目が覚めると寮の天井があった。
少し自分の部屋と違うことから、誰かの部屋だということがわかる。
「ここは?」
「‼‼目が覚めた?」
駆け寄ってきたのは美園だった。
「み、その…?」
「うん。美園だよ。大丈夫…?」
心配そうにこちらを見てくる美園。
「大丈夫やよ。なんで俺、美園の部屋に?」
「覚えてないの?」
美園が驚いた顔をする。
後ろからアキラがやってきた。
「目が覚めたんですね。」
「アキラも…。」
「四季凪、雲雀覚えてないみたい。」
「えぇ?本当にわからないんですか?」
「おん…。」
昨日部屋に戻ってからの記憶があいまいだ。
そのことを伝えると、二人は説明してくれた。
どうやら、昨日の夜俺は倒れたらしい。
「ひばりの部屋に連れて行こうかと思ったんだけど、雲雀の部屋わかんなくって。」
「ありがとな。」
「全然。すごい痙攣してて息が浅かったから、医者に行った方がいいと思うよ。」
「今元気だから大丈夫やろ!」
「そうかなぁ?」
二人が眉をひそめた。
「とりあえず、部屋戻るわ。」
「うん。またね。」
「おう!」
美園達の部屋を出て、自分の部屋に戻る。
「ひば、雲雀っ!」
「うぉ⁉」
扉を開けた途端奏斗が抱き着いてきた。
「雲雀、どこ行ってたの?」
「ちょ、苦しぃ…。」
ぎゅうぅううっときつく抱きしめられ、息ができなくなる。
奏斗ははっとした様子で手を離してくれた。
「一回部屋入れさせて?」
「うん、ごめん。」
「大丈夫やで。」
自分のベッドの上に座り、奏斗と向き合う。
「美園達の部屋いた。」
「は…?」
「なんか夜倒れたらしい。」
「は!?」
「んで、看病してくれてた。」
事実を伝えると奏斗の目が見開かれた。
「倒れたって…。なにがあったの?」
「いや、よくわからん。」
本当に記憶があいまいで困る。
何か重要なことを聞いた気がするんやけどなぁ。
「変なことされなかった?」
「変なこと?大丈夫やと思うけど。」
何をされるって言うんだ。
「そっか。今日は学校休む?」
「んや、イブさんと約束したから行く。」
「…。そう。」
「奏斗?」
ふいに影が入ったように見えて、名前を呼ぶ。
「ちょっと失礼。」
「へ?」
隙を突かれて奏斗の顔が間近に迫る。
キスされてしまうと目を瞑った。
首に柔らかい物が触れる。
「ふぁっ」
きつく吸われた。
ぞくぞくと体に電流が走ったような感覚がする。
「よし、これでいいよ。」
「あぅ、」
ペロリと舐められ、また電流が走る。
「びくびく震えちゃってさ…」
「だれの、せいだと…‼」
「かわい♡」
「ひゃんっ」
耳元でささやかれ、身体がビクンっ‼‼♡♡と跳ねる。
「こんなに弱かったっけ?まぁいっか。」
学校行こ。と普通のテンションで行ってくる。
いつもどおり、なんだっけ。
まぁ、奏斗だもんな。
どこか違和感を感じたがいつも通りだと割り切って学校に向かった。
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