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「え、飲み会?」
『そうそう、同じゼミの人達で楽しく飲む感じだし気軽に参加してくれたら嬉しいんだけど!グルチャ招待しといたから明日までに参加不参加選んどいてね~』
そう誘ってきたのは同じゼミの子の一人で。
僕はこのときを待っていた。
飲み会や合コン
そんなものは恋人の気を引くにはもってこいのイベントなのである
招待されたグループチャット内の投票で参加を選んだ。
太齋さんにはわざと「今日大学の飲み会誘われて、お店また明日行きますね」なんて一報を入れて。
そして今、居酒屋の団体席で僕の隣に座る瑛太が呆れたように口を開く。
「お前、そんな飲んで平気か?」
「だいじょぶだいじょぶ、これも作戦のうちらから…」
そうして僕は太齋さんに、またわざと、酔いながら他のゼミ生と陰キャピースしている写真を送信した。
「これで少しは、いつもの仕返しに…」
「でもお前、この前まではドキっとさせたいとか言ってたろ。」
「まあ…たしかに」
「そんなん送ったらドキッどころか嫉妬されて《《終わり》》じゃね?」
「いいのいいの!〝いつも完璧な太齋さんを乱してみたい〟という点で言えば目的は同じだし……!!」
「アホくさ」
「それに《《終わる》》ってなに!さすがの太齋さんでも何も言わないで終わるってことはなくない??」
「いや、俺が言ってる終わるってそっちの意味じゃ……いや、なんでもねーわ」
瑛太とそんな会話を交わすと、すぐに時間はすぎていき
二次会行く人ー!と外でまとめ役が声を張上げて
みんなが口々にカラオケ行こー!とかお前も行くだろ?と言っているときだった。
平野も行くよなと一人の男が聞いてきたとき
僕の横にひとつの、既視感しかない車が止まる。
「あ、え?」と横を向けば
そこには太齋さんの姿があって。
僕は思わず口をパクパクさせた。
そんな僕を見てか、太齋さんはいつもの余裕な笑みで言うのだ。
「ひろくん、迎えに来たよ」
「え?なんでここに……」
そう僕が疑問に思っていると、周りの女子たちが
「え!やば、あの人前に臨時授業で来たイケメンに似てない?!」
なんて声を上げたから 「どーも、通りかかっただけなんだけどみんなこれからカラオケいくんだ?平野くんったら随分酔ってるみたいだし、送ってくよ」
勝手に太齋さんが仕切り始めた。
女子が「えー私も帰りたい」と言い出すのでそれを阻止するべく周りの|ゼミ生《男子生徒》が早く行こうぜ!と焦り気味になっている。
そんなところ、太齋さんは僕の手を取って、後部座席にポンっと投げて
「ほら、帰るよ酔っ払いさん」
言いながら扉閉められ、太齋さんもまた運転席に乗ってエンジンを掛け始める
酔いが回っているのか、少し眠たくて座席に寝転がった状態で言葉を返す。
「よ、酔っ払いじゃないれす……!」
「あーほらもう呂律回ってないじゃん」
そんな会話を交わして
車が走り出してからすぐだった。
「あの、ていうかなんでここに居るんですか……?居酒屋の場所も伝えてないのに…」
そう聞くと太齋さんは少し間を置いてから口を開いた。
「……写真送ってきたでしょ、そこから特定しただけ」
「な、なるほど……?って、は??」
「……で、飲み会はずいぶん楽しんでたみたいだけど」
「そりゃ、楽しかったですけど…!」
「昔っから人見知りなひろが普段絡みのない生徒とピースできちゃうぐらいには?」
「そ、それはお酒の力もあって…」
って、さりげなく今また「ひろ」って言われた…!
もうそれは絶対に、怒ってるって合図で
瑛太の言ってた「終わる」って意味がようやくわかった気がした。
「それで、俺に嫉妬でもして欲しかった?」
エスパーですかというぐらいに当ててくる。
そんな質問に僕は少し間を置いてから答える。
「……だって、太齋さんいつも余裕そうで、こんなにドキドキしてしまうのは僕だけって思うと、困った顔見てみたかったっていうか…」
そう答えれば太齋さんは小さく笑って
「なにか企んでるな~とはおもってたけど、そーゆーことね」と言うだけ。
あれ、意外と機嫌良い…?
怒ってたように見えたのは演技…?
