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「こんばんは」
軽い声。
まるで散歩中みたいな口調。
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「……クォーツ組織」
誰かが呟く。
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男は、ゆっくりと手を振った。
「初めましてかな?」
そして視線は——
僕の腕の中へ。
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「その子、うちのなんだよね」
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赤ちゃんオオカミがビクッと震えた。
「……っ、や……」
ぎゅっと、僕に顔を埋める。
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「……」
僕はその頭を軽く撫でた。
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「嫌がってるけど」
そう言い返す。
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男は少しだけ目を細めた。
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「そうだね」
「でも——」
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一歩、踏み出す。
空気が重くなる。
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「返してもらうよ」
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「……断る」
即答。
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一瞬の沈黙。
そして——
男は、くすっと笑った。
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「いいね」
「君」
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その目が、鋭くなる。
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「名前、教えてよ」
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(……こいつが)
僕は確信する。
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(凛)
クォーツ組織五大幹部の一人。
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「……僕?」
少しだけ笑った。
⸻
「教えない」
⸻
「へぇ」
凛は楽しそうに首を傾げた。
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「じゃあさ」
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次の瞬間。
空気が一気に歪んだ。