かした。
「…ひろくん、その顔もいいね……生殺しすぎるけど」
同時に漏れ出る愛液を絡め取られるように舌で舐められる。
「あ♡やぁ、だめ……それ、だめぇ……っ」
恥ずかしさを通り越して
もう頭は真っ白で
何も考えられそうになかった。
「ぁ、らめ……っ♡ほんろっ、もぅ……なん、か出ちゃ……!」
僕が限界を訴えると太齋さんは
「ちゃんと俺の顔見ながらイって?」
なんて言いながらキスで口を塞いでくるから
逃げ場なんて無くて
僕はそのまま白濁色の液体を撒き散らして中身が空っぽになりそうなほどの絶頂を迎えた。
玩具を抜かれて
「はー……っ、はー……」と息を整えると
太齋さんはさっきとは打って変わったように優しい手で
よしよしとあやすように頭を撫でたあと
「ついイジメすぎちゃった、ごめんね?」
と謝りながら、汚れたところを拭いてくれる。
そしてペットポトルに入った水を差し出してくれるから、素直に受け取って。
僕はそれを一口、二口ほど喉に流し込んでから
口を開いた。
「太齋さんの、意地悪……!ど変態!」
そう悪態をつくと
太齋さんは「ごめんって」と言いながら僕の頭を撫でてくる。
「だってひろくんが可愛すぎるから…声もえっちすぎるし、感度も良すぎじゃない…?」
なんて返してきて、思わず顔を逸らす。
(やっぱり僕は太齋さんには敵わない……)
(正直に言われすぎて恥ずかしすぎる…)
「ねぇ、こっち向いてよ」
その声のトーンが普段とは違う気がして ゆっくりと顔を戻してみれば
また意地悪そうな笑みを浮かべる恋人の姿が見えた。
────────……
その翌日から、太齋さんと上手く目が合わせられないようになってしまった。
それどころか、声を聞くだけでドキドキするようになっちゃて……
「ひろくん口数少なくない?」
でも、太齋さんは相変わらずで
いつも通りに接せられて、それがなんだか悔しくもあった。
(過去にセフレはいたらしいし、僕が知らないだけで経験豊富なんだろうな…)
(じゃなきゃあんなこと、余裕な顔でできるはずないし…っ!)
ていうか太齋さんって、あまり自分のこと話さないし…
僕は幼馴染であり恋人だけど
もしかしたら
太齋さんのこと知らなさすぎるのでは…?
なんて思考が突如浮かんだ。
それでやっと口を開いた。
「太齋さんってやっぱ、経験豊富…ですよね?」
なんて安直な質問に太齋さんは
「普通ぐらいだと思うけど」ってあっけらかんとして返してくる。
「どして?」
「いや、なんとなく…」
「ははっ、なにそれ」
なんて笑う太齋さんに
いつも以上に
The余裕な大人というオーラが溢れ出ていて
無性に悔しい。
それに、太齋さんの近くにいると無性にドギマギしてしまう。
それからというもの───…
太齋さんと手が触れただけでスっと手を引くようになってしまった。
お家デート中、それすらも太齋さんに見抜かれて
「ひろくんさ、最近どうしたの?」
「え?」
「俺が手繋ごうとすると避けるじゃん」
太齋さんは目ざとく僕を見て聞いてきた。
(……やばい、見透かされてる)
そんな気もしなくはなかったけど、僕は首を横に振った。
「別に、そんなこと…」
「嘘、だって最近明らかに避けてるみたいな行動多いよ?」
太齋さんはそう言って僕の目を見る。
(もう、これ以上は無理……っ)
僕は観念して
口を開いた。
「だって……」
「太齋さん見てると…リハビリ、思い出しちゃって」
正直に伝えると、太齋さんはきょとんとした顔になる。
あー、笑われそう。
やっぱり言わなきゃよかったかも……
そう落ち込んでいると
太齋さんは呟くように言ってきた。
「…やっぱひろくんには敵わないな」
そう言う彼に僕は首を傾げる。
「どういう意味ですか……?」
僕がそう聞くと 太齋さんは呟くように言った。
「なんでそんな可愛い反応すんのかなぁって…」
まさかそんな返しをされるとは思ってもなくて
頬が熱くなる。
すると太齋さんは僕に耳打ちした。
「そんなに良かった?」
その一言に心臓が跳ね上がってしまう。
「な、なに言って……」
「だって、そうでしょ?」
そう言って太齋さんは僕の腰に手を回して抱き寄せる。
「……ひろくんさ、俺がちょっと触れるだけで顔赤くするし」
「そんなこと……っ」
と言いかけたところで太齋さんは続ける。
「それに、手を繋ぐだけでも意識しちゃうんでしょ?」
「それ、は…っ」
その言葉に何も言い返せずに黙り込むと、太齋さんは続けて言う。
「可愛すぎ」
そう言った太齋さんの吐息が僕の耳にかかる。
「ひゃっ……!?」
思わず変な声が出て、僕は慌てて口を塞ぐ。
すると、太齋さんはクスッと笑って言う。
「ほら、ビンゴ」
「ちが……!」と否定しようとしたけど
太齋さんが僕の耳を甘噛みしてきた。
「……っ」
そして離され、耳元でまた囁かれる。
「嘘つきだね、ひろくんは」
耳朶を食まれて、そのまま舌先で舐められると肩が跳ねる
そんな僕を見てか、太齋さんは続けて言った。
「来週の土曜、またここでリハビリの続きするからね」
その言葉に僕はただ頷くことしかできなかった。
そして、僕も太齋さんをドキッとさせてみたいという気持ちでいっぱいになり
とある計画を実行することにした───
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