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「そうか……」
彼女の声が急に弱々しくなった。
「つまり、リクの仲間たちが私を侮辱しているのを聞いて、おまえも私を軽蔑するようになって、それで私と口を聞きたくなかった、ということだな」
誰よりも気品のある顔立ちをしているから、おまえという呼び方に違和感がありすぎる。でも今はそんなことを気にしている場合ではないようだ。
「僕は君を軽蔑なんて……」
「軽蔑してないというのか? 噓つけ! じゃあ、リクの仲間が私のことをなんて噂していたか言ってみろ!」
「き、君がリクという女たらしの先輩に秒速で……」
経験済みにされるに違いない、と噂していたよと話をつなげることはできなかった。もし違ったら失礼だし、その通りだったとしてもただでは済まない雰囲気だったからだ。それに対する彼女の反応は僕のためらいをあざ笑うかのような直接的なものだった。
「その噂は正しい。私はカツラギリクというチャラ男に甘い言葉をかけられてすぐに貫通済みにされてしまった」
男の僕でさえ〈経験済み〉という言葉を口にする勇気がなかったのに、美女の口からもっとずっと露骨な〈貫通済み〉という言葉が出てきて、僕の方がかえって赤面してしまった。そしてやっぱり彼女の貞操は無事ではなかったんだなと飼っていた猫が死んだときのような喪失感にも襲われていた。