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・VTA時代捏造
・でびらびが付き合ってた(左右明記なし)
・👻🔪と🐙🌟も付き合ってる(左右明記はないけど若干👻🔪が押し気味)
・監禁描写あり
・👻🔪→→→→→→→🐙🌟
・本作品は二次創作であり、ご本人様とは一切関係ありません
・本編中ライバー様のお名前は伏せません
<👻🔪side>
街灯の少ない閑静な街を駆ける。緊急任務のため律儀に道路を走っている暇はない。電柱に飛び移り、屋根に飛び移り、とにかく現場へ急いだ。
不意に何かが地面に叩きつけられたような巨大な音と、少し遅れてそこそこに大きい揺れが伝ってくる。確信を得た足で向かった先には、予想通り各々のヒーローコスチュームを身にまとったライとカゲツの姿があった。
「すまん、遅れた」
「ロウ!お前何してたんだよ!」
「おかげでぼくらやばいんやぞ!」
「マジですまんかった。その分役に立つ!」
カゲツの背後を取ったKOZAKA-Cの一匹に刃を通す。真っ二つに切れた後消滅したのを確認し、前線でハンマーを振り下ろすライの元へ加勢した。
「サンキュー狼!後ろはぼくに任せろ!」
「オレがこっちの奴倒すから、ロウは右側お願い!」
「承知」
短く答えて柄を軽く握り直す。次々と襲いかかってくるKOZAKA-Cの雑魚たちをとにかく斬り刻み、突き刺し、消滅させるが、一向に数が減らないどころかむしろ増えてきている気がする。
「今日数多くないか…?!」
「やっぱ増えてるよな!?こんなこと今まで無かったのに…!」
「何が起きとんのや、このままやとほんまにやばいぞ!」
今から東に応援要請をかけるには時間がかかりすぎる。かといってこれ以上この状態が続けば、次第にじわじわと体力を奪われて負けてしまうのは目に見えている。
「おいアホ!目ぇ離すな!」
鋭いクナイが風を切り、背後から俺に襲いかかった三匹に突き刺さる。礼を言おうとカゲツの方を向くと、遠くからでは見えなかった出血や負傷が細かく見えてより事の深刻さを理解した。
「ちょ、ロウやばい!こっち手伝って!」
「……」
「ロウ!早く!」
「っ、わかった」
一瞬だけ脳裏をよぎった藤色を振り払い、目の前の敵を始末することだけに専念する。ライがハンマーを振り下ろした直後に生まれる隙を埋めるようタイミングを見計らい、剣を振るった。
<🐙🌟side>
大きな音を立てて傷一つなかった窓が粉々に砕け落ちる。入り込んできた生ぬるい空気を肺いっぱいに含むと、部屋に散乱したガラスの一部を拾い上げて枷のついた右足首にあてがった。
ここから出れるなら再生の効く足の一本ぐらい。ガラスを持つ手に力を込めた瞬間、外側に向いていた俺の頬に何かがぺちんとぶつかってきた。
「う”っ……え、貴方…」
咄嗟にガラスを置いて俺の周りをふよふよと漂うオトモの体を両手で掴むと、それは四つ葉の形をした穴のような場所を収縮させて俺の呼び掛けに答えた。
なぜオトモがここにいるのかはわからない。が、いるなら利用するに限る。
「すみません、この枷の鍵を探してきてくれませんか?無ければ鎖が切れそうなものを」
オトモは再び穴を収縮させると、俺の手から離れてふよふよとこの部屋を後にした。ベッドに軽く腰掛けて息をつく。
(見つかったら絶対酷い目に遭いますね)
しかしそれは杞憂だ。彼はそこそこ規模の大きい任務に赴いているため、数時間は帰ってこない。
緊張感のない空気のまま彼が過去に歌っていた歌を口ずさんでいると、オトモが再び部屋に戻ってきた。穴の内部からぺっと吐き出されたものを見て澱んでいた両目が輝く。
「ナイス!ドンピシャで鍵じゃないですか!」
あの時不穏な空気を作っておいてよかった!こうなると彼は鍵もオトモも忘れて出て行ってしまったことになる。
「とんだおっちょこちょいちょいちょちょいのちょいですね、まったく」
鍵を使って枷を外す。完全なる自由を前に胸がはち切れそうなのを抑え、満ち溢れた活力と共に立ち上がる。この後の事は特に考えていないが、とりあえず一度R’Beyehに荷物を取りに戻ろう。