(やっぱりリハビリのときも普段もそうだけど、僕ばっかりが振り回されてる気がする……)
そんな不満を胸に抱きながらも
車に揺られて
家まで送ってくれるのかと思いきや
着いたのは太齋さんのマンションで。
「え、太齋さん……?」と疑問符を浮かべた。
そんな僕に構わずに太齋さんは僕の手を引いて自分の家に連れ込んだ。
そして玄関の扉を閉めると、扉越しに壁ドンされてしまって。
すると太齋さんは耳元で囁いた。
「俺がいつも余裕だと思った?」
「だ、太齋さ」ん、と言いかけたところで
「黙って」と遮られた。
「悪いけど、今日は死ぬほど嫉妬してるよ」
太齋さんの顔を見れば
その瞳は嫉妬に染まっていて。
「……っ」
「ち、違うんです…!僕ばっかりがいつもドキドキさせられて、悔しいから…やり返したくて…っ…ごめん、太齋さん」
そう告げると、今度は太齋さんが僕の肩を掴んで壁に押し付けた。
「……ほんとさぁ、ひろはずるいね」
「え、っ…?」
「あんま大人をからかうなってこと」
そしてそのまま僕の唇を奪った。
「ん……っ、んぅ…っ!」
僕は必死に息継ぎをするも、太齋さんの舌に自分の舌を絡め取られる。
そんな僕を見てか太齋さんは少し笑ってから言った。
「……ベッド行こっか、もちろん、お仕置ね」
なんて耳元で囁かれて
「…え、と、逃げるって選択肢は…」
「あるわけなくない?」
ひょいっとお姫様抱っこをされて
リビングのソファの上に押し倒されると、太齋さんは僕の服の中に手を入れて胸の突起を摘んだ。
「……っ、……」
こんな無理やり、っぽいこと
トラウマが蘇るはずなのに
太齋さんのせいで
太齋さんの体温しか感じれない。
「ひろ…ここ好きでしょ」
太齋さんが僕の乳首を舌で転がしたり舐めたりしながら聞いてくるから
「ぁ……っ、や……っ」
声を漏らすと、獲物を食べ尽くすような酷く甘いキスに口を塞がれた。
太齋さんの指が伸びてきて
怒っているはずなのに、その手はまるで壊れ物でも扱うように僕の乳頭周りをを優しく撫でる。
「……ん…っ、ぁ」
僕はまた声を漏らすと、太齋さんはそんな僕に悪い大人の笑みを見せて言う。
「欲しがってて可愛いけど、だめ」
そう言って、キスを落としてくるのは唇、鎖骨、肩だけ。
いいところを解って避けている動き。
「す、寸止め、やだ…っ」
「だって、お仕置なのに気持ちよくなったら意味無いでしょ?」
そんな言葉に僕は恥ずかしさで目を逸らせば
「目逸らしたらお仕置き長引くだけだよ」と太齋さんに顎をクイッと掴まれて目を合わせられる。
僕は身体を震わせながら声を漏らした。
「……っ、ぁ……っ」
「声出すの我慢しても、無駄」
なんて意地悪に微笑まれて
急に指で下を服の上からなぞるように触られて
それに反応すれば逃がさないとばかりに後頭部を掴まれて、より深く口付けられた。
「んん……っ!!」
「ほら、ちゃんと息して」
なんて言われて、また深いキスが降ってくるから
息させる気なんて与えてくれないくせにと思うも
僕は必死にその刺激に耐えようとすればする程、涙目になって腰が浮いてしまって。
太齋さんの顔からはいつもの余裕そうな表情が消えていて
どこか切羽詰まっているような気がした。
「ねぇひろ、ごめんなさいは?」
「ご、ごめ…ん、なさい」
「何に対して」
「…っ、太齋さんの気持ち、試すようなこと…しちゃっ、たから」
「……うん、よくできました。」
すると今度は優しい手つきで
角度を変えて唇が重ねられて
口内を舌でかき回されると、ゆっくりと唇が離れていった。
そして太齋さんはいつもの笑顔で言う。
「さ、お仕置はこれで終わりね」
つい、太齋さんを見つめながらポカンとしてしまう。
明らかに違うテンションの差
まさか彼氏のドSスイッチ、地雷を踏み抜いてしまったのだという瞬間だった。
そして太齋さんが言う。
「頼むからさ…俺のことこれ以上かき乱さないで?……ひろくんただでさえ可愛いんだから」
それはとても低くて甘い声で。
そんな言葉に照れるなという方が無理な話で
僕は気づくと太齋さんにギュッとくっついてしまっていた。
「ちょ、ひろくん?」
「今、いつもより太齋さんが愛おしく感じてます…」
太齋さんもまた耳を赤くして
「もう…なにそれ」
なんだか可笑しくて
お互いにクスッと笑い合うのだった。