テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
すたーと!
家の中は、ほぼ“病棟”だった。
双子の部屋からは小さな寝息。
ひかるは布団の中でうなされ、
りょうへいは静かに目を閉じている。
リビングには、体温計とスポーツドリンクと冷却シート。
「……よし」
大介は額の前髪をかきあげる。
「ひかる、熱は?」
「……まだ高い」
「プリンは?」
「食べる」
弱ってても甘党は健在。
「りょうへい」
「ん……」
「水、飲める?」
「少し」
普段しっかりしてる分、弱ると静かになる。
その頃、双子の部屋。
「まま……」
りょうたが目を覚ます。
「いるよ」
すぐ隣に座る大介。
「しょうたは?」
「寝てる」
弟の手をぎゅっと握る兄。
熱は下がってきたけど、まだ本調子じゃない。
リビングでは、れんがタオルを絞っていた。
「俺、何やればいい」
「洗濯お願い」
「任せろ」
運動は得意。家事は不得意。
でも今は、全力で動く。
「……静かだな」
れんがぽつり。
いつもはうるさいくらいなのに、
今日は誰も騒がない。
夕方。
「俺、手伝う」
たつやが立ち上がる。
「何する?」
「双子の絵本読む」
ラウールは静かにお皿を洗い、
こうじは廊下の端で家族の写真を撮っていた。
「あとで、みんなに見せる」
小さな声で言う。
夜。
「……だいすけ」
れんがソファに座り込む。
「疲れた?」
「ちょっと」
大介も、正直足が重い。
「でもさ」
れんが小さく笑う。
「守れてる感じする」
その言葉に、大介は少しだけ肩の力を抜いた。
深夜。
ひかるの熱が下がり始める。
「……あ、ちょっと楽」
「よかった」
りょうへいも、目を開ける。
「なんか……スッとした」
「峠越えたかな」
双子は静かに眠っている。
朝。
体温計の数字が、ようやく平熱に近づく。
「……下がった」
その一言で、家の空気が変わった。
「プリン!!」
「まだだよ」
「えー!」
その声が聞こえた瞬間。
れんと大介は、顔を見合わせて笑った。
「……戻ってきたな」
「うん」
うるさくて、慌ただしくて、
でもそれが、この家。
全員分の体温を抱えて、
今日もまた、めめさく家族は進んでいく。
次回!お楽しみにー!
コメント
4件
