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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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・VTA時代捏造

・でびらびが付き合ってた(左右明記なし)

・👻🔪と🐙🌟も付き合ってる(左右明記はないけど若干👻🔪が押し気味)

・監禁描写あり

・👻🔪→→→→→→→🐙🌟

・本作品は二次創作であり、ご本人様とは一切関係ありません

・本編中ライバー様のお名前は伏せません





<🐙🌟side>

「これ何?」

彼の声と共に読んでいた本から顔を上げる。そこでは特に意味もなく遊ばせていた触手のうち一本がいつの間にか彼の前でこれ見よがしに綺麗な吸盤を見せつけていた。

わざと指を吸いつかせては抜いてを繰り返しながら彼が面白そうに前のめりになる。

「お前が動かしてんの?」

「俺は何も」

「タコの求愛行動らしいよ、これ」

触手をいじる手を止めずに彼が呟く。今日は何も予定が入っていなかったらしく、彼も一日のほとんどを自室で過ごした。

俺はというと、媚びを売りまくったからか住処をあの殺風景な部屋から彼の自室へ移してもらうことに成功していた。

『あー、ベッドでかくてよかった。俺寝相マジで悪いから寝れなかったら言って』

あの時の彼のひどく嬉しそうな笑みがフラッシュバックする。軽く頭を横に振ってそれを消すと、いじられ続けている触手の方へ目線を向けた。

触手はずっと前から出しっぱなしだったが、彼の口ぶりから考えると“これ”はつい先程からの出来事なのだろう。

「触手でも求愛とか、俺のこと大好きじゃん」

「わかったこと言わせないでよ」

「ふはっ、なんそれ」

嬉しそうに彼が笑う。今日は機嫌がいい。機嫌がいいからこそ、俺から晶の人格が外れた時の反動が怖い。

触手は本当に動かしていない。基本は俺が操っているが、何もしていなくてもうねうね動くぐらいはしているのをよく見かける。こいつらにも意思があるのだ。

「な、俺のどこが好きなの」

「え?」

「教えて」

頬杖をつき、愛おしそうに細められた彼の目の中に佇む月光が早くしろと言わんばかりに輝く。もしや俺は今かなり酷なことを強いられているのではないか。

彼いわく、俺たち(正しく言えば晶という人物と彼)は恋人同士らしい。どっちが彼氏でどっちが彼女なのかはわからないし知りたくもないが。

「ぴょんが先に言ってくれたら考えよっかな」

「あー、そう来たか。そうだなぁ…」

しばらく考えた後、彼は俺の手から本を抜き取って自分の傍らに置いた。そのまま留守になった俺の両手に触れると、不意に逃がさないと言わんばかりに強く握りしめられた。

「俺に従順なとこ」

「DV彼氏みたいなこと言うのやめてくんない?」

「はぁ?なんでだよ、いいことじゃん」

「実際ぴょんの方が犬っぽいし従順な気はするけどね。頼んだら何でもやってくれるとことか」

「それはお前だからだよ。誰にでもそうなるわけじゃないから」

そう言って笑った瞬間、彼のスマホに一件の通知が入ってきた。画面を確認した彼の眉根が嫌そうにぐっと寄せられる。

「うわ、今からか…」

「依頼でも入った?」

「いや、ヒーロー活動の方。同期も二人とも向かうらしいから結構厄介なやつかも。帰り遅くなったらすまん」

「もう十分遅いけどね。……」

手を振りかけてやめる。自分だってヒーローなのに、ここで一人待っていてもいいのだろうか。

記憶が無くて、何も無くて、全てが曖昧になってしまった俺に与えられたヒーローと鑑定士の仕事は“俺が俺のまま”でいるための、俺という船がさまよわないためのボラードだった。

「星導?」

「…俺も、行けたらなって」

俯いたまま呟く。この時、彼がどんな顔をしているのか一度でも見ればよかった。

「ライやカゲツ、他のヒーローのみんなも頑張ってるのに、俺だけずっと楽していいなんてそんなはずないでしょ。俺もヒーローなのに」

ここにいたら罪悪感ばかりが募っていく。それ以前に自分は今他人に監禁されているのだ。彼への愛情は深まるどころか、ここまで来るとむしろ哀れにさえ思えてきてしまう。

「ねえ、俺も連れ」

パンッ

乾いた音と共に、熱を持った頬がジンジンと痛み始める。そこで初めて平手打ちをされたのだと気づいた。

「何言ってんの、お前」

感情の無い瞳に見下ろされる。まずいと思った時にはもう遅かった。

「なんでライとカゲツの名前知ってんの?俺お前に教えたことあったか?」

「…なんでって、顔合わせしたことあるじゃん」

彼の目が信じられないものを見るかのように見開かれ、スマホを持っていない方の拳が固く強く握られる。それでも俺は怖気付くことなく続けた。

「俺は星導晶じゃない。小柳くんも、最初からわかってたはず」

「…今日のお前変だぞ、もう寝てていいから」

「連れてって。Dyticaの四人で任務行こうよ」

彼のスマホに再び通知が入ってくる。恐らくライかカゲツからの催促の連絡だろう。

じゃら、と足枷に繋がる鎖を持ち上げた俺から目を離し、彼は目元を片手で押さえながら部屋を出ていってしまった。

「……ダメでしたか」

重い鎖をベッドに放り投げ、ふかふかのそこに体を預ける。このまま寝る気にはならなかった。

入れ違いでドアをすり抜けてきた彼のオトモが甘えたような鳴き声を上げながら俺の膝の上に乗ってくる。俺をここに監禁し始めてからの彼は常に俺に構いっぱなしだったため、最低限の世話以外は放置されていたのだろう。可哀想だなと思った。

「“アレ”は今頃何してるんでしょうか」

気づいた頃には傍にいた地球外生命体であろう俺のオトモのことを考える。いつ帰ってきてもCLOSEのままのR’Beyehを見て驚いているだろうか。

「…それはないか」

普段からどこで何をしているかわからないし、今でも主人を探すことなくそこら辺を漂っているだろう。そこまで気にしないことにした。

「にゃあ~ん」

「寂しいんですか?」

俺の手にすり寄ってきた彼のオトモの白くなめらかな頭を撫でてやる。普段は彼と共に任務へ向かっていたような気がするが、置いていかれたのだろうか。

「可哀想ですね、俺たち」

目を閉じて気持ち良さそうに喉を鳴らすオトモを窓の外の月光が優しく照らす。ベッドから下りて俺の顔に影を落とすそれを窓越しに撫でると、胸元にさらりと垂れてきた髪を触手に変えて輝かしい月を見上げた。

不思議そうにベッドの上から俺を見る彼のオトモへ振り返り、人差し指を唇に当てる。

「内緒ですよ」

俺だってわかっていた。この約2ヶ月、どれだけ晶を演じても彼はこの中でだけ俺たちの関係を成立させようとしていることを。外には絶対に出してもらえないことを。

彼に“終わり”を期待しても、全くの無駄だということを。

それならもういいだろう。俺たちが完全に壊れてしまう前に、終幕のブザーを鳴らそう。

俺は力を込めた触手を一斉に持ち上げ……

無防備なそれを割った。






スクロールお疲れ様でした!

そろそろ終わりかもしれません。

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