悪凱を倒した。
僕は大怪我を負ったが、眷属たちに神域に運ばれて、小一時間休めば全快した。土地神ってすごいね。
さらに体に力が巡る。この戦いで土地神として戦う力の使い方を学んだことや悪凱という強いあやかしを倒したこと。そして僕の活躍を見て、僕を信仰するあやかしも増えたことで、僕の力もパワーアップしたことを感じる。
その日の夜は朝まで宴だった。
とても多くのあやかしが死に、大きな犠牲を払ったが、とても大きな勝利だ。
そして宴の終盤。
「皆のもの!今回の戦いはとても大きな犠牲を払ったが我々は勝利した!悪凱に勝ったのだ!今回のことを受け、我らはシン様と同盟を結び、今後助け合うことを約束した!ともに助け合おうぞ!」
そう今回の戦いでぼくと沼姫はこれから先も同盟を結んだ。これからは助け合う関係になる。
「みんなありがとう。みんなの協力がなければ悪凱は倒せなかっただろう。本当にありがとう!ゆっくりと休んでくれ」
宴はお開きとなり、沼姫の沼地から僕たちは引き上げていった。
僕は今、眷属の雲みたいなあやかしに乗りながら空を飛んでいる。後ろには眷属たちや傘下のあやかしをたくさん引き連れている。
「あー、ほんとに疲れた。もうダメかと思ったよ。」
僕は周りにいるクロ、シロ、紫に話しかける。
「シン様にかかれば、これくらい造作もないことです。」
シロか得意げにいう。
「わたしはお腹いっぱいになりましたのでよかったですわ。」
紫がお腹をさすりながら満足げにいう。
「悪凱に放ったシン様のあの一撃、お見事でした。」
クロは身を震わせながら言う。
みんななんか楽しんでない?
僕たちは談笑しながら夜の街の上をゆっくりと進み裏山に帰って行った。
「琴巴よ、戦いが終わったようじゃぞ。」
「そのようですね。」
空を見るとすごい数のあやかしの行列が街の上を飛んでいた。
「これが百鬼夜行じゃ。琴巴は初めて見るかな?」
「はい。凄まじい妖力ですね。」
空を行進するあやかしの群れは凄まじい妖力を放っていた。
「あの先頭にいる雲の上に乗っているのが今回の戦いの大将のひとりじゃな。あれには関わるなよ?今回の戦いで前よりも化け物になりおったわ。」
「お爺さまでも勝てませんか?」
「さて、どうかなぁ。はっはっは」
そう言ってお爺さまは笑った。
このあやかしたちが一斉に人にあだなそうとすればどうなるのだろう。琴巴はそのようなことを考え、ゾッとした。
「しかし、こっちのあやかしが勝ってくれて助かったわい。あの鬼が勝っていたら本家の人間も呼んでほんとに退治しに行かなくてはならなかったからのぉ。」
あのあやかしたちは人間の味方なのだろうか?
それとも、ただ自分のナワバリを守っただけなのだろうか。
おそらくは後者だろう。わざわざ人間を守る必要は彼らにはない。
ならば、人の味方でもないこんなに強いあやかしたちが周りにいて人間は安心して暮らせていけるのだろうか。
琴巴そんなことを考えて家に帰った。