テラーノベル
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数年後。
猫猫と壬氏が婚約し、そして結ばれたあとの話だ。
結ばれてからも、楽なことばかりではなかった。
羅漢からは散々詰められ、面倒な話も多かったが、それらも一つずつ片づけ、今は穏やかな日々を送っている。
その日、外からどたどたと慌ただしい足音が聞こえてきた。
直後、扉が勢いよく開き、一人の男がこちらへ駆け寄ってくる。
「猫猫〜、会いたかったよ〜」
今にも泣き出しそうな声でそう言ったのは、私の夫――華瑞月だ。
出張から戻ってきたところらしい。
私は昔からの癖で、彼を「壬氏」と呼んでいる。
そのほうが、どうにも呼びやすいのだ。
「おかえりなさい、壬氏様」
婚約しても、結婚しても、敬称は外れない。
それが一番しっくりくる。
私の背後から、小さな足音がした。
壬氏との間に生まれた子供が、走って出迎えに来たのだ。
壬氏はその子を高く抱き上げ、二人とも嬉しそうに笑っている。
その光景を、私は少し離れたところから眺めていた。
夜。
子供が眠りにつき、家の中が静かになる。
久しぶりに夫婦だけの時間だ。
正直に言えば、私は少し――そういう気分だった。
だが、壬氏は出張で疲れているだろう。
そう思い、声をかけるのをやめた。
すると、先に壬氏のほうから言ってきた。
「……子供を、もう一人作らないか?」
少し照れたような、それでも真剣な眼差しだった。
私は小さく頷き、二人で寝室へ向かった。
それから十か月後――
元気な女の子が生まれた。
壬氏は家事も育児もよく手伝ってくれる。
そのおかげで、私は今も医局で働くことができている。
こうして今日も、
静かで、騒がしくて、少し不器用な日常が続いている。
「……猫猫が、俺のことを好きだと言ってくれない……」
壬氏は深いため息をつきながら、高順に相談していた。
高順は少し困ったような顔をしたが、主の悩みとあって真剣に考える。
「それでしたら……小猫に、ご自身のことをどう思っているのか、直接聞いてみてはどうでしょうか」
あまり自信なさげな口調だったが、その言葉は壬氏の胸に深く刺さった。
――それだ。
壬氏は屋敷に戻ると、すぐに実行することにした。
「なぁ、猫猫」
呼び止めると、猫猫はいつもの調子で振り返る。
「なんですか」
「……お前は、俺のことをどう思っている?」
猫猫は一瞬だけ目を瞬かせた。
「好きですよ」
あまりにも当然のように言われて、壬氏は思わず固まる。
「……本当か?」
信じきれず、もう一度問いかける。
猫猫は少し呆れたように息をつき、それでもきちんと自分の素直な気持ちを答えた。
「好きですよ。大好きです」
その言葉に、壬氏の胸が一気に熱くなる。
嬉しさのあまり、勢いで猫猫の唇に口づけてしまった。
突然のことで猫猫は驚いたが、すぐに少しだけ照れたような表情になる。
壬氏もまた、自分からしたものの、まだ慣れない接吻に顔が赤くなっていた。
そんな二人のもとへ、ぱたぱたと足音が近づいてくる。
子供が、遊んでほしそうにこちらを見上げていた。
壬氏と猫猫は顔を見合わせ、思わず微笑む。
そしてそのまま、子供たちと一緒に遊び――
今日もまた、平和な一日が過ぎていった。
────あとがき────
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
本当は、こんなに簡単に話が進むものではないだろうなと思いながら、書いていました。
ですが、そういった展開を描けるのも二次創作ならではで、それがとても楽しいところだと感じています。
前編は比較的楽しく書けたのですが、後編では皇帝が登場し、一気に難しくなってしまいました。
特に一番大事な場面で後日談として、二人の想いを描けたらいいなと思い、書いてみました。
はずなのに、思っていたよりも早く二人のことを承認させてしまったのは、少し心残りです。
その影響もあり、後編は想像していたより短くなってしまいました。
もっと丁寧に、細かく書きたかったのですが、今の自分の実力ではここまでが精一杯でした。
今回この作品を書いてみて、たくさんの改善点が見えてきました。
次に書くときは、それらを一つずつ意識しながら、より良い作品にしていきたいと思っています。
小説を書くのはまだまだ初心者ですが、これからも精一杯頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いします。
こんな短い期間で多くの方に読んでいただけて、とても嬉しいです。
本当に、ありがとうございました。
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