「あれ、服まで取ってきてくれたんですか?」
再び吐き出された俺の服を持ち上げ、なんとなくオトモの頭らしき場所を撫でてみる。小柳くんのオトモも寄ってきたため、二匹同時に撫でてやった。
「また会えたらいいですね」
言葉の意味がわかったのか、小柳くんのオトモは引き止めることもなく短く鳴いて俺を見送ってくれた。せっかく割った窓からではなく、見納めも兼ねて家の中から脱出することにした。
毎晩料理を作ったキッチン。意外と広かった風呂場。生活感のなかったリビング。
そして、あの日以来行くことを許されなかった玄関。
「行きましょう」
オトモに声をかけ、靴箱に仕舞われていた靴を履いて扉に手をかける。意外なことに、鍵は開いていた。
(枷に全ての信頼を置いた結果ですね)
約3ヶ月ぶりの外はここに来る前より暑かった。世間はもう7月らしい。夜だからこれで済んでいるのだろうが、昼は暑さを凌ぐ手段が無いと辛いだろうと考えると自然と眉根が寄ってしまった。
感覚で歩いているとやがて見慣れた外観の建物が姿を現した。どうやらあの家から何も手がかりが無い中、奇跡的にR’Beyehまで戻ってこれたらしい。
「うわ、我ながらこれは天才ですね」
店内に入ってヒーローコスチュームとカバンを手に取り、再び鍵をかけて外に出る。未だ監禁されたことを根に持っている俺はこのまま西の本部に乗り込み、小柳ロウなどという腑抜けた誘拐犯を訴えてヒーロー人生に終わりを告げてやることに決めた。
「あ”~ムカつく!俺が何したって言うんだよ!」
あのタコ絶対許さない、タコは俺か、などと一人で笑いながら本部のある方角へのんびり歩いていく。その道中で普通ではありえないほどの巨大な音と激しい揺れが遠方から伝わってきた。
「思ったより近くだったんですね、アレ」
ヒーローコスチュームを身にまとって走り出す。初任務がこんな形になるなんて思ってもみなかった。
ようやく俺も役に立てる。みんなどんな反応するかな。現地に向かう間、俺の胸は希望と期待で満ち溢れていた。
<👻🔪side>
今日何度目かのライの全体攻撃が周囲の大地を大きく揺らす。彼と俺が相手していた奴はほとんどがこの一撃で叩き潰されたはずなのに、砂煙が晴れた頃には先程より数を増して再び俺たちに襲いかかってきていた。
「マジでどうする!?本部に連絡は!?」
「さっきぼくが入れたけど会議してから動くとか言いよった!」
「はぁ!?会議なんかしなくてもやばいことぐらいわかるだろ!上が使えねーと大変だな!!」
一向に良くならない現状に棘の増えたライが文句を垂れる。個々が強いわけではないが、ここまで数が多いと捌ききれずに攻撃を受けてしまうことも多々あった。実際ライとカゲツもどこかしら酷く負傷していて、このまま戦闘を継続するのも厳しそうだった。
こうなると遅れてやってきた分傷が浅い俺が何とかするしかない。剣を振って無限に湧いてくる敵を捌いていると、ふと普段から懐に入れている鍵の擦れる音がしないことに気がついた。
(鍵…!置いてきた?どこに?部屋に?)
もし本当に置いてきたとして、それが部屋なら、彼の手の届く範囲なら。
今度こそ彼が、晶が俺の元から……
「っロウ!!!」
ライの鋭く大きい悲鳴が鼓膜を通り抜ける。ハッと顔を上げた時には既に俺の目の前にまで秘密結社の闇が迫ってきていた。
「ッ”…!!」
身体を容赦なく吹っ飛ばされ、勢いをつけたまま近くの瓦礫に直撃する。激痛と疲労で身体が上手く動かせない。 朦朧とする意識の中、ライとカゲツが突然驚いたような声を上げたのが聞こえた。
何段階も暗くなった目の前を必死に凝視すると、見慣れた人物のすらりとした後ろ姿が見えた。荒くなっていた息がヒュッと止まる。
「「え…?!」」
「すみませ~ん、遅くなりました!」
荒廃したそこでは、ここにいるはずのない…
“星導ショウ”が立っていた。
スクロールお疲れ様でした!
次かその次ぐらいで終わりです